| ◆ 実践編3 ◆ 主線レイヤーを作る |
原画ができて、インクも十分に乾いたら、それをスキャナーでパソコンに取り込みます。本当は原画は大きければ大きいほどいいんですが、スキャナーやパソコンの性能にもよりますので、むつきの場合、A4をグレーモード(メーカーによって多少呼び名は違うでしょうが、白〜グレー〜黒だけのモードです)の300dpiで取り込んでいます。だいたい、これで長いほうの一辺が3000ピクセルちょっとくらいになりますね。取りこんだものはBMP形式で保存します。
さて、ここから本格的にPhotoshopでの作業に移行します。ここからはサークル「セレンディピティー」のイメージキャラクター「シアリー・エルテン」をモデルに説明していきます。
PhotoshopのCG作成では、「主線」(原画の線)レイヤーをいちばん上位に置き、その下位に着色したレイヤーを重ねていく、というやり方が主流です(機能編「レイヤー」参照)。
主線レイヤーの作り方には、大きく分けて2つの方法があります。ひとつは「チャンネル」を使った方法、もうひとつは「Eliminate White」というプラグイン(Photoshopに機能を追加するプログラムです)を使った方法です。
ここでは、「Eliminate White」を使った方法を紹介します。もうひとつの方は、「応用編」で他のチャンネル操作と併せて紹介しています。
「Eliminate White」はレイヤーから「白」の要素を排除して「透明」に置き換えるプラグインで、このアドレスでフリー(無料)で配布しています。説明を読んでインストールしたら、Photoshopを再起動してくださいね。「Eliminate White」はRGBモードで、かつ「背景」(ファイルの土台になっているレイヤーです)以外のレイヤーにしか適用できませんが、次に説明する順番でやっていけば気にしないで大丈夫です。
画像2を見てください。画面の中に、2枚の線画が並んでいますね。
これはパソコンに取りこんだのち、線を修正した状態の原画です。左側のものは100%表示で、右側は25%で表示して、全身が画面内に入るようにしたものです。

◆実践編 画像2 CGの初期状態◆
作業中はこのように、全体像と細かい部分とを両方表示しておくといいでしょう。やり方は「ビュー」→「新規ビューを開く」です。表示の拡大縮小は、「ビュー」→「100%」などで作業しやすいサイズにしてください。なお、この操作では実際には画像の拡大縮小などは行われず、細かいものをルーペで見るような、たんに「見た目」を変更するだけの操作です。
取りこんだ原画をPhotoshopで開いたら、まず「カラーモード」を確認します。画面上部のメニューから、「イメージ」→「モード」で、「RGBカラー」にチェックしてくだざい。BMP形式で保存した場合、カラーモードが他のものになっている事がありますので注意してくださいね。
なお、もしメモリが厳しいようでしたら、この段階で「画像解像度」を縮小しておいてください(機能編「画像解像度と画像サイズ」参照)。レイヤーの数や内容などで異なるため、一概にどうは言えませんが、メモリが256MBの場合、画像の1辺は2000ピクセルくらいにしておくのが無難でしょう。
次は、「イメージ」→「色調補正」→「レベル補正」を実行します(画像3)。白、グレー、黒の「△」がありますが、これを紙の色が純白になるように調整します。スキャナの特性にもよりますが、原画を丁寧に扱っていれば、この程度の調整でおおむねOKです。
◆実践編 画像3 レベル補正のダイアログ◆
埃などが写ってしまった細かい黒点(いわゆる「ゴミ」)もこの操作で消せますが、丁寧に画像全体をチェックして、自分で消したほうが確実です。
調整が済んだら、念のため、適当に白の部分を「スポイトツール」で採取して、その色の内容を調べてみてください(機能編「描画色」の変更参照)。RGBの要素が全て「255」になっていれば、それは完全に「白」です。もし「254」だったりしたら、もう一度「レベル補正」を行って「255」にしてください。
次に、線画を「強さ」を25%程度にした「エアブラシツール」で修正します。描画色は黒を使います。線を消したい場合は、背景色(機能編「描画色」の変更参照)に「白」を選択しておいて「消しゴムツール」を使うか、もしくはこの段階では白で塗ってしまってもかまいません。
※「消しゴムツール」は通常、レイヤーを透明に戻しますが、「背景」レイヤーの場合は「背景色」で塗ったのと同じ効果になります。
線の修正が終わったら、「背景」レイヤーをダブルクリックして、通常レイヤーに変換します。そして、このレイヤーに「フィルタ」→「Transparency」→「Eliminate
White」を実行します。すると、このような状態(画像4)になったと思います。

◆実践編 画像4 Eliminate White実行後◆
このままではまだグレーの部分が残っていますので、レイヤーパレットのプレビュー部分(画像の縮小像が表示されている部分)を右クリックし、「レイヤーの透明部分を選択」します。さらに新しいレイヤーを作って、ツールパレットから「塗りつぶしツール」を選択し、黒で塗りつぶします。
これで、黒と透明だけの主線レイヤーが完成しました(コラム1「選択範囲の不思議」参照)。これを「主線」レイヤーという名前にしておきます。
線画の下がタイル状では見づらいので、「主線」レイヤーの下に新しいレイヤーを作って、それを白で塗りつぶして「カンバス1」という名前にしておきましょう。さらにもう1枚、濃い色で塗りつぶした「カンバス2」というレイヤーを作っておくと、のちのち役に立ちます。
さて、ここまでできれいな線にならなかった場合、選択範囲を解除して、エアブラシツールや「ブラシツール」を使って手描きで線を描きいれるのがいちばんですが、あまりにあんまりな場合、小手先のテクニックではありますが、Photoshopの機能を使ってフォローする事もできます。特にペン入れをせずに鉛筆画を取りこんだ場合、黒インクに比べて全体的に線が薄く、濃淡の差のため線が途切れたりする事が多いので、そのままでは主線としては使いづらいでしょう。
方法としては、次のようなものがあります。
| ★線が太すぎる、あるいは細すぎる場合 「背景 のコピー」レイヤーの「透明部分を選択」したあと、「選択範囲」→「選択範囲を変更」→「縮小」(もしくは「拡張」)を選び、1ピクセルほど拡縮してから塗りつぶします。また、さらに「滑らかに」を実行したり、「境界をぼかす」を実行したりすると、また少し感じが変わります。いろいろと試してみてください。いずれにせよ、選択範囲は単純にあるかないか、ではなく、コラム1で説明するように256段階の濃さをもっているという事を忘れないでください。 ★線が薄い場合その1 塗りつぶした主線レイヤーを複製し、「レイヤー」→「下のレイヤーと結合」する事で、少し線が濃く、太くなります。 ★線が薄い場合その2 まず、「背景」レイヤーに「イメージ」→「2階調化」を実行します。しきい値はプレビューを見ながら決めてください。そうして完全に黒と白の2色だけのレイヤーを作ったら、それに「Eliminate White」をかけて(あらかじめ「背景」をダブルクリックして通常レイヤーに変換するか、レイヤーを複製しておいてください)、「主線」レイヤーと結合します。しきい値を低めにして細い線を作って結合すれば、アンチエイリアシングも崩れません。ペン入れを鉛筆でやった場合に比較的有効です。 ★線が薄い場合その3 その2とほぼ同様ですが、黒だけのレイヤーを結合せずに、「フィルタ」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」をかけます。ぼかしの半径はせいぜい1ピクセル以下にしてください。 |
このどれか、あるいはいくつかを組み合わせて使っても、最終的には手作業での修正がいちばんです。主線の出来はCGの完成度に大きく関わりますので、なるべく面倒くさがらずにじっくりやるようにしてくださいね。
なお、主線を、原画にペン入れせずにスキャナで取り込んで、あとでPhotoshopやIllustletorのパスを使って描くという方法もあります。これは「応用編」で少しだけ触れていますが、全て主線をパスで描くというのは、個人的にはあまりおすすめしません。
これ以降、レイヤーやアルファチャンネル(コラム1参照)を含む画像は必ず「.psd」という拡張子(Photoshop形式)で保存します。まあ、普通はセーブしようとすれば自動的にそういうファイル名になりますけどね(笑)。