◆ 応用編 ◆



 この章では、「実践編」で説明した事より、少し高度なテクニックと使用例についていくつか説明します。
 これらのテクニックを知らなくてもCGは描けますが、使いこなせればよりハイクォリティなCGが描けるようになると思います。

 なお、ここで触れている事柄は、まだPhotoshopの能力の一部でしかありません。
 この他にも、知ってるとちょっと便利な機能から、おいそれと人には教えられないようなものまで(笑)、いろいろな機能や操作法がありますので、解説書を読んだり試行錯誤したりして勉強してみてください。


◆複数のレイヤーを一度に操作する


 機能編「レイヤー」で説明した項目に、「レイヤーのリンク」がありましたね。
 これを設定しておくと、リンクされた複数のレイヤーを一度に操作できます。
 この状態で「移動ツール」を使えば、移動前と同じ位置関係のまま描いてあるものを移動できますし、「編集」→「変形」では同じ変形を適用できます。
 ただし、選択範囲が設定されている状態で上記の操作を行ったときは、通常通りアクティブなレイヤーのみが対象となりますので注意してください。
 選択範囲を設定した状態で複数レイヤーに行う操作としては、「レイヤー」→「選択範囲に整列」「レイヤー」→「リンク部分を分布」のようなものがあります。


◆ 「パス」を使う


 「パス」とは、2点以上の点の間を、コンピューターで計算して線を引く機能です。
 「ラインツール」と決定的に違うのは、「パス」では(一応)滑らかな曲線を引ける、という点です。
 ここでは、ごく簡単な操作を例に、とりあえず使ってみる、という程度のやり方だけ説明します。

 ツールボックスから「フリーフォームペンツール」を選択し、これで適当なカーブを描いてみます。
 すると、いくつかの小さな「□」と、細い線が引かれましたね。
 この「□」を「アンカーポイント」と言い、このアンカーポイント間に線が引かれる事になります。
 単純なカーブやS字くらいまでなら、アンカーポイントは2つで十分です。
 アンカーポイントは、あとからでも必要に応じて「アンカーポイント追加ツール」「アンカーポイント削除ツール」で追加、削除できます。

 さて、アンカーポイントをクリックしてみると、アンカーポイント間を結ぶ線(パス/ベジェ曲線)のほかに、先端に小さな「●」がついた直線が出てきます。これを「コントロールポイント」と言います。
 このコントロールポイントをドラッグすると、アンカーポイント間のパスが変形します。パスの両端のアンカーポイント(3つ以上のアンカーポイントがあるなら、中間のものも)のコントロールポイントを操作し、パスの形状を決めてください。

 なお、コントロールポイントそのものに対して操作を行いたいときは、「方向点の切り換えツール」でアンカーポイントをドラッグしてください。

 パスの形状が決まったら、パスツールのいずれかが選択されている状態で右クリックし、出て来たメニューから「サブパスの境界線を描く」を実行すると、選択したブラシ及びブラシサイズに応じた線がレイヤー上に描かれます。

 これが、もっとも基本的な使い方だと思います。
 
 いらなくなったパスは、パスツールの右クリックのメニューから「パスを削除」するか、「パスパレット」上から削除してください。

 パスは他にも選択範囲を取得するのにも使えますし、その気になればパスでペン入れに相当する作業を行う事も不可能ではありません。
 ただし、Photoshopのパスは、パスに特化したソフト(いわゆる「ドロー系ソフト」に比べれば、それほど性能の良いものではありません。滑らかな曲線とは言いがたいものになる事も多いですし、人間の手がペン入れしたような線の強弱もつけられません。

 使えれば便利な機能ですが、過信は禁物です。


◆キーボードと組み合わせて操作する


 Photoshopのほとんどのツールはマウス(タブレット)だけでも使えますが、キーボードの特定のキーと組み合わせる事で機能を拡張できるものがあります。いくつか例を挙げておきます。

 「ブラシツール」「エアブラシツール」は、「Shift」を押しながらだと直線を引く事ができます。

 「編集」→「変形」→「拡大・縮小」は、「Shift」を押しながらだと縦横比を一定のまま拡大縮小できます。

 「矩形選択ツール」「楕円形選択ツール」は、「Shift」を押しながらだと、正四角形、真円が選択できます。

 このあたりは、比較的よく使う機能拡張でしょう。

 また、画面上部のメニューの多くにはキーボードによる「ショートカットキー」が設定されています。ショートカットキーを覚えて使うかどうかは好みによりますが、新規レイヤーを作る「Shift」+「Ctrl」+「N」くらいは覚えておいて損はないでしょう。そのままレイヤーの名前入力でキーボードを使いますから。


◆フルカラーCGから、セピア調のCGを作る


 すでにフルカラーで塗ったCGがあれば、簡単にセピア調のCGが作れます。
 まず、レイヤーを統合するなどして1枚のレイヤーにしておいて、「イメージ」→「色調補正」→「彩度を下げる」を実行します。すると、グレーだけで塗られたCGになります。
 これに、「イメージ」→「色調補正」→「バリエーション」で、プレビューを見ながら適当に色を混ぜれば簡単にセピア調のCGが作れます。


◆チャンネルを利用する


 チャンネルはいろいろな使い方ができますが、ここではその例として、チャンネルから主線を作る方法と、「グラデーション状に半透明になっている画像」の作り方を紹介します。


1.「チャンネルから主線を作る」

 この操作のためには、画像の「イメージ」→「モード」が「グレースケール」になっている必要があります。
 グレースケールの画像のチャンネルパレットを見てみると、「ブラック(K)」という名前のチャンネルがあります。これを読み込み、「選択範囲」→「選択範囲を反転」してください。
 この選択範囲の状態で新しいレイヤーを作り、「塗りつぶしツール」で黒を流し込めば、主線レイヤーの完成です。

※では「Eliminate white」はいらないのかというと、そうでもありません。フルカラーのCGから白要素だけを削除する事もできますので、変わった演出効果が出せます。用意しておきたいプラグインです。


2.「グラデーション状に半透明になっている画像を作る」

 まず、下の画像をみてください。これは「実践編」で例として挙げた「シアリー」の画像です。あらかじめ、キャラはキャラ、背景は背景で1枚ずつレイヤーに統合し、ひとつのファイルになっているものとします。
 これを、もうひとつの画像のような状態に加工します。髪が光のなかに溶け込んでいって、右端のほうでは背景が透けて見えていますね。たんにレイヤーの不透明度を下げるだけでは、このような画像にはできません。



◆応用編 画像1 「加工前」◆


◆応用編 画像2 「加工後」◆


 それでは、この操作を説明します。
 チャンネルパレットを表示し、レイヤーの新規作成と同じように(機能編「レイヤー」参照)、パレット右下にあるボタンをクリックして新規チャンネルを作ります。
 このチャンネルに対して、「描画色から背景色」にした「グラデーションツール」を実行します。まあ、今回は適当にこんな感じです(画像3)。


◆応用編 画像3 「チャンネル」にグラデーションをかける◆


 ちなみに、チャンネルの場合は、白が選択範囲で、黒がマスク範囲を意味します。グレーはその中間です。
 このチャンネルを読み込み(機能編「チャンネル」と「選択範囲」参照)、レイヤーパレットに戻ってキャラのレイヤーを選択します。
 これに、「編集」→「消去」を実行します。すると、選択範囲の濃度のぶんだけキャラの描かれているレイヤーが消去されて、画像のような状態になります。

 チャンネルを使うと、このようにちょっと変わった画像が作れます。


◆光の使い方


 Photoshopの大きな特長に、光表現との相性の良さがあります。
 多くのスタイルにおいて、光の方向を考えずに色を塗る事は稀でしょう。たとえば地面に立っている人物に対して、向かって右前方から太陽の光が当たっているとします。このとき、肌がいちばん明るく見えるのは人物の右手側から正面でしょうし、影ができるのは左後方でしょう。また、人物の左手側には、地面からの逆光で、細く明るい部分ができるという事も忘れてはいけません。

 ただし、明るい色と暗い色の2色でしか塗らないのであれば、逆光は無視される事が多いです。これは常に同程度のクォリティを保てますので、多くの枚数が必要なアニメに多く見られる塗り方です。この事から、ぼかしを使わず少ない色数で塗る手法は、「アニメ塗り」と総称されるようです(昔はアニメにはセル画を使っていたので、「セル塗り」とも呼ばれていました)。

 これらの光と影と逆光の関係は、特に目新しい事はありません。「実践編」で説明してきた事で十分でしょうし、べつにPhotoshopでなくても問題はないでしょう。


 さて、ここからが、もう一歩踏み込んだ光の使い方です。
 一口に光と言っても、光線、逆光、環境光、発光、反射光など、「光」という言葉の数だけ、人の受け取るイメージにも種類があります。また、カメラのピントをぼかしたような効果もまた光の拡散によるものですし、ひとつの絵として見た場合、これらが様々に組み合わさって見える状態のほうが多いでしょう。 
 それら全てを統括的に説明する事はできませんので、ここではいくつかのパターンをご紹介する事にします。

 サンプルとして用意した画像は、「実践編」で描いたシアリー(ただし、説明の都合上、完成した状態ではありません)と、著作権フリー写真集の写真です。
 ……シチュエーションは、あまり気にしないで下さい(汗)。
 なお、こういった写真素材集はパソコンショップで売っています。物にもよりますが、価格はあるテーマの元にまとめられたCD1枚あたり、1万円前後くらいでしょうか。


 まず、この2枚を適当に組み合わせてみましょう。
 すると、画像4のようになりました。


◆応用編 画像4 キャラと背景の単純合成◆


 はっきり言って、絵としての統一感はありませんし、不自然ですね。
 その理由としては、以下のようなものが考えられますね。

1. キャラの明るさと背景の明るさが合っていない。(環境光の問題)
2. 実在の風景と、デフィルメされたキャラとの間の違和感。(焦点の問題)
3. 光源、ここでは太陽の存在感が希薄。(光源の問題)
4. CGとしての演出効果に欠ける。(反射光の問題)


 これらを、順番に解決していきましょう。



1.環境光の問題

 キャラの色合いに対して、背景が少々フラットのようです。まず、背景全体を明るくしましょう。「イメージ」→「色調補正」→「バリエーション」を使ってもいいのですが、ただ明るくしただけでは、背景の白い家が色に潰されてしまいます。
 そこで、今回は「イメージ」→「色調補正」」→「明るさ・コントラスト」を使う事にします。画像5が、「明るさ・コントラスト」のダイアログ、及び実行結果です。


◆応用編 画像5 「明るさ・コントラスト」の実行◆


 「明るさ」のバーは、「バリーション」の「明るく」と同じように、画面全体を明るくします。真っ白で塗ったレイヤーを重ねて、不透明度を下げたような効果ですね。
 「コントラスト」のバーは、明暗をはっきりさせます。キャラの色調に合わせて、+30くらいにしてみました。
 これで、キャラと背景との間の光量の差を調整しました。



2.焦点の問題

 カメラでの写真撮影には、ピントの調整は欠かせません。使い捨てカメラは、最初から「どこにもピントを合わせない」事で一定の画質を得ていますが、それではどうしても平坦な印象になってしまいます。
 CGにも、同じ事が言えるでしょう。
 イラストと写真の組み合わせにおいても、また、自分でスケッチした背景であっても、絵の主題となるものを前面に出した方が、より強い印象を与えます。
 ここで見せたいものは、背景ではなくキャラです。そこで、キャラのほうにピントを合わせるようなイメージで、背景の印象をぼかしてみましょう。


 まず、背景を3枚のレイヤーに複製します。いちばん下のレイヤーを「BG1」(Back Groundの事。「背景」レイヤーと区別するためです)、上のレイヤーを「BG2」「BG3」としますね。
 「BG1」にはなにもしません。BG2、BG3(あるいはそれ以上のレイヤー)は、ぼかしや不透明度の調整などで、もとの画像に対して「穴」ができてしまうので、それを埋めるための下地として使います。
 「BG2」には、「フィルタ」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」を実行します。プレビューを見ながらカーソルを動かして、どの程度ぼかすか決めてください。今回は、この程度のぼかし具合にしました(画像6)。


◆応用編 画像6 背景に「ぼかし(ガウス)」を実行◆


 次に、「BG3」に「フィルタ」→「ピクセルレート」→「水晶」を実行します。多少癖のあるフィルタですが、光の表現としては覚えておいたほうがいいと思います。これで、画像7のような状態にしました。


◆応用編 画像7 背景に「水晶」を実行◆


 ここで、「BG3」のレイヤーの不透明度を、30%程度に下げます。すると、BG1〜3のレイヤーで、画像8のような背景になります。最初より、やわらかい雰囲気になっていますね。


◆応用編 画像8 フィルタ実行後の背景を合成◆


 絵によっては、もっと極端に背景をぼかしてみてもいいでしょう。ただし、背景全体が極端にぼやけている絵というのは、見る人に不安感を与えます。説明しづらいのですが……、こういったぼかしは、「風景」としての背景ではなく、イメージとしての使用にとどめておいた方がいいかと思います。
 たとえば、画像9のような感じですね。
 実のところ、合わない背景と無理に合成するよりは、このほうがいい絵になるんですが……(苦笑)。


◆応用編 画像9 背景のイメージ化◆


 また、光がさしこんできている窓は、角度によってはほとんど外の風景は見えないでしょう。レースのカーテンがかかっていれば、やわらかく光が拡散します。霧の出ているときや、雨の降っているときは、あたりの風景も違って見えるはずです。



3.光源の問題

 カメラを向けたとき、フレームの中に太陽が入るような構図、つまりキャラに対して後方に光源がある構図なら、「逆光」フィルタを使うだけで太陽を描画できます。

 この項目については、別の画像を使って説明する事にします。
 これは、これまでサンプルとして例示していた画像は、空に対してどうしても太陽の位置が低すぎるようになってしまうためです。写真の家のすぐ上に太陽がきているような時間なら、もう夕焼け空になっているでしょうし、地平線に近いところでは空の色は白に近づいていきますから、「逆光」を説明するには不向きなのです。

 まず、画像10をご覧ください。
 左側の画像が、真夏くらいの色合いの空に、「逆光」フィルタを適用したものです。右側は、このあとで説明する光線を加えたものです。


◆応用編 画像10 「逆光」と光線


 「逆光」をうまく使うには、まず、新規で「スクリーン」モードのレイヤーを作ります。このとき、「中性色で塗りつぶす」をチェックして、フィルタを適用できる状態にしてください。「逆光」フィルタは、なにも描かれていないレイヤーには実行する事ができません。
 この「スクリーン」モードのレイヤーに、「フィルタ」→「描画」→「逆光」を実行します。
 すると、画像10(左)のようになります。


 この「逆光」で描画される光源は、当然ながらキャラや背景に対して立体的な影を与えるものではありませんので、そこは注意してください。明暗を強調したいはずだったのに、絵全体を明るくしてしまっただけ、という事もままあります。

 通常は、ここでやったように「スクリーン」モードでいいでしょうが、夏の日差しなどのように強い光は、不透明度を下げた「覆い焼きカラー」を使ってみてもいいかもしれません。ただし、「覆い焼きカラー」は肌の色など明るい色を引き込んでしまいますので、使い所はよく考えてみてください。

 その他、逆光に関するレイヤーの描画モードは、秋の日差しなら「ハードライト」、薄曇りの空なら「ソフトライト」、ハロゲン灯などの明かりなら「オーバーレイ」と、光の質に応じて使い分けてみてください。ただし、描画モードにより中性色は異なりますので注意してください。
 目立つほどではないものもありますが、いずれも「通常」モードの不透明度を変えるだけとは違う効果を得られます。
 もっと逆光を強調したいときは、逆光のレイヤーを複製して2枚重ねてみてもいいでしょう。


 ちなみに、「逆光」は太陽を描くためだけのものではありません。「イメージ」→「色調補正」→「彩度を下げる」、さらに「バリエーション」で色をつけてみましょう。分かりやすいように、背景は黒にしてみますね。これが、画像11です。


◆応用編 画像11 「逆光」のバリエーション


 いかがでしょうか、レーザーの光源や、画像処理を施した宇宙の写真のように、SF風の雰囲気が出ます。演出効果として使っても面白いかもしれませんし、夕陽の表現にも使えるでしょう。
 このようなバリエーションもある、という事は、覚えておいて損はないかと思います。


 さて、光源からの光は、全体に拡散するものばかりではありませんね。
 たとえば窓枠を通して差し込んでくる光は、「光線」という形になります。また光線は、太陽光に適用してみてもいいでしょう。

 ここで、画像10(右)のような光線の作り方の一例をご紹介します。


 逆光のレイヤーの上に、新しいレイヤーを作ります。今回はまず「通常」レイヤーとして作成し、透明色で塗りつぶす事はしません。
 このレイヤーに、「直線」ツールなどを使って、放射状のラインを描きます(画像12(左))。ここで、ピンクの丸は逆光の中心位置を表しています。
 次に、このラインをガウスぼかしでぼかします(画像12(右))。



◆応用編 画像12 光線の作り方

 この状態で描画モードを「覆い焼きカラー」に変更し、不透明度を30%程度に調整してみてください(背景によって不透明度の調整は大きく変わりますが)。これと下のレイヤーを重ねると、画像10(右)のような光線ができあがります。ラインの形は消しゴムツール(「エアブラシ」を選択)で調整してみるといいでしょう。

 これは、「覆い焼きカラー」の、「下に塗られている色の明度に応じて、周囲の色を引き込む」という特徴を利用したものです。この場合は、空と雲の色を利用しています。

 なお、光線はチャンネルやグラーデションツールを使えばさらにバエリーションを増やす事ができますが、ここでは割愛させていただきます。これまでに説明してきた事の応用ですので、ご自分で考えて試してみてください。テクニックを自分のものにする事ができているなら、きっと新しいやり方も見つけられるでしょう。


 ところで、光の効果を出したいのに、光源が画面内にない場合はどうしたらいいでしょうか? これまでサンプルとしてきた絵の場合、その方が自然ですね。
 解決方法としては、光源を画面の外に出してしまう、というものがあります。

 カンバスに余白があればその部分を使えばいいのですが、サンプルでは、カンバス全体を絵に使っているので、もう余白がありません。
 新しくピクセル数の多いファイルを作ってもいいのですが、面倒なのでこのまま余白を作りましょう。

 「イメージ」→「画像サイズ」のダイアログを開き、画像13のように入力し、左上に余白を作ります(アンカーは右下に指定します)。余白の色は、選択されている描画色・背景色のうち、背景色になっているものが使われますが、通常は気にする必要はないでしょう(今回は見やすいように黒にしました)。


◆応用編 画像13 「画像サイズ」のダイアログ◆


 この余白の部分に、さきほど説明したように「逆光」フィルタ(今回は「スクリーン」でレイヤーを2枚重ねにしました)と光線、それに「円形グラデーションツール」の「描画色(白)から透明に」を使って光を描画します(画像14)。


◆応用編 画像14 画面外に光源を描画する◆


 その後、本来の絵の部分だけを「自働選択ツール」や、「BG1」レイヤーを「レイヤーの透明部分を選択」したうえで、「画像を統合」して切り出せば、光源なしに光の効果だけをもってくる事ができます。



4. 反射光の問題

 ここまでは、比較的自然な雰囲気の光です。しかし、キャラにしても、背景のオブジェクトにしても、光の反射率の高いものはありますし、透過率や吸収率の高いものもあるでしょう。
 本来なら対象に近づかなければ見えない程度かもしれませんが、せっかくないものも描く事のできるCGなのですし、演出として反射光を表現してみる事にします。

 ……と言っても、これはごく簡単な作業です。
 新しいレイヤーを作って、反射率の高いオブジェクトの上を白のエアブラシで軽く着色するだけです。ほんのちょっとぼかす程度でいいので、むしろ着色しすぎないように注意してください。
 反射率の高いものは、ガラス、金属、水面、髪などですが、むつきはや白い服や肌のハイライト部分にも反射光のぼかしを入れる事がよくあります。
 環境光の問題でも少し触れましたが、レースのカーテンも光を非常によく拡散させます。これは色と材質、細かい模様によるものですが、このように対象の材質を考えれば、反射光を入れるべき個所は自ずとお分かりになるでしょう。
 反射光は主に「通常」か、色によっては「スクリーン」の描画モードを使います。
 こうして、髪やエプロンのハイライトにあたる部分などに反射光を入れたものが画像15です。背景自体が少し寂しい雰囲気なので、雨上りのやさしい光といった感じにしてみました。


◆応用編 画像15 光表現の完成◆


 また、この絵には該当する個所がありませんが、宝石や貴金属には、ぼかしよりも「きらきら」とした輝きのほうが反射光としては相応しいと思うかもしれません。
 こうした「きらきら」には、「Light EDitor」というソフトがあると良いのですが……、Photoshopとはまったく別のソフトですし、PSDファイルの互換性もありませんので、ここではPhotoshopのみでできる方法をご紹介します。
 まず、ブラシパレット(画像16)の右向きの「▼」をクリックし、「ブラシファイルの読み込み」を選択します。ファイルを開くウィンドウが出ますので、フォルダ「Photoshop 5.0J」→フォルダ「Brushes」→ファイル「Assorted Brushes.abr」を開いてください。これで、ブラシパレットに変わった形のブラシが追加されます。ただし、「Assorted Brushes」は標準インストールでないと、インストールされていませんので注意してください。


◆応用編 画像16 ブラシを追加する◆


「きらきら」の表現に使えるのは、画像17で示したブラシあたりでしょうか。画像18の左側が、宝石に対して「覆い焼きカラー」で「×」型のブラシを使って描いた反射光です。右は、参考として「Light EDitor」を使って作った光です。光の形自体が違いますが、こういった光も描写できる、という事で。


◆応用編 画像17 「きらきら」に使えるブラシ◆



◆応用編 画像18 「きらきら」の使用例◆


 その他、ステンドグラスなどの透過光については、「焼き込みカラー」を使うときれいな色が出る事がありますが……、一概にこうとは言えないので、いろいろ試してみてください。



 光の表現は複合的な要素が大きいため、非常に長い説明となってしまいましたが、さらなる応用はもちろん、基本的な部分においても、光を表現する手段はたくさんあります。
 たとえば貴金属の輝きは、単純なグラーデションではありません。ほんのちょっとした歪みでハイライトの形は変化しますし、陰影の境目はアニメ塗りのようなコントラストがはっきりしたものです。
 こうした部分を丁寧に塗るだけで、光の表現の幅は大きく広がるでしょう。




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