10.その他あれこれ


 本作は、HPのトップにこそ軍服姿のシアリーが出張っていますが、間違っても「メカと美少女モノ」ではありません。これは断言しておきたいところです。むしろ美形や美中年の方が多い……、ってまあ、ほとんどのキャラは固有セリフすらありませんけど。
 しかし硬派を気取るには、高い地位の人物の年齢が余裕で20代だったりとか気になるところも多々あり、SFオタが唸るような科学考証を盛り込んでいるわけでもない、という……ターゲットのよくわからない作品です。

 えー、ぶっちゃけて言えば、とにかく「宇宙艦隊」が登場する「スペオペ」をやりたかったという、ただその一点に尽きます。舞台や歴史などの設定は、リアリティや科学考証よりも「宇宙艦隊が存在し、活躍するためには?」という命題に基づいて作られています。
 現実には、どんなに科学や政治が発達し恒星間国家やら地球連邦やらが実現したとしても、宇宙空間での艦隊戦なんて起こりえるものではないでしょう。なんせ、亜光速やら超光速で航行する連中ですから、出会った次の瞬間にはもう行き違いになっていたりするわけで。
 艦隊戦以前に、惑星の公転周期だとか軌道計算だとか推進剤配分だとかがありますから、艦隊同士がランデブーするのも一苦労です。各国の首脳達がにこやかに握手して「さあ、戦争しましょう」ってな感じで戦争するために全面協力し合うという矛盾に満ちた光景でも展開されない限り、なーんにもない空間で出会うのは至難の業です。
 惑星軌道上での防衛戦ならまだ可能性はありそうですが、今度は戦術的な問題で「やっぱ宇宙艦隊なんていらんやん」ってなりそうです。

 作品中のHSS航法やDJG航法、「イリアスの悲劇」というのはそのあたりを解決するためのギミックですが、SF者からしたら鼻につくご都合主義と感じるかもしれません。

 でもまあ、スタンスとしてはこの作品は「サイエンス・フィクション」ではなく「スペース・ファンタジー」に近い世界なので、「宇宙戦艦」とか「宇宙艦隊」という言葉に妙なシンパシーを感じてしまうような人に肩の力を抜いて楽しんでいただければと思います。

 ……まあ、ちゃんと完成すれば、ですけど。


2005/03/26追記

 「Almagest -Overture-」の公開に伴い、紹介ページを構成変更したので、こちらにOvertureの位置づけを改めて掲載。

 「Almagest」は本来、いわゆる「陣取りゲーム」ではなく、一本のメインストーリーに従って展開されるシナリオ・シミュレーションゲームです。
 Overtureのフリーシナリオというのは元々は「オマケ」の部分で、「投じられた小石」などでイベントとして垣間見る事のできる会話などは本編の導入部に過ぎません。ですので、設定を読まないと分からない名前が出てきてもフォローがないなど、物語としての完成度は「採点不能」なレベルです。
 本編では主人公ハンス・トリティンが歴史の表舞台に立つ事になる本当のプロローグが語られる予定ですし、フリーシナリオの8つのエンディングとはまた違った結末を迎える事になるでしょう。

 ……が、公開されるかどうかはプレイしてくださった方々の支持次第、という事になります。


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