図工クラブ


 子供に絵を教えてくれる人を探している、と話を持ちかけられた幼友達のK子ちゃんが、「人柄だけは保障します。」とだけは言ってある、といって、小学二年生の男の子とそのお母さんを紹介してくれたのは、去年の今頃。「すぐ近くの高校の普通科しか出ていないので、うまくなる方法とか、美大受験のための教室はできない。その代わり、図画工作に親しむ場所や時間を少しくらいなら提供できる。」そういうような話をしている間、対象の本人のほうはすでに作業場の奥のほうにまで潜入して、材木や機械の間をくぐり回って探検が始まっている。お母さんにしかられたり、何かやってやってみるか?と問われたりしながらも体のほうは動き回っていて、とりあえず六月から3ヶ月夏のコースを試してみよう。ということになった。
 
 マンツーマンで月4回、1時間半はつらいものがあるな、と思っていたら、 近所の男の子をもう一人誘ってきてくれて、週末の金曜日、午後4時30分、デコボコトリオの珍道中といった組み合わせでクラブ活動が始まり、夏、秋、冬、春、どの季節まで持つかな!?とへんなたのしみができたかわりに、コチラも少しはアイデアやヒントを見せてあげなくてはいけない。夏、秋、が過ぎるころには二人ともバンソーコーを張り替えし、一人は病院でホチキスの世話にまでなる始末。

 学校でも家でも、子供に刃物を持たせなくなって久しい。道路にゴミをポイ捨てするやつが、拾うことはないのと同じで??? 自分が刃物で痛い思いをしたことのあるやつは、他人を刃物で痛めることはまずない。どの位の痛さかを体感して学ぶことは大きい。次からは痛い思いをしないように知恵をしぼる。

 大人も子供もその辺はぜんぜん変わらなくて、先日木をちょっと切ってくれ、と来た年配の人などは、丸ノコでほんのわずかな作業中だったが、傍らで見ているのはいいけど、切り落とした木片にヒョイと手が出てきた。長年生きてきても知らない怖さというのもあるんだな、と実感させられた。
 
 多分、そう言ってる自分にも、気がつかないで暮らしている恐怖はあるだろう。でも、考えて回避できる危険もある・・・。車のドア、
、窓越しにキイをひねってエンジンをかける人・・・。自動車学校でそんなこと教えているのか?と思うくらい何回かたてつづけに見かけた。動き出しはしなかったが、ハラハラドキドキする。何重もの安全装置が働いていたとしても、ドライバーズシートに座ってエンジンはかけてほしい。

 そんなことも図工クラブの時間に話してみるかな。