MADE IN JAPAN

 新しい年になったら、一足ゴムゾーリをおろそうと思っている。過日、随分と前に店を閉じてしまった雑貨店のデッドストックを「履く?!」と言われて頂戴したものだ。貰い物だから希望するツバメ印や月星印ブランドと違うので好みから外れるが、底は厚くて長持ちしそうだ、アリガタイ。

 向かいのSさんが回覧板を持ってきて、普段聴いているラジオを急に目についたかのような口調で「昔のラジオだね。物持ちがいいね。」とほめてくれる?!ので、つい謙遜して「イヤーそんなでもないすよ。」とこたえるが、25年位前の物はすでに世の中では骨董品扱いなのか?・・・比較的古ぼけた物を身の回りに置いとくとなごむ性格なので、そのくらいの経年時間は「まだ、そんなに古くないんじゃないの?!」と思う。ここのところ寒くなってきて、ストーブにへばりつきたくなるような日を過ごしているけど、木を切ったり、削ったり、穴をあけて組み立てたりするのが、生業。

 カミさんがパートに出て稼いでくれても先年外側だけ近所の建設会社に建ててもらった住宅の返済金と、何かと出て行くおあしには参ってしまうが、煙草代を煙にして旧国鉄の借金返ししてるのに比べりゃまだましなのかな。

 木材加工の内外賃金格差をみれば、上質と安価の両方を一緒に求めるにはMADE IN JAPAN には無理がある。このほんの20年位の間に、絶滅を危惧される保護動物同様、多くの職種の職人と呼ばれる人達が立つ瀬を失い、一度消えた仕事場の灯はそのほとんどが二度と点く事はなく、民族で言えばマイノリティーと呼ばれる少数民族との共通点は多い。

 民主主義のルールの多数決というのも、多数だからといって必ずしもまともな選択をするわけじゃない。何世代か後の地球を思えば、今マイノリティーと呼ばれる人達の生活から学ぶことは山ほどあるだろう。