目的 北鎌尾根から槍ヶ岳登頂
実行日 2007年7月26日から7月28日
天候 7/26雨 7/27快晴 7/28曇・雨・曇
参加者 深澤巧(リーダー) 石川敏朗
ルート図
行程
7月25日 曇り後雨 (移動)
石川宅→花園IC→豊科IC→中房温泉(第二駐車場)
無料の駐車場(二箇所)あり
7月26日 雨後晴 大天井ヒュッテ泊
6:40発 中房温泉(第二駐車場) 曇→6:33合戦小屋 雨→10:51燕山荘 雨→14:35大天井岳山頂 雨→15:25大天井ヒュッテ 雨 夕食後 18:28牛首展望台 晴
7月27日 北鎌尾根経由槍ヶ岳山荘泊 快晴
4:19 大天井ヒュッテ→4:42貧乏沢入り口→6:42天井沢出会→7:11北鎌沢出会→10:49北鎌のコル→12:49独標トラバース開始→13:46独標頂上→18:50槍岳山頂→19:00槍ヶ岳山荘
7月28日 中房温泉下山・帰宅 曇・雨・曇
6:19槍岳山荘 曇→8:10水俣乗越→9:20ヒュッテ西岳→11:25大天井ヒュッテ 雨→14:33燕山荘→15:06合戦小屋 曇→16:38中房温泉(登山口)→16:49第二駐車場
装備
個人:ヘッドランプ、予備電池、合羽、防寒具(フリース等)、水筒(2リットル分程度)
ヘルメット、ハーネス、(環付カラビナ+ビレイデバイス)×1、
(環付カラビナ+アッセンダー)×1、カラビナ×3、シュリンゲ(60cm×3 120cm×1)、
ストック×2、さらに石川のみバイル、アイゼン
共同:補助ロープ(8mm×30m×1)、ツェルト、ガスコンロ、ガス(110g)、コッヘル、
トランシーバ
感想その他
7/25前夜 中房温泉まで移動
18:20頃石川宅を出発し、22:00過ぎに中房温泉着。
既に雨で盛り上がらず、ささっと飲んで就寝
7/26 大天井ヒュッテまで
朝から小雨。すぐに樹林にはいるので上の合羽だけ着てスタート。
登山口には中学生の大集団。地元中学校の燕岳日帰り登山らしい。元気いいなぁ。
途中で雨がひどくなったので合羽を着用し歩き続けて合戦小屋で休憩。
燕山荘周辺では時折雲が切れて燕岳が見えそうになるが、すぐに隠れてしまう。
この先は高山植物の宝庫!
特にコマクサの大群落がすごい。時間に余裕があるので蛙岩(ゲエロイワ)から先はペースダウンして写真取りまくり。はじめるときりが無い。
それでも時間が余るので、大天井岳山頂を経由して大天井ヒュッテへ。
持参のビールで乾杯の後、夕食前に明日の朝食を準備(お湯を沸かしてアルファ米に注ぐだけ。食堂で自炊可能だが、小屋の夕食準備が始まる16:00前に済まさなければならない。)夕食が終わる頃にはなんと明るくなってきた。
石川だけ牛首展望台へ行き雲間に現れる槍を始めとした絶景を楽しんだ。(写真)
まだ薄い雲が残っていたので写真はいまひとつだが、生の景色は最高!
7/27 北鎌!
この小屋は貧乏沢入り口近くにあるため、北鎌尾根を目指す人が多い。
4時前に出発する人たちもいたようだ。
われわれは4時起床。昨日用意した朝食(アルファ米+シラス山椒ふりかけ)をササッと食べて4:19出発。
まだ暗いのでヘッドランプを点灯し、二十分程歩くと貧乏沢入り口。
貧乏沢の上部は荒れた登山道といった風情で左右を良く注意して見ると要所にはしっかり踏まれた巻き道があり安心して歩ける。
5:40、大分下ったところで貧乏沢に一箇所だけ残った雪渓に出会った。
大分傾斜があり硬いのでアイゼン(軽登山靴用10本爪)着用、しまっていたストックも使用して快適に下った。深澤さんはストックのみで潅木と雪渓のスプーンカットを利用して下る。
6:22フィックスロープ(これ無しでは、大きく迂回して別ルートを探すか、ロープを出して懸垂下降する必要がある。)を過ぎて少し歩くと天井沢との出会で既に6:44。特に手間取った気もしなかったのに下降に2時間を要した。少し休んで、北鎌沢との出会を目指す。
7:11北鎌沢出会。あっけなく着いたところには貧乏沢より貧相な沢の出口。
しばし休憩の後、登攀具を装着してスタート。ここからが本番だ。
少し歩くと右股が合流。さらに快適な沢歩きを続けて行くと三つ股(離れた場所からは二股に見える)。ここで勘違いして真ん中へ。
深澤さんは右だと言っていたが、大天井ヒュッテにあったガイド図の記述を誤解してしまった石川がこっちだと強く主張しこちらに来てもらった。
登りやすいので初めは正解だと思っていたが、やがて急な草つきになってしまい深澤さんの指示で右に逃げるがそれでも状況は悪い。
バイルまで使って強引に突破しさらに右に逃げてようやく正しいルートに戻った。
9:17どうにか北鎌のコルについたときにはかなり疲労。のどもカラカラだ。
ここまでで水を一リットル消費してしまった。まだ飲み足りないが先のことを考えて我慢。
しばし休んで再スタート。
まだ樹林が豊富にあるため明瞭な踏み後をたどるが、さすがバリエーション、ところどころ予想より難しい箇所もあり、少し驚く。
疲労と乾きでスピードはでないものの快適に進むとフィックスロープが現れた。
どうやら独標西側のトラバースのようだ。
ペンキマークでも文句を言われるのによくまぁ、と思ったが、足元が崩落しておりロープ無しでは非常に危険。沢山の人が通過することを考えれば当然か。
貧乏沢末端のフィックスロープと同じ色・材質。同じ人(ガイド?)がフィックスしたのか?素直に踏み跡をたどるとやがてルート西側への尾根に上がり、そこからは上へ向かうと、13:46頃ようやく独標頂上へ。
槍が目前に現れるがまだまだ遠い。ルートミスもしないのにこの時刻だ。
飲み水がわずかしかないのでビバークするわけには行かない。
一服した後、とにかく先を急ぐ。
相変わらずスピードは出ないが着実に槍が近づいてくる。ところが徐々にルートが不明確になってきた。少し先の痩せ尾根で左右どちらを巻くか迷い、結局左(東側)を巻いたが、これが恐ろしいトラバースルート。浮石が多い上にロープを使おうにも支点がない。
どうにか通過して先に進むが、またしてもトラバースしようとして行き詰ってしまった(行けない事はないかもしれないがフリーでは自信がない)。
深澤さんは登りきってしまったが、石川は手前に戻って稜線通しに通過。
全般的に稜線通しのほうが分かりやすく通過もしやすいようだ。
時間的・体力的に大分ロスしてしまったが、もう槍は目前。
このあたりになると口の中がカラカラでまともにしゃべれなくなってしまった。
ついに最後にとっておいた500ccの水に手をつける。
疲れていることもあり、性懲りもなくトラバースルートにこだわって進むとガレ場の連続。
槍の穂先が近づくにしたがってますますひどい状態になり常に足場を確かめながら深澤さんも石川もぼろぼろ石を落としながら進む。初めはルートミスかと思ったがどうやらこれが正解らしい。
なんてルートだ。
ペンキマークの痕跡を頼りにしてどうにか最後のチムニーにたどり着いたが、最初の一手が難しい。ここでロープをつけて深澤さんに先行してもらった。
幸い安定した岩があったのでこれでビレイ。
フォロウするがなんとフリーでは登れず支点の残置シュリンゲをつかんでなんとか通過。
そのまま山頂まで行くと、日没間近の山頂には四〜五人の人がいた。
クライミングを見たことが無い様で、石川が登って行っても初めは何のことかわからなかったようだ。
傾斜がゆるいので山頂の岩に足を踏ん張って腰がらみでビレイ。
深澤さんが現れると、ギャラリー大注目で撮影会状態だ。
18:50ガッチリ握手して今日の登攀は終わった・・・
訳ではなく、疲労しているので気をつけて小屋まで下った。大宴会と行きたいところだが、ひどい脱水状態のため二人ともまずは水!水!水!
その後、石川はポカリスウェット、深澤さんはビールで乾杯。
既に夕食は終わっていたが、カレーなら出せるとのことで、夕食をかきこみながらビール。
あっという間に消灯時刻(20:30)が迫ってきたので、明日の朝食の用意(アルファ米の混ぜ御飯にお湯を注ぐだけ)。
誰もいなくなった談話室でストレッチをするがやたらと息が切れる。
寝床に入るがやはりなかなか眠れず、動悸も早い。
水分が不足していた間、滞っていた血の循環を補っているのか?
7/28 下山
あまり寝たような気はしないが、気がつくと朝5時。起床して朝食。
昨日作っておいた混ぜ御飯が喉を通らないので半分だけ食べて、チキンラーメンを作ったらうまい!脱水状態の体に塩気のある暖かい飲み物は最高だ。
外は曇り。雲に見え隠れする槍の穂先を横目にスタート。東鎌尾根を下る人は全くいないが、大勢が登ってくる。
水俣乗越で北鎌尾根を振り返ると稜線は雲の中。昨日昇れたのは絶妙のタイミングだった。ゆったり歩き続けてヒュッテ西岳に到着し、常念・蝶を眺めながらしばし休憩。
この先で雨となったが、花を楽しみながら歩いていくと大天井ヒュッテ到着。
しばし休憩の後、大天井岳をトラバース。これが意外に長い。
一回休憩を挟んで燕山荘到着。一昨日と違って、人でごったがえしている。テン場も満杯だ。その後は順調に中房温泉に降りた。
ここで入浴の予定だったが、非宿泊客の入浴は17:00までとのことで×。
まっすぐ帰ろうかと話していたが、二人とも足臭っさい!車の中は異臭が漂って我慢できないため、途中で入浴。その後、渋滞もなく順調に帰宅できた。
ビバークしないで済んだことといい、下山が一日で済んだことといい、出来過ぎといってもいいくらい順調だったが、あのガレ場はもう結構。久々に充実した山行だった。
悔しいけれど単独行は無理なルートでした。
深澤さんありがとう!
参考情報
北鎌尾根
飲み水
通常よりも大量に必要。
今回一日で抜けたが2リットル飲みきってさらに深澤さんからもらってもひどい脱水状態になった、ひどい脱水状態を避けたいなら3リットルは欲しい。
大天井ヒュッテ宿泊の場合、消毒済みの水が無料で手に入るので、空のペットボトル等を余分に持っていくのがお勧め。
装備
ロープその他登攀具とヘルメット:運がよければ使わないが、命が惜しければ必須。
アイゼン・ストック(またはピッケル):雪渓が残っている場合、非常に役に立つ。
バイル(またはピッケル):草つきで行き詰ってしまった場合に非常に役に立つ。
貧乏沢
入り口には札が立っているが小さいために見落とす人もいる。
未明からの行動のときは特に注意が必要。
ルートは全体的に分かりやすいが、沢本体を外れた巻き道を見落とさないよう注意すること。また、踏み跡でなくても踏み跡のように見える場合もあるので要注意。
北鎌沢右股
とりあえずまっすぐ登る。
2200mあたりで草付きが現れる。今回これをコル近くから始まる草付きと勘違いして左の沢筋に入ってしまったが、そのまま進むととんでもないことになる。
今回はここで大勘違いをしてしまった。
上に見える草付きを目指して素直に進み、本当にコルが近付いてから沢筋を外れて草つきに入るのが正解のよう。
北鎌のコルから槍
楽をしようとしてトラバースにこだわるとルートミスで時間・体力ともに大きなロスをしやすい。ある程度岩登り経験があるのなら、明瞭な踏み跡以外はできるだけ稜線通しに進むと良い。
槍近くはどうしようもないガレ場で落石は避けられない。
複数人の行動では互いの位置関係に注意して安全な状態を保つ必要がある。
一直線に並んで直上するなどというのは論外。誰かが死にます。
朝食時間
大天井ヒュッテ 4:45から
槍ヶ岳山荘 5:00から
駐車場
中房温泉には登山者用の無料駐車場が有る。
どうやら週末の夜は満杯になるようで、下山時にはかなり離れた道路上にも多数の車が駐車していた。週末に行くならまだ車の来ていない金曜夜の早い時間帯がよさそう。
日帰り温泉
中房温泉及び国民宿舎有明荘:入浴は17時までのため利用しにくい
その他の温泉:147号線に向かう途中の左側(北側)に旅館(たこ平だったかな?)があり、400円で21時まで入浴可能。
高速道路ETC割引100km区間
花園⇔豊科の場合、佐久で区切ると前後ともに100km未満となり、佐久に20時以前に入ればそれぞれ半額で済む。