ペルーアンデス登山隊05

2005年6月26日〜8月31日

 

登 山 報 告 書

 

 

2005年 9月

 

J M C 高 嶺 会

熊 谷 山 旅 会     

登 山 概 要

.登山隊名       ペルーアンデス登山隊05

 

.登山目標山域・山名  Aペルーアンデス・コルデラ・ブランカ

      ピスコ(5752m)・アルパマヨ南西壁(5947m)・アルテソンラフ南壁(6025m

ワンドイノルテ(6395m)・ サンタクルーズ(6241m)

Bペルーアンデス・コルデラ・ワイワッシュ

      ラザック(6017m

.登山期間   遠征期間 2005 年  6月 26日  〜 2005 年 8月 31日

登山期間 2005 年  7月1  〜 2005年  8月25日 丸 山 利 夫( JMC高嶺会 )

2005 年  7月1  〜 2005年  7月25日 深 澤  巧( 熊谷山旅会 )

.行動概要

  日  付

        行 動 内 容

備 考

 6月26日

成田18:10発→ダラス→リマ23:59

ホテル泊

   27日

リマ13:38発→ワラス21:00

ホテル泊

   28日

ワラス(休養)・(ポーター手配・打合せ)

ホテル泊

   29日

ワラス(食料購入)

ホテル泊

   30日

ワラス8:00→ヤンガヌコ湖10:50→ピスコBC13:50

テント泊

 7月 1日

ピスコBC9:15→CM12:30

テント泊

    2日

CM3:15→ピスコ頂上9:15→CM14:00

テント泊

    3日

CM7:00→BC8:30→ヤンガヌコ11:00→ワラス13:30

テント泊

    4日

ワラス(休養)

ホテル泊

    5日

ワラス(食料購入・打合せ)

ホテル泊

    6日

ワラス7:30→パロン11:00→アルテソンラフBC13:45

ホテル泊

    7日

BC10:40→CM14:30

テント泊

    8日

CM12:50→C116:10

テント泊

    9日

C1(ルート工作)

テント泊

   10日

1 1:30→アルテソンラフ頂上8:30→C1 1:30

テント泊

   11日

C1 10:00→CM12:00→BC15:30

テント泊

   12日

BC9:20→パロン11:00→ワラス15:30

ホテル泊

   13日

ワラス(休養)

ホテル泊

   14日

ワラス(打合せ・食料購入)

ホテル泊

   15日

ワラス7:30→カシャパンパ10:25→ジャマコラーフ16:00

テント泊

   16日

ジャマコラーフ8:35→アルパマヨBC13:40

テント泊

   17日

BC11:50→CM14:15

テント泊

   18日

CM(雪のため停滞)

テント泊

   19日

CM8:15→C1 12:30      

テント泊

   20日

C1(ルート工作)

テント泊

   21日

C1 1:20→アルパマヨ頂上5:20→C1 9:20

テント泊

   22日

C1 9:30→CM11:30→BC13:00

テント泊

      23日

BC6:00→カシャパンパ12:20→ワラス17:50

ホテル泊

   24日

ワラス(休養)

ホテル泊

   25日

ワラス→リマ深澤帰国(出国・1:26 発)

 

   26日

リマ→ダラス

 

   27日

ダラス→成田(13:10着)

  

 

  日  付

        行 動 内 容

備 考

7月25日

ワラス休養

ホテル泊

26日

ワラス休養

ホテル泊

   27日

ワラス休養

ホテル泊

   28日

ワラス(食料購入・打合せ)

ホテル泊

   29日

ワラス8:30→ヤンガヌコ湖11:30→ピスコBC13:30

テント泊

   30日

ピスコBC12:50→CM14:30

テント泊

   31日

氷河のルート工作

テント泊

 8月 1日

CM9:00→Cグレシャー13:15

テント泊

    2日

CG(休養)ロドリーゴ、フェデリコはルート工作

テント泊

    3日

CG3:00→コル5:30→頂上稜線15:00→コル20:30→CG0:30

テント泊

    4日

CG9:00→モレーン11:00→CM12:00

テント泊

    5日

CM9:15→BC10:30

テント泊

    6日

BC7:30→ヤンガヌコ8:40→ワラス12:30

ホテル泊

    7日

ワラス(休養)

ホテル泊

    8日

ワラス(休養)

ホテル泊

    9日

ワラス(食料購入・打合せ)

ホテル泊

   10日

ワラス7:30→ワルカヤン10:30→ウイッシカッシC15:45

テント泊

   11日

ウイッシカッシC9:00→ユラクコーチャBC12:00

テント泊

   12日

休養 ロドリーゴ他は荷揚げ

テント泊

   13日

BC8:30→西陵コル(5000m)10:00→BC12:00(氷悪落石ひどく登頂断念)

テント泊

   14日

BC5:30→ウイッシカシ8:30→ワルカヤン11:30→ワラス16:00

ホテル泊

   15日

ワラス(休養)

ホテル泊

   16日

ワラス(食料購入・打合せ)

ホテル泊

   17日

ワラス5:30→チキャン8:30→ポンパ10:30→マンカンプンタ13:30→ハウアコーチャBC16:60

テント泊

   18日

BC12:00→CM15:15

テント泊

   19日

CM8:30→イエルパッハ氷河10:30→Cグレシャー13:30

テント泊

   20日

休養  ロドリーゴ、フェデリコはルート工作

テント泊

   21日

CG3:00→ラザック頂上11:40→CG17:50

テント泊

   22日

CG8:00→CM11:00→BC13:30→ハウアコーチャC15:00

テント泊

      23日

ハウアコーチャ6:30→マンカンプンタ9:00→千キャン1:20→ワラス17:00

ホテル泊

   24日

ワラス8:30→カスカ14:30→セテン遺跡15:00→カスカ16:00

ホテル泊

   25日

カスカ8:30→ワラス14:30

ホテル泊

   26日

ワラス(休養)

ホテル泊

   27日

ワラス(休養)

ホテル泊

      28日

ワラス→リマ

ホテル泊

   29日

リマ丸山帰国(出国・1:26 発)

 

   30日

リマ→ダラス

 

   31日

ダラス→成田(13:10着)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピスコ(5752m)・アルテソンラフ(6025m)・アルパマヨ(5947m)(記録:深澤 巧)

 

 

ピスコの登り      左からカラス、キタラフ、アルパマヨ、アルテソンラフ

                       (ピスコ頂上から)

 

@登頂記録

 

 

ペルーアンデス05 メンバー 丸山利夫(JMC高嶺会) 深澤巧(熊谷山旅会)

 

 


Pisco
    7/2(土) 9:45登頂  登山日数4 ポーター1
Artesonraju
 7/10(金)8:30登頂  登山日数7 ガイド1 ポーター2 コック1
Alpamayo
  7/21(木)5:20登頂  登山日数9 ガイド1 ポーター2 コック1

 

 

 

llanganuco湖            ピスコBC小屋とチョピカルキ(6354m)

 

名峰チャクララフ(ピスコ頂上から)        BC避難小屋とピスコ峰

 

@高所順応(ピスコ登頂)

6月26成田発リマで1泊して6月27日夜、無事ワラスに着いた。腰痛を引きずっていてHOTELのベッドで寝られないほど。しかたがないので床にマットをひいて寝る。高所順応の山としてPiscoを選んだ。5752mと手強い。ポルタドール(ポーターのこと)エミリアーノと共に31日朝出発。大きな岩山を両岸に見てllanganuco谷をつめればllanganuco湖。高度3900mある。エミリアーノがアリエロを数人連れてきた。荷物をしたのキャンプ地に運んでくれてロバに荷物を積んだ。高所順応のためゆっくり歩き、牛のいっぱいいるBC4600m。エミリアーノがテントを張って待っていた。去年丸山さんがアルテソンラフの時雇った評判の悪いGuia(ガイド)が来ていた(泊)。2日目、朝になると牛がテントを揺する。急な坂を越えて峠で一休み、モレーンをバテバテで歩きやっとcampモレーナ4900m。以前より氷河後退しているそうだ。高度障害からか夜、BCに下ろされた女性がいた(泊)。3日目に頂上アタック。ヘッドランプを点けてモレーンを越えて雪稜を辿る。やがて核心65mの雪壁。ザイルが残置してあり。ユマールをかけて登る。急な斜面を登ると頂上は間近だが一歩がなかなか進まない、ヘロヘロになりながらやっと頂上。Piscoの頂上は展望のよい所でワスカラン、ワンドイ、チャクララフ、アルテソンラフ、アルパマヨなどの名峰が軒並み見え、深く感動した。展望の良さからPiscoは名峰と言えるだろう。下りの雪壁は先行者が先に下り撤収したのかにザイルはなく、キノコを掘って懸垂下降。高度障害と疲れからか2人ともヘロヘロになってやっとcampモレーナ。BCまで下る予定だったが2人とも動けなかった(泊)。4日目、BCを経てllanganuco湖でTAXIを拾い一路ワラスに急いだ。ワラスに帰ってワラス在住の谷川さんに辛かった登頂について話したら、もっと高所トレーニングをつんでからでないと駄目とお叱りを受けた。

 

ワスカランを背景にPiscoの頂上にて           Piscoを背景に記念撮影

琥珀色のパロン湖       ホアン、ロドリーゴ、エミリアーノ、丸山、フェデリコ

 

@臭いオナラ(アルテソンラフ登頂)

アルテソンラフ(6025m)の山行はギアGuia(ガイドのこと)ロドリーゴの意向でコシナール(コックのこと)ホアンを雇うことにした。ポルタドールのエミリアーノ、フェデリコを合わせて4名雇うことになった。パロン谷を走り琥珀色のパロン湖に到達する。右からワンドイ、チャクララフ、ピラミデの雄姿が目を引きつける。2時間歩きBCに着いた。さすがコシナールの料理(チャチロンデトルーチャ)は美味しかった。2日目荷揚げのポーターは大変だ。朝早く荷揚げして2回目は我々と一緒にまた荷揚げ。上についてテントを張って食事の準備、片づけもする。昔丸山さんがどうしても登ってみたいと思ったという、美しい白い三角錐アルテソンラフを見上げながら登る。大勢のキャンパーがいるcampモレーナ泊。ワンドイ、カラスが朝日に照らされて綺麗だった。3日目モレーナからガレ場を下りて氷河を右にピラミデの秀峰を見ながら歩く、C1を通り越してアンザイレンして急な坂を登りクレバスを越える窪みにCAMPalto(前進camp5200m)を設営した。見上げるとアルテソンラフの雪壁を真下から見上げる位置にある。クレバスが走っていて雪崩の危険もありそうな位置だがGuiaを信用するしかない。ここに来て食欲が落ちてほとんど食べられなくなった。4日目ルート工作60度の雪壁500mにロープを張ってくれた。この日は胃の調子悪く1日寝ていた。テントで寝ていると凄い臭いオナラが頻繁に出てシュラフから鼻筋を通るので自分で全部嗅ぐ。その臭さはものすごく失神しそうだ。伏流を嗅いでいる丸山さんもたまらなそう。そのうちテントにガスが充満した。

5日目頂上アタック。朝調子良さそうなのでアンザイレンして出発。雪壁の登り、ロープにユマールを付けて登る。先に行く丸山さんとフェデリコのヘッデンの光がどんどん先に行く。深澤は遅れ、Guiaのロドリーゴはずっと後ろに付いている。固定ロープが終わりロドリーゴのリードで4ピッチ、頂上稜線に出た。ふらふらになってやっとアルテソンラフ頂上。安心感からか涙が1滴ぽとりと落ちた。固形物は喉を通らずコカ茶を飲んだだけ疲れは極限に来ている。360度の風景もじっくり味わうこともできず写真をさっと撮って帰りの懸垂下降。途中ホームセンターで売っているような安物のロープもあり切れないことを祈ってやっとテントに戻りすぐシュラフに潜り込んだ。辛い登攀だった。

6日目下山。振り返り振り返り辛かったアルテソンラフの三角錘の白い雄姿を眺めながら下る。途中CMでデポ品を拾いヘロヘロでBCに。7日目9時発BCからパロン湖測道を歩く。チャクララフ、ピラミデもこれで見納めだろう。まだ体調が悪く2時間も歩くと辛くて駄目の様だ。倒れ込むようにパロン小屋に着いた。小屋の管理人が丸山さんを覚えていて二人は再会を喜んでいる。荷物をTAXI2台に積み、他の2人と一緒にカラス。カラスでハイエースのバスに乗り換え一般客と一緒にワラス、ホテル着15:30

アルテソンラフ頂上          アタックキャンプ地からアルテソンラフ

 

@病院に行き診察、検査

ワラスに戻って体調をチェックした結果、腹が減ると腹痛が起きて力がでないことがわかった。7/12夜、ワラス在住の谷川さんにアルテソンラフの結果を報告し、深澤の体調を相談した所、医院に連れて行ってくれた。医者の名前はKOSUGIというので日本語が話せるものと思っていたら相当MIXしていてあまり日本人の面影がない。谷川さんが通訳で身体のチェック。検便を3回提出するように指示を受けた。眼鏡をKOSUGI医院に忘れてきて我々が薬を買いに行っている間にKOSUGI先生自身が夜11時過ぎにHOTELに届けてくれた。最後の目標あるアルパマヨは予備日を入れて9日間7/23にはどうしても下りなければならず、行けないのではと不安になった。翌7/13朝、丸山さんに貰った下剤を1個飲みウンコ1発目、途中でぐっとこらえて1時間後に2発目、さらに1時間後に3発目。昼にKOSUGI医院に持っていった。夕方に寄生虫が居るという結果を出た。虫下しを処方してくれて、アルパマヨに行って良いと言われてホッと胸をなで下ろす。実に優しいお医者さんだった。深澤の診断の結果が出るのまで待たせていたロドリーゴ達は明日出発のアルパマヨに向けて食糧買い出しに出ていった。

     キッチンテントで食事準備          アルパマヨのコルへの登り

 

@リッチな大名登山(アルパマヨ登頂)

私の最終の目標アルパマヨを目指す。ワラス−カラス−カシャパンパ。ここからブーロ(ロバのこと)6頭、アリエロ(ロバ使い)親子が付いた。サタクルス谷を詰めて広い河原のllamacorral。この間は高所順応のためゆっくり歩く、あまりに遅いのでみんなが心配してくれたがもうだいぶ元気なってきている。ここllamacorralが今夜のテン場。両岸を山に挟まれて広い河原になっている。前方にTaulliraju(5830m)が見える。牛やブーロが草をはんでいてのどかな所だ。ロドリーゴが誂えたキッチンテントが張ってあり、椅子も用意してある。ちゃんとした皿も、まさにレストランジャマコラフって感じ。料理は鱒のフライ。よく揚げてあり骨まで旨い。この夜はアリエロ親子を相手に話が弾んだ。翌日もブーロ使用。両岸は急な岩壁だが広い平原の真ん中を川が流れている。湖が所々に点在する。さらに遡ると、コンドルが飛んで、牛やブーロの骨が転がっている。トレッキングコースとの分岐点Quishuarの木陰でホアンが用意してくれた昼食を食べ、急な坂を登ると広い平原の先がBC。BCには小屋があり飲み物を売っている。セルベッサ(BEER)を買って飲む。丸山さんと氷河湖Arhuieycochaを散策。氷河下部が崩壊して氷の固まりが湖に浮いていた。3日目豪華なキッチンテントに別れを告げ、キャンプモレーナ。天気が悪くなり4日目は雪、風も強く停滞。5日目雪壁をロープにユマールをかけ攀じ登りコル。左にキタラフの雄姿、右にアルパマヨが美しいヒマラヤヒダを付けて聳えていた。コルを越えるとアルパマヨC1。ドイツ、イタリア、アメリカ、ベルギー隊が犇めいている。6日目ロドリーゴ、フェデリコ、マルコス(イタリア隊Guia)でルート工作フランスルートにロープが上まで張られた。7日目7/21晴。やっと体調も快復してきて朝1:20発。満月の明るい夜、雪に反射してヘッデンがいらないほどの明るさ。ロドリーゴ、丸山、深澤の順でルートに取り付く。クレバスの繋がった所を渡り、右上するトラバースを経てフランスルートに入る。70度位の氷と雪の壁。アイゼンの前爪に全体重をかけて登攀る。だんだんフクロハギが疲れてきて、休もうと足場を捜してもない。我慢してひたすら頂上を目指す。5:20名峰アルパマヨ(5947m)の頂上に出た。今年の初登だそうだ。「予定の全山登頂だい!」 体調が悪かっただけに嬉しさが身体全体に沸き上がってきた。まだ暗い。隣のピークにはフェラリールートから登ってきたドイツ隊が数人居る。我々の後を追ってフランスルートのドイツ隊ギアと2人が登ってきた。頂上で記念写真、日の出とともにブロッケンが自分の姿を映している。イタリア隊ギアと2人の登るのを待って懸垂で下りる。途中のトラバースがいやであった。やっと安全地帯に来て、改めてアルパマヨを見上げると山の美しさが実感できた。前方にはキタラフが日に照らされて輝いていた。                                今回の山行はキッチンテント、豪華な料理、ブーロの楽なアプローチ、ロープの張られたルート、リッチな大名登山であった。同じホテルの日本から来た若い登山者は全て自力で登っていた。うらやましい限りだが、年齢、体力を考えると登頂するためには金のかかる大名登山も仕方ないだろう。

 

アルパマヨキャンプ地           アルパマヨ山頂朝日に照らされて

 

@ペルーの交通事情

7/21Alpamayoを登りC1で1泊。8日目キャンプモレーナでデポしていた荷物を撤収しBCに。既にブーロ(ろば)とアリエロ(ロバ使い)が来ていた。キッチンテントにてセルベッサ(BEER)で登頂を祝う。昼食は美味しいトルテージャを作ってくれた。シュラフを干し、沢の水で身体の洗濯をしてすっきりした。9日目7/23朝、ロドリーゴ、丸山、深澤はブーロより先に出る6:00発。もうすっかり高度順応ができたの快適に歩ける。明後日は帰国のためにワラスを発つのがもったいない気もする。8時間かかると思われたコースを6時間で下りた。カシャパンパでバス(トヨタハイエース)に荷物を積んでクイ(ネズミの大きなやつ)料理、セルベッサをご馳走になり、さあ出発と思ったら、バスはエンジンがかからない。みんなで炎天下汗だくになって車を押したが、エンジンはうんともすんとも言わない。丸山さんと途方に暮れているとどこからかTAXI(カローラバン)2台を連れてきた。荷物を移し替えてさあ出発かと思ったらバスのエンジンがかかった。ナンという間の悪さか。TAXIの運転手達にに合わせる顔がない。又、TAXIからバスに荷物を積み直して砂煙りを揚げて走り、夕暮れ時18:00頃ワラスに着いた。通常バスと言われているがハイエースのライトバン。日本の会社名が残っているのもある。改造して5列座席、運転席の後ろもシートがあって後ろ向きに座る。20人ぐらいは楽に乗れる。実際モントレーの温泉に行ったときは立っている人も居て25人乗っていた。通常、町を走っているときはお客がいればどんどん乗せているようだ。日本の満員電車のようでやたら押し込んでいるのを見た。これには驚いて乗るのを控えた。こんな使い方をしているのに車が壊れないのが不思議である。荷物は全部屋根に乗せる。今回もブーロ6匹分の凄い荷物が1台のハイエースに乗せてしまった。TAXIはほとんどがカローラバン、メーターは無く、相場はだいたい決まっているが、乗る前に交渉で値段を決める。もちろん屋根にキャリアーが付いていて荷台に入らないときは屋根に積む。凄い荷物を積んでガタガタ道を猛スピードで走る日本の車は頼もしい。

 

ワラスの町                  何でも乗せるバス

 

@貧しいワラスの生活

ペルーアンデスのコルデラ・ブランカ(白い山群)の登山基地ワラスはリマからバスで揺られて北に8時間3000m高地にある。リマと違う土着の顔の人が多く、我らが雇ったポルタドール(ポーター)のエミリアーノ、フェデリコは生粋のインカ人だそうだ。女性の体型はずんどうで太め、胸が大きく目を引く。身長は日本人より小さいぐらいだ。帽子を被り、マントを付けた伝統の装いの女性もけっこういる。町の中心にメルカード(マーケット)があり、その近くには露天の店が並んでいる。町は物を売る人で賑やか、いつも人でごった返している。物価もリマよりずっと安い。特に野菜、くだものが安くておいしい。ほとんどの物が1kg1ソル(34円)で買える。ホテルは1泊20ソーレス(680円)の無印の安宿。暗くて、うるさく、おまけにシャワーのお湯が頻繁に止まってしまう。山から帰ってシャワーのお湯が出ないのには閉口した。何も言わないとそのまま終わってしまうのでもんくを言うとガスボンベを買いに行く。まあ、部屋が広く、名峰ワスカランが部屋から見渡せるのでそのまま泊まっていた。どういう訳か日本人客が次々と来て泊まっていた。従業員は若い学生で夜学に行っているようだ。仕事はあまりせずコンピューターを弄って遊んでいる。性能が悪く部屋が暗いのでキーボードや画面が見づらい。そのコンピューターを使い日本にアクセスできた。

朝は近くの店でパンジュースを買って食べた。昼、夕食は外食。鳥の丸焼き1/4、セビーチャ、ステーキ、ピザなど。特に中華は店がいっぱいあり、料理も旨い。量が多くチャーハンは日本の3倍以上あるが彼らはぺろっと食べてしまう。料理の値段は2人でセルベッサを飲んでも400円から1000円ぐらい。山の生活は1日一人10000円位の出費だったのでまさに貧しいワラスの生活であった。

左からピラミデ、チャクララフ、ワンドイ       アルテソンラフ(CMから)

 

 今回32日間の山旅。体調が悪く辛い登山であったが、目標の3山全部登頂できて大満足。世話になった谷川さん、一緒に登った丸山さん、ギア、ポルタドール、コシナール達のお陰である。ちょっと忙しく、40日ぐらい欲しかった。やっと高所順応ができたと思ったら帰らなければならない。ペルーアンデスは町から目的の山まで短時間で移動でき高山病にかかる可能性が高い。高所順応に時間をかけてから登山した方がよいようだ。 (完)

(注:以上の記録は熊谷山旅会ホームページ会員専用掲示板に連載したButmanreturnに加筆、修正しました。)

 

 

 

ワンドイ(ピスコからの帰り)       ワンドイ(アルテソンラフからの帰り)

 

 

ワンドイノルテ(6395m)北東壁(記録:丸山利夫)

7/29(金)晴れ

 ワラス発8:20発 チャーターしたワゴン車にてヤンガヌコへ11:30着。ピスコ以来今月2回目。まもなくアリエロ1人とブーロ6頭が下の広場から上がってきたので荷積みはアリエロとポルタドールに任せ12時にロドリーゴと2人でBCに向けて出発。休まず1時間半ほどでピスコBC着。やや遅れてロドリーゴが着く。ブーロ隊が来る前にロドリーゴがワンドイ下のモレーンの状態を見に出かける。1時間ほどで戻るがノーブエノ(良くない)と言っているのでピスコCMに行くことにする。ブーロ隊は3時頃到着。ピスコに来たと同じ所にテントを張る。夕方テントは15張りほどに増加した。ワンドイノルテの頂上直下は岩場が見えるが3級ぐらい60m程で易しいので問題ないと話していた。ノルテとイエステとのコルより上は氷が光っている。夜、薬の入っている袋を捜したがなくワラスのホテルに忘れてきてしまった。

7/30(土)晴れ

 6:30ロドリーゴとエミリアーノとフェデリコの3人はCMまで荷揚げの準備をしている。ピスコ小屋に薬があるか聞いてみると無いと言っている。7時に3人は荷揚げに出かけていく。コシネーロのホアンと2人で残る。早くも9時過ぎ戻ってきてエミリアーノがワラスに戻って薬を取りに行くと言っているので一応薬が無くても我慢するからと断ったがロドリーゴも明日はルート工作でCM泊まりだから先の工程にも影響が無いからと言っているので9時半メモを書いて谷川さんに渡して貰いホテルの荷物から薬を出して貰うように話し、出かけていく。明日CMで合流することにする。交通費、食事代と日当を渡しエミリアーノは下っていった。キッチンテントを残し12:50発。2:30ピスコCM着

7/31(日)晴れ

 明け方ピスコに向かうパーティーの足音が聞こえる。7時ロドリーゴとフェデリコがワンドイノルテの氷河のルート工作に出かけて行き、一方7:30ホアンもBCに食糧を取りに出かけていった。野菜、フルーツ類を持って12:30ホアンがCMに戻る。その1時間あとにエミリアーノもワラスから帰ってきた。ロドリーゴとフェデリコも4時に帰ってくる。ワンドイの氷河は見た目よりクレバスが少なく問題ないとロドリーゴが言う。グレッシャーCより先のワンドイノルテとオエステとのコルから時々アバランチ(氷河が崩れる)があるがルートでないので影響ない。

8/1(月)晴れ

 9時テント1張りを残し、ホアンが残留。私とロドリーゴ、エミリアーノ、フェデリコの4人でグレッシャーCに向け出発。モレーンには所々ケルンが有る。氷河に入るとクレバスが少ないけれど人が入っていなくトレースが付いていないので歩きにくい。ルートは昨日ロドリーゴが入って目印のリボンを付けてあるので分かりやすい。1:15ノルテとオエステとのコル下カナレーターの前のグレッシャーC着。5200m地点だ。ピスコのコルより高い。ピスコ本峰とピスコオエステの間にチャクララフが見える。3時過ぎにはワンドイエステの影になり日陰にあるので急に寒くなってきた。3:15頃ロドリーゴとフェデリコがルート工作に出かけていきコルに突き上がるカナレーターを登っていく。6時過ぎに戻ってきてカナレーターの下部はアルパマヨフランスルートより易しいと言っていた。夜食を作っているときコンロの調子が悪くなってしまい食後プレッシャー部を分解し修理した結果良くなったので安心した。

8/2(火)晴れ

 5時ロドリーゴとフェデリコがルート工作に出かけていく。ピスコ方面を見ると何人もの登山者の姿が点々と見える。10:30にはカナレーター内2人の姿は見えなくなったのでコルに達したのだろうと思う。11時頃カナレーター内に落石がありルート内に転々と石が落ちていくのが見え、エミリアーノと顔を見合わせた。3:40 2人はルート工作から帰ってきた。カナレーターは400m、コルより先500m程。下部カナレーターは東面で、コルより上部はオーバーハングした岩稜を右にトラーバースして北面側の氷壁を登るようだ。

CMよりワンドイノルテ(左)エステ(右)         ワンドイ登攀中

 

 

 

8/3(水)晴れ

 朝2時起床。満天の星、晴れ。ラーメンとオートミル、ココアを飲み3時に出発。雪壁を登り、クレバスの下からカナレーターに取り付く。5m程垂直に近い氷壁を登り、ハングした氷を右にトラーバースして氷雪壁を2ピッチ登ると右側に岩壁が有り傾斜が緩いのでノーザイルで氷の間を進む。カナレーターはノルテとエステの間に挟まれ、狭い所は幅20mぐらい、エステ側は岩となったクーロアール状の斜面、中間までは50度ぐらいの氷雪壁上部は70度ぐらいの氷と岩のミックスとなる。ヘッドッライトとの光だけなのでトップのロドリーゴが遠くに見える。ルート工作したので早く登れるが連続休み無しでの登攀は苦しい。使用しているザイルは60mなので同じ1ピッチでも疲れる。8ピッチでコルに到着、まだ暗くコルは思っていたより小さくテントなど張れない。ピスコ方面にもライトが点々と見える。5:30コルから反対側の方はスッパリと切れ落ち暗くて見えない。風が吹き抜けるために寒い。上はハングしているので2m程下り15m程垂直部分をトラーバースして岩稜の下に出る。岩と氷のミックス部分を2ピッチ登り北壁に移る。明るくなってくると北壁側の下はカール状となりエステへと続いている。サンタクルーズ谷のアルテソンラフ、パロン湖やピラミデも見える。アルパマヨ、タウリラフ等が同じ高さになってくる。ロドリーゴはやはり60mピッチランニングはビレーを取らずザイルを伸ばしていく。ビレー点はアイススクリュー1本、コルより上は氷壁なのでほとんどスノーバーは使用できない。7時過ぎ太陽がでてくるが6000mを越えているのでビレーしている間は寒い。上部ロックバンドが見えてくる。60度弱ぐらいの氷壁が続く、大きなクレバスが見えるので左に大きくトラバースして上部ロックバンド目指し上昇、ロックバンド(上部岩壁)下は雪壁となり灰色に黄色の混じった岩壁凹角への上部ロックバンドに出る。3級ぐらいのグレードのロックバンド凹角1ピッチ登り雪壁へ、そして稜線出てワンドイノルテの登攀は終わり感激の握手。周囲はガスに囲まれ何も見えない。時計を見ると3時を回っているのでお茶を飲みチョコレート、ナッツを食べ、すぐに下山の準備。下りも懸垂の連続、ハーケン1本、氷の部分はスクリューハーケンで10cm間隔に穴を開け、その穴にシュリンゲ1本通しそれが支点で懸垂。見ていると怖い。わすか10cm、深さも10cmぐらいなので氷が掻けてしまうのでないかと心配だがいざ自分の番になると下ることが優先してしまうので頭から消えてしまう。ロドリーゴに訊くと問題ないと言っている。氷の穴にシュリンゲを通す専用の道具が有るのだから心配ないだろう。また彼はアンデスで多くの氷の壁を登って経験を踏んでいるので彼に任せるしかない。体重をかけ60mの懸垂をしてもびくともしない。岩と氷のミックス地帯まで降りてくると薄赤くなり始めたのでヘッドライトを取り出す。フェデリコのライトは電池が消耗し薄明るくてよく見えない。またロドリーゴのライトもスイッチの調子が良くなく時々点灯しないときがあり、ビレー点を捜すのに時間がかかる所もあった。それでも何とか岩稜を下りハングした氷壁をトラーバースしてコルに着いて時は一安心。私がトップでトラバースし、ロドリーゴとフェデリコがザイルを回収している間、暗闇の中30分待つ。時計の針は9時を指して寒い。遠く雷の閃光が見える。あとはカナレーターを400m下ればテントは近い。カナレーターも私が先に懸垂、ロドリーゴとフェデリコがザイルを回収。1箇所フリーでクライムダウンする所が有ったが問題なく下り、そこから2ピッチ下ってから氷壁をトラーバースしてクレバスの下に下りた時は安堵感でいっぱいになった。フェデリコ、ロドリーゴの順に下ってきた。テントに帰って来たときは夜中の12時を過ぎていた。持参したスノーバー8本は全て下降用に残置してきた。アンデスを代表するワンドイのビッグルートで夜間懸垂するとはある程度登攀前に覚悟していたけど下降中は不安であった。ルート図集ではグレッシャーCより1200mグレートがD+(difficilehard)となっている。テントに入りぱったり倒れ込んでしまった。エミリアーノが暖かいティーとスープを用意してくれ体が暖まった。腹が空きすぎ固形物は入らない。午前2時頃シュラフに潜り込む。

8/4(木)晴れのち曇り

 昨夜というか朝というか寝ても起きる時間は変わらない。食糧はほとんど無いのでコーヒーとスープのみの朝食。9時グレッシャーC発。2人の登山者がワンドイノルテを目指して登ってきてロドリーゴにルートの説明を求めてきた。エミリアーノとフェデリコは重い荷物を背負っているものの早足で下りていく。11時氷河からモレーンに移った所でホアンが迎えに来ていてお茶とフルーツを用意してくれ、ありがたかった。CMにはピスコを登るパーティーのテントが増加していた。昔使用したポルタドールのホルフェに会う。私の名前を覚えていてくれうれしかった。アメリカ隊のコシナールとして来たそうでピスコに行くと言っていた。CM着12時。

8/5(金)晴れ

 8時頃ワンドイノルテを登っている2人パーティーが豆粒ほどに見える。昨日のうちにコルに上がりビバークしたのであろう。9:15CM発。モレーンを歩いているうち雲がかかり2人のパーティーの姿が見えなくなり、登ったか否か確認できず。10:30BC着。時間的には充分ワラスに帰れるのだが明日6日にブーロの手配してあるのでBC泊まりとする。午後エミリアーノのファミリアが訪れてきた。ソル・アンデーノに所属するガイドだと話していた。宮下さんのことも知っていて少し片言の日本語も話す。夜のり茶づけ、うめ茶づけを食べる。

8/5(土)曇り

 夜、明け前から雪の降る音がする。6時テントから顔を出すとうっすらと白くなっているが積もるほどの雪ではない。周囲はガスに包まれてモレーンより上は見えない。7時朝食後すぐ下山の準備。他のパーティーも下山準備をしている。7時半ブーロが来る前に一足先にロドリーゴと二人で出発。BCから下りにかかる所で10頭以上のブーロが上がってきた。その中に我々が雇ったブーロもいるはずだ。8:40ヤンガヌコに到着。まもなく雨が降り出したが濡れるほどではない。1時間ほど待ちブーロ一行が到着。待たせた車に荷物を積み込みユンガイに下る。ユンガイからTAXI2台に乗り換えワラス12時半に到着。

 今年ワンドイに登ったのはスイスガイドが同じルートを登ったのみで私たちパーティーが二番目に登ったことになる。ワンドイには4つのピークがありワンドイノルテが一番高く(6395m)、ワンドイオエステ(6356m)、ワンドイスル(6160m)、ワンドイエステ(6000m)。ワンドイノルテにはパロン谷側に北西壁ルートがあるが落石が多いのでヤンガルコ谷の方が安全に思う。谷川さんの店に行きワンドイの報告をしてワンドイ登山は終了した。

右からサンタクルーズグランデ、チコ、ノルデ  マンカン峠(4575m)よりワイアッシュ山群

 

ワイワッシュ・ラザック(6017m)南東壁(記録:丸山利夫)

8/17(水)晴れ

 5時エミリアーノとフェデリコが迎えに来る。TAXIにてタラバカ通りのバスターミナルへ。ロドリーゴとマキシモも来ていた。5時半ワラス発バスには暖房が無く4000mを越えるコノコチャ付近はバスの窓に氷が張り寒い。8時半チキャン着。チャーター便に乗り換え9時半チキャン発。40分ほどでリャーマックの部落へ、依然歩いて一日かかった所だ。それから20分ほどでポンパの部落へ。ここはロドリーゴの故郷なので知り合いも多く、ブーロもすぐ集まってきた。11時ポンパ発1時間近く登ると彼の実家があるので家に寄る為ロドリーゴと別れる。1時半マンカンプンタ(マンカン峠)4575mに着く。目前にワイワッシュの山々が一望できる。左からロンドイ、ヒリシャンカ、イエルパハー、ラザック等鋭い山並みが美しくもあり、厳しくもある。3時ハウアコーチャ着。まもなくロドリーゴが追いついてきた。湖畔には小屋があり、ここの夫婦もロドリーゴを知っていた。ビールとコーラを買いBCに向かう。途中の小屋で魚を買い今夜のおかずにする。4時BC着。車が奥まで入るようになったのでここまで1日で入れ楽になった。

ラザックの山頂を望む         シウラグランデ(ラザック南陵コルより)

 

8/18(木)晴れ

 7時にロドリーゴ、エミリアーノとフェデリコの3人が荷揚げに出ていく。9時頃アリエロとブーロがプンパに向かい帰っていった。10時頃3人は戻ってきた。12時過ぎにキッチンテントを残しBC発。ソルテラコーチャを回り込みヒリシャンカ、ロンドイを見ながら草付きの尾根を登る。やがて正面にイエルパハーが見える。イエルパハーの北面側は灰色の岩壁、西側は1000mほどの氷壁になあってイエルパハー氷河へ、イエルパハースルーからコルへそして右へラザックの岩壁へと続いている。CM着3:15。ヒリシャンカの下部の氷河から時々氷のブロック雪崩の音が聞こえる。遠くコルデルブランカの山々が望まれる。

8/19(金)曇り後晴れ

 夜半から風が強くテントが吹き飛ばされると思うほど、ポールがゆがむ。隣のテントも起きるのが遅いイエルパハーを含め周囲の山々は雲がかかり見えない。朝食後テントをたたむのが大変だった。8時半強風の中出発。イエルパハースルーの方は日が当たっている。手袋をしても冷たい。10時半モレーンからイエルパハーオエステ氷河に移る。氷河は比較的平らに見えるが5000mを越えているのできつく感じる。幅も広く1kmぐらいあると思う。行く手正面にコルが見える。左手はイエルパハー氷河大氷壁、右手はラザックの茶黒色の岩壁。ラザックの頂上直下100mほどは雪壁となっていてその下は400mほどの岩壁となってイエルパハー氷河へと落ちている。イエルパハーの大氷壁は近くから見るとズタズタに切れている西面から登れそうにない。また稜線には大きな雪庇となって今にも崩れ落ちそうに見える。1時半5600m近くのグレッシャーCに着く。ラザック岩壁から100mほど離れた場所だ。時々落石がヒューヒューと音を立てて氷河上に落ちる。

 

ラザック山頂         ラザックセントラルJ,K(ラザック本峰より)

 

 

 

8/20(金)晴れのち雪

 6時半ロドリーゴとフェデリコがルート工作に出ていく。まずセリアとのコルに向かい右側の南東壁へと向かい姿が見えなくなる。9時頃南陵のしたに2人の姿が見える。長いトラーバース後雪稜に移ってからまた岩稜を登っていくのが見える。雪壁を目指し南東壁へと戻り左上気味に登っていく。1時過ぎ頂上に続く雪壁にドリーゴの姿が見えるが途中から下降してくる。1:40フェデリコと合流、懸垂下降始まる。2時半頃から小雪が降り出す。3時半頃より雲がたれ込み本格的な雪となり明日の天気が気になる。4:10二人はテントに戻る。ロドリーゴはこれくらいの雪では大丈夫だと言っている。自分はモンターニャだと言っている。雪は夜10時頃止み月が輝き始めた15cmほど積もったろうか。月明だがラザックの岩壁が白く見える。

8/21(土)晴れのち雪

 朝2時起床満天の星空。オリオン座が見え月明が明るい。3時出発月明かりでイエルパハー氷河は明るい。クレバスに注意しながらサラポへのコルを目指し、セラック地帯を登る。コル手前からラザック末端の取り付きへ、アイゼンを脱ぎ凹状気味の壁へ、いきなり5級のグレードのピッチ、前日ザイルをフィックスしてあるので楽だ。ヘッドランプの光では50mピッチを登るのは遠く感じる。

昨夜の雪で壁は白くなってしまった。長い長いトラバースが始まる。平均的には3級ぐらいだが暗くて雪が着いているので気が抜けない。ロドリーゴ、私、フェデリコの順にコンテニュアスで進む。ルートがわかるように昨日のルート工作でケルンを積みリボンを結んである。年に何パーティー登るか年よって登らない年もあるのでルートが判明しにくい。またビレー点にはハーケンやシュリンゲがないので登るパーティーが打たなければならない。トラバースが終わり凹角の下に出る。30cmぐらいで出口がかぶり気味4級上ぐらいのグレードと思う。ロドリーゴがザイルを張り気味にするので苦しく感じた。乗り越すと大きなテラスになっていて視界が開けシラウグランデが見えラザック本峰が見えた。下から見ると南東稜を登れそうに見えるがこのテラスから見ると稜線は雪庇とシュルンドで通過不能に見える。ここで一休みティーとチョコレートを口にする。ここからアイゼンに履き替え雪稜2ピッチ岩稜とのシュルンドを1ピッチ登って南東壁へ移る。傾斜は60度ぐらい。またアイゼンを外し4級から3級の岩壁を登る。ビレー点の他ランニングビレーは取らない。左上気味に6ピッチ、頂上直下の雪壁にしたにでた。またアイゼンに履き替え100m2ピッチで頂上着11:40。頂上は平らで細長く反対側の西側は雪庇のため下を見ることはできない。ラザックは本峰、セントラルJ、K、ノルテ、オエステの5峰。イエルパハー氷河を挟んでほぼ平行な山並みとなってイエルパハー側は茶黒色の岩壁となっている。反対側つまり西側は全て氷雪壁となっているのでハウアコーチャの方から見るとイエルパハーの前に白い山群となって見える。セントラルJ、K、ノルテ、オエステの4峰はピラミッド形の山頂をしている。3人感激の握手そして抱き合って喜びを感じる。去年アルパマヨを登った帰りにもし来年来たときワイワッシュのラザックを登ろうとロドリーゴが誘ってくれたのが実現できて嬉しい。そのとき彼がラザックは岩登りが多く5級のグレードのピッチがあるといっていたので覚悟はしていた。6000m近くで5級の岩登りはどのくらい難しいか興味はあった。今年ラザックの登頂は我々のパーティーが一番先に登った。イエルパハー、ヒリシャンカは今年未登である。遠く以前登ったディアブロムードも見える。目前のイエルパハーが圧巻だ。右にシラウグランデがJ.シンプソンの本「死のクレバス」映画「運命を分けたザイル」の舞台の山が目前に見え親しみを感じる。やはりシラウ西壁は凄い壁に見えた。12:15下山開始、雪もほとんど消えまた元の茶黒色の岩壁へ戻る。下りは私がトップで懸垂、ロドリーゴとフェデリコがザイル回収、雪壁にでた所で2人を待つ、雲がでてきてシラウ、サラポの山頂は隠れてしまう。まだワイワッシュの先のコルデラ・ラウラもまだ見えている。雪壁はクライムダウン、南東稜のコルを懸垂で下り、トラーバースは雪がとけたのでバンド状の所もあり、思っていたより楽だ。トラーバースに入ってからはフェデリコ、私、ロドリーゴの順のザイルオーダー、途中3時が路から小雨が降り出す。5級の凹状壁あたりから本降りになって見る見る壁は白くなってきた。取り付きに下りザイル回収時ザイルの結び目が岩に引っかかり3人がかりでひいても下りてこずルーピングなどし、何とか回収。視界も50mぐらい。セラックを下り急いでテントへ帰り着く5:50.今夜は昨日以上の積雪になりそうだ。

 

イエルパハー(6617m)    ロンドイ5870m(左)ヒリシャンカ6094m(右)

 

8/22(月)晴れ一時雪

 起きると20cm以上の積雪、ラザックの南東壁も昨日以上に増し白くなっている。グレッシャーC発8:00。イエルパハー氷河は昨夜の雪で幅の狭いクレバスが隠れてしまいストックで確認しながら下る。何度か踏み抜きそうになり全員アンザイレンして上がるときより時間がかかる。ヒドンクレバスの恐ろしさを知る。11時CM着。朝食を採っていなかったのでここで1時間休んで昼食を摂る。CM12時発トロ、ヒリシャンカ、ロンドイを見ながら登ってきたモレーンを下る。ヒリシャンカ下のタム氷河からブロック雪崩が轟音を発てソルテラコーチャに流れ落ちる大滝に落ちていく。モレーンから草付きの道を下って一休みしているとアリエロが犬を連れて迎えに来てくれた。私のザックを背負ってくれ一緒に下る。1:30BC着。キッチンテントは置いておいたのでお茶を作りハウアコーチャ向け荷造りをしようとしていたら小雪が降るが積もるようではないのでブーロへ積む作業にかかるが、私とロドリーゴは一足先に出発、3時ハウアコーチャのテント場へ、ブーロ隊が来るまで小屋でビールを飲む。小屋のおばちゃんが小屋から呼ぶので入ってみるとジャガイモとサルタードをご馳走してくれた。3時半ブーロ隊到着。夕食前にラザック登頂を祝ってビールで乾杯した。

8/23(火)晴れ

 6時半ハウアコーチャ発。マンカンプンタ9時改めてワイワッシュのすばらしさを感じる。下りはブーロ道を下ることになった。峠より下っていくとプレインカの石積みの遺跡がある。5000年ほど前の石積みだそうだ。食料はジャガイモ等のイモ類。4500mほどの高地に何のために生活していたのだろう。11時ポンパ着。迎えの車が待っていたのですぐ乗り込む。11時半ポンパ発、

1:20チキャン着。2時発のバスでワラスへ。コノコチャ迄行くのに4回バスが故障し下車して歩くことになり1時間遅れてワラス着。これで全ての山行は終了。予定していた6座のうちサンタクルーズは状態が悪く登れなかったが他の5座は登れまずまずのせいかだった。何より事故等が無くて何よりだった。    ラザック本峰(6017m) ラザックセントラルJ(5850m) セントラルK(5725m)ラザックオエスト(5700m) ラザックノルテ(5239m)

  

サンタクルーズグランデ          5000年前のプレインカ遺跡(4500m

5.会計報告

 

一人あたり航空運賃等

 117,000(航空運賃)+17,800(税金など)=134,800円

 

ピスコ(4日間)

人件費

 ポルタドール1人 120+5(チップ)­=125$(13,750円)

食料費など     193ソーレス(6562円)

交通費      70$(行き7700円)、150ソーレス(帰り5100円)(12,800円)

ブーロ       20(ブーロ)+20(アリエロ)=40$(4,400円)

荷物預け      20ソーレス(680円)

 

アルテソンラフ(7日間)

人件費

 ギア1人     700$(77,000円)

 ポルタドール2人 350+40(チップ)=390$(42,900円)

 コシナール1人  140$(15,400円)

食料費等      500ソーレス(17,000円)

交通費       150(行き)+120(帰り)=270ソーレス(9,180円)

 

アルパマヨ(9日間)

人件費

 ギア1人     900$(99,000円)

 ポルタドール2人 540$(59,400円)

 コシナール1人  225$(24,750円)

食料費等      820ソーレス(27,880円)

入山料       10ソーレス(340円)

交通費       320ソーレス(10,880円)

ブーロ5日間    140(ブーロ)+50(アリエロ)=190$(21,010円)

HOTEL宿泊料(1人) 

リマ   22$(2,420円)

ワラス  20*11=220ソーレス(7,480円)

バス代(リマ−ワラス往復)95ソーレス(3,230円)

TAXI代(1人) 50ソーレス(1,700円)

ここまでの交通費、宿泊費、登山費用の合計(1人分) 371,096円(食事、お土産代等を除

いたもの)

 

 

 

ワンドイノルテ(9日間)これより丸山単独

人件費

 ギア1人     900$(99,000円)

 ポルタドール2人 540$(59,400円)

 コシナール1人  225$(24,750円)

食料費等      650ソーレス(22,100円)

交通費       220ソーレス(7,480円)

ブーロ       75$(8,250円)

サンタクルーズ(5日間)

人件費

 ギア1人     500$(55,000円)

 ポルタドール2人 300$(33,000円)

 コシナール1人  125$(13,750円)

食料費等      400ソーレス(13,600円)

交通費       400ソーレス(13,600円)

ブーロ       190$(20,900円)

 

ラザック(7日間)

人件費

 ギア1人     900$(99,000円)

 ポルタドール2人 420$(46,200円)

 コシナール1人  175$(19,250円)

食料費等      400ソーレス(13,600円)

交通費       320ソーレス(10,880円)

ブーロ       150$(16,500円)

@丸山(68日間)のかかった費用は総額約100万円でした。

 

世界一美しいといわれるアルパマヨ       ピラミデに見守られて氷河を歩く

 

6.装 備

共同装備

  品  名

数量

 備  考

   品  名

 数量

 備  考

テント(4人用 )

 2

丸山

フライパン

 1

ワラスデポ

アイススクリューハーケン

 10

丸山

 

 

 

ペグ

16

深澤購入

敷板(マナ板)

 1

ワラスで購入

テントマット

 2

丸山、深澤

包丁

 1

ワラスで購入

ダッフルバッグ

 2

丸山・深澤

皿・コップ   

 

ワラスで購入

ザイルφ9mm

 2

丸山・ワラスデポ

タッパー

 

ワラスで購入

スノーバー

 7

丸山(6)深澤(1)

燃料

ワラスで購入

コッフェル()

 1

深澤

ローソク 

 3

ワラスで購入

コッフェル()

 1

丸山

梱包袋

 

ワラスで購入

コンロ

 2

ワラスで購入デポ

ガムテープ

 

ワラスで購入

鍋(圧力式)

 1

ワラスデポ

ポリタン4ℓ

 2

ワラスで購入

 【個人装備

  品  名

 数量

 備  考

  品  名

 数量

 備  考

登山靴

 

 

シュラフ

 1

 

トレッキングシューズ

 1

BCまで

シュラフカバー

 1

 

大型ザック

 1

 

ヘッドランプ

 1

 

アタックザック

 1

 

電池

多数

 

オーバヤッケ・ズボン

 1

 

水筒

 1

 

オーバー手袋

 1

 

食器

 1

 

冬山用下着

 2

ポリエステル等

コップ

 1

 

登山用衣類

 1

 

テルモス

 1

 

防寒着

 1

 

はし・スプーン

 1

 

厚手手袋

 2

毛・フリース

ロールペーパー

現地購入可

薄手手袋

 1

  〃

ライター

 1

現地購入

帽子

 2

目出帽も

コンパス

 1

 

靴下

 3

 1

 

ロングススパッツ

 1

予備バンド要

軍手

 1

 

サングラス

 1

 

個人マット

 1

 

ゴーグル

 1

 

筆記具

 1

 

ピッケル

 1

 

ビニール袋

 1

 

アイゼン

 1

 

カメラ

 1

 

アイスバイル

 1

 

ヘルメット

 1

 

ストック

 1

 

テントシューズ

 1

 

ハーネス

 1

 

整理袋

 1

 

カラビナ

 

ナイフ

 1 

 

シュリンゲ

 6

 

日焼け止めクリーム

 1

 

ユマール

 1

 

リップクリーム

 1

 

エイト環

 1

 

洗面用具

 1

 

 

 

 

 

旅行用装備

  品  名       

数 量

 備  考

  品  名       

数 量

 備  考

航空券

 1

 

ガイドブック

 1

 

パスポート

 1

 

スペイン語会話集

 1

 

パスポートコピー

 1

 

洗剤・洗濯ハサミ

 1

 

顔写真3.5×4.5

 1

パスポート再発行用

シャンプー・リンス

 1

 

海外旅行保険

 1

 

歯ブラシ

 1

 

現金

1式

米ドル

カミソリ

 1

 

クレジットカード

 1

 

タオル

 2

 

電卓

 1

 

爪きり

 1

 

筆記具・ノート

 1

 

ティッシュペーパ

適量

 

 

 

 

7.医療

医薬品リスト】

医薬品名

商 品 名

医薬品名

  商 品 名

解熱・鎮痛薬

バッファリン

止痢・整腸薬

正露丸

外用薬

ゲンタシン軟膏 (10g) 1本

利尿剤

 

合感冒薬

パイロンAM

 

 

                                                                    

 

 

 

 

【医療機器・衛生材料リスト】

 機器・材料名

 数 量

 機器材料名

 数 量

体温計         深澤

  1個

包帯         丸山購入

大小各1個

テーピングテープ    各自

大小各1個

ピンセット        深澤

    1本

三角巾       丸山購入

  2枚

鋏            深澤

  1個

カットバン     丸山購入

 50枚

ガーゼ          深澤

  1枚

 

 

 

 

8. ペルーアンデス登山隊05 隊員名簿

  氏 名・任 務

所属山岳会

 

丸 山 利 夫 (隊長)

aruyama-oshio

 

JMC高嶺会

 

深 澤  巧

ukazawa-akumi

 

 

熊谷山旅会

 

 

 

ブーロに荷物を積むアリエロ          お世話になった谷川さん