行程4/30(土) 5:55馬場島−6:40赤谷尾根−10:45 1563P−12:30 1860P−15:30赤谷山(泊)

5/1(日) 4:35赤谷山−5:52赤ハゲ−6:40白ハゲ−7:55大窓−10:10大窓の頭−13:34小窓−16:34三の窓(泊)

5/2(月) 9:40三の窓−10:40池ノ平乗越−11:36長次郎のコル−12:30剣岳−15:30早月小屋−18:20馬場島

ルート図 赤ハゲの登り 剣岳頂上にて背景は北方稜線 早月尾根から北方稜線

<概要と反省>

  園さんに誘われての山行が今回で3回目。最初は03/7月の北鎌尾根深澤が膝を痛めていてキャンセル。04/4月の立山スキーは園が靴ずれでキャンセル。今回は深澤が膝肩痛で駄目かと思ったが何とか根性で無事下山できた。

今回計画を立ててくれた本田技研山岳部藪内氏とは99/5月北鎌尾根でお会いし、それからずっと注目していた。藪内氏の記録を参考にして山に入ったこともある。厳しい山を探求している実力クライマーだ。福本氏はフリーでサーテンを登る。体力、確保技術、雪上技術すべて優れていてこれから大いに期待のもてる若手クライマーだ。

4月30日(土) 快晴

前夜6時過ぎに馬場島について屋根のあるところにテントを張って藪内さん、園さん、深澤で宴会。ドンペリとか言う洒落たシャンペンをご馳走になる。朝早く福本さんが合流し出発。ブナクラ谷出合にかかる橋の辺りが赤谷尾根の末端で、先行者のトレースは白萩川右岸に付いていたが我々は赤谷尾根主稜に近いブナクラ谷側から取付いて920の平坦地へ出た。平坦地から残雪の沢を少し登ったが、左手に延びる雪渓を詰めて主尾根へ這い上がる。主尾根に雪はなく、園得意の薮漕ぎなのに二日酔いなのか元気がない。今回膝の保護のためのストックが凄く邪魔になった。標高1500m付近から展望が開け南東の方角に剱岳が見えるようになる。「剣見るなら赤谷尾根でよう〜」なるほどすばらしい。だんだん藪も少なくなり雪稜を進む。予定の1860Pを越え視界の開けた尾根を進み、急な雪壁を登り切ると赤谷山。平らな広い山頂である。ど真ん中にテントを張る。今夜は2パーティーのみ。夕食は明るいうちから外に出て剣岳を向いて食べる。薮内さんが用意してきた鶏鍋。鶏だけでも1kg以上という大量の具材に唖然!最後は生うどんまでいただいた。感謝!

5月1日(日) 曇り、午後から雨

いよいよ今日が縦走の核心部である。白萩山(2269)は北東面をトラバース。簡単な斜面とは言え滑落したら奈落の底だと緊張した。トップが作ったステップに足を置き、いつそれが崩れてもいいようにピッケルのシャフトを雪面に根本まで差し込んで登った。赤ハゲで一休みしていたら昨晩同じく赤谷山にテントを貼ったYクラブパーティーも追いついてきた。尾根通しにいくつかの小ピークを越えて到着した白ハゲはその名の通り白いたおやかな山頂である。ここから大窓への下降は南南東の尾根伝いであるが降り口が懸垂下降になるので、南西の支尾根に向いたトレースを追ってみると踏み跡が消えていた。戻るのも面倒だから急な斜面を東へトラバースしてやっとルートへ出た。この間2人数メートル滑落。尾根に戻ってからも大窓まで滑落の危険のある下降は福本さんが園さんをコンテで確保。慎重に下る所だ。Yクラブメンバーが滑落。運良く崖のすこし手前に口を開けていた小さなクレバスに落ち込み危うくセーフ。大窓で休息。目の前の大窓の頭はアイゼンを外して藪と雪のルートを辿り一息ついて前のYクラブの登るのを確認して池ノ平山北峰の登り、雪渓を右に登り藪道に出て頂上。休まず急なガレ場を下り雪渓をつめて南峰の頂上に着いた。近くに女性の声。思わず振り向くと5,6人女性がスノーシューを履いてこんな所に。池ノ平小屋から来たのか。池ノ平山南峰からの小窓ははるか下だ。急なガレ場。藪内さんがザイルを張ってくれて懸垂。さらに雪壁をクライムダウン。途中浅い大きなクレバスがあり足場が無くあえなくクレバスに落ち込む。やっと傾斜が緩くなりようやく小窓へ下り立つ。小窓からはまたまた雪壁の急登。ついにパラパラと空がなき始める中、苦しい急登を登りつめようやく小窓尾根に這い上がったと同時に強い風雨が吹きつけてきた。深澤のみ雨合羽を着ていないので慌てて着けるがジッパーが入らず。モタモタしているうちにずぶ濡れになった。小窓尾根の2650PでUターン気味に向きを変え南東のピークに登り、続く尾根を進むと三の窓への下降点で薮内さんが懸垂の準備を済ませ寒さに震えていた。50mの懸垂ルートをシングル50mロープ1本で懸垂。薮内さんはクライムダウンで下りる。先に着いた福本さんはテントを張って風に飛ばされ無いよう後続の来るのを待っていた。やっとテントの中に入ったがびしょぬれ。薮内、福本両氏のてきぱきした無駄のないテント生活技術に感嘆。深澤は衣類まで濡らし寒い夜を過ごした。

5月2日(月) 濃霧後快晴

昨晩から続いた土砂降りの雨がやんだ9時半に三の窓を出発。辺りは濃いガスが立ち込め池ノ谷ガリーがどれか判然としなかったが間違えることなく池ノ谷乗越に登り着くことが出来た。ここはカメラマン達がテントを張っていて我々の登ってくるのを写真に納めていた。しかたがないモデルになってやっか! 池ノ谷乗越からはたくさんの冬毛ライチョウを眺め、長次郎の頭を登りつめると待望の剱岳は目の前、午後12時半剱岳山頂着。誰も居ない山頂からは周りの山、富山湾はおろか能登半島や新潟も一望! 下山は標高差2200mの早月尾根。上部の危険区域は2回の懸垂、早月小屋でたっぷり休んでアイゼンを外し、雪の稜線を一気に駆け下りた。

以上コースタイム、記録は「常吉のホームページ」を引用、参考にしました。深澤記