ワスカラン、シュスタニ遺跡

「インカの1ヶ月間」             鈴木 幸子

 昨年チベットでご一緒した石坂氏、深澤氏から今回のワスカラン遠征の計画をお聞きし、私も参加させていただきました。チベット遠征の時から折に触れ石坂氏からお聞きしてきたペルーの様子は、ぜひ行ってみたいと思わせるに魅力十分でした。1ヶ月間ということできっとワスカラン登頂成功し、その後の観光も余裕でと思っていましたが、そんなに甘くはありませんでした。異常気象で雪が多く、雪崩の危険性が多く、しかもクレバスも多いという状況で、やむなく雇った現地ガイドも二の足を踏むという状況でした。

この異常気象はペルーだけでなく、ペルーの北エクアドルも同様で、ここ2〜3年チンボラッソ等の登山を難しくしているようです。

アタック当日の朝(未明)は寒くて、ルートどりを待つ間、指先が冷たさから痛さに変わり、昔の凍傷痕の感覚が徐々に失われていきました。それとともになんとしても登りたいという意欲も薄れていき、更に上を目指した丸山氏、深澤氏には申し訳ない気持ちです。

登頂ならず残念でしたが、見知らぬ土地を見て歩き満喫できただけでも貴重な1ヶ月間を過ごすことができたと思います。悠久のインカ遺跡、色鮮やかな民族衣装のインカ人たち、山の上まで斜面いっぱい続く畑と、ゆったりした時の流れ等々、石坂氏からお聞きしていた通りの光景に触れることができました。高所順応で入ったイシンカ谷は、将来またぜひ訪れたいトレッキングコースとして心にしまっておきます。

またワラスの街では、現地で暮す谷川氏に微に入り細に入りお世話になりました。感謝の言葉も見つからないほどです。まさにペルー ワラスの地で生き抜いてこられた谷川氏に出会えたこともまた今回の遠征で得た収穫でした。

鈴木C1にて