石坂ウルス山頂にて

   “今回も登れませんでした”

 石 坂 次 郎

 今回は2度目のワスカランでしたがまたも頂上に立つ事はできませんでした。

その意味では悔しさが残ります。

 モチベーションはずっと高く維持していたし、1ケ月の予定を計画しても仕事の心配もなく時間の余裕はたっぷりありました。また一緒に行く仲間が自分の会の人ではなく、昨年チベットに行って知り合った仲間とその会の人と言う新鮮なメンバーであることも気持が高揚しました。国内でのトレーニングもそれなりにやったし、前回の経験も生かした計画もできたしこんどこそは、とひそかに思ったものでした。

 でも結果はだめでした。モチベーションや気合だけではどうにもならない事もあるのです。

登山、特に海外での登山には様々要因があることを改めて知らされました。

 自分を鍛え、磨き、知識を増やすことは自分でできます。しかし外的要因となるとそうはいきません。天候はどうにもなりませんが山には付き物の問題です。今回の「ガイドを付けなければいけない」と言うことが実際の登山中にこんなにも色んな事を考えさせられるとは思っても見ませんでした。「ガイドの力量は」「経験は」「権限は」「全体の人数は」「ガイド協会の組織は」等々です。

 一番考えたのは「ガイドなしで登ったらどうなるだろう」と言うことでした。

クレバスを避けて安全に登るルートについては彼等の方が良く知っているだろう。しかし「南峰は無理」と言って北峰に変更してきた彼等の考えはそのままのんでいいのだろうか?

「登ろう」と言う意欲ははるばる日本からきた我々よりも遥かに弱いのではないか?等々です。

それは自分1人で来たのならば「そうかな」と思ったかも知れないが今回はメンバーが揃っていたので多くの疑問を感じてしまいました。そんなワスカランに再度挑戦するかどうかはただ今考慮中です。

 さて、私の今回の反省点は「高所での体力不足」です。ガイドとの連携がうまくいかなかったこともありますが、C1からC2へ上がった時はかなり苦しかったです。翌日北峰トップへ向かうにはちょっと余力がありませんでした。1日休んだ翌日なら行けたとは思いますが。

 国内ではそれなりにやってきたつもりでしたがまだまだ足りなかったようです。

その外で一番困るなと思ったのはやはり「ガソリンコンロ」を取り上げられた事です。今後この方面に行く時はどうすればいいか考える必要があると思います。

 登山以外ではまだ各種費用を安くできたことです。慣れてなかったこともありますが、初めて行くメンバーの考え方がよく分らず安全サイドに手配した内容もありました。

 こんど行く時はこの経験を十分生かせると思います。

登山以外の「遺跡を巡る旅行」はとても楽しかったです。マチュピチュは何回も写真で見ていましたが実物をみた時は多くのことを考えさせられました。

 今回体験したことを会の仲間を中心に多くの人に伝えて行きたいと思っています。

隊員のみなさんありがとうございました。         (2004.8.18 記)