<医療報告>

ウルス山 チチカカ湖ウロス島にて

                                鈴木幸子

@ 主に使用した医薬品について

高所順応のために入ったイシンカ谷から、標高が上るとともに頭痛の訴えが多く、その都度バファリンを飲んでいただいた。

また、胃部不快・腹痛・下痢・吐気等の消化器症状が多く、発熱を伴うケースもあった。食べ物が原因か、高度障害による酸欠や疲労が誘因となったかさだかではないが、下痢止め・整腸剤・胃薬等、消化器系薬剤を多く使用した。発熱には抗生物質も服用した。幸い1〜2日で症状緩和し、長引く事はなかったが、その後も胃部不快や下痢等の消化器症状は頻発した。

感冒薬も発熱・咳・喉の痛み等で時折服用された。

雪焼けのため皮膚のただれが悪化した人がいた。強烈な日射・乾燥で、日焼け止めやリップクリームを塗っても口唇付近はただれ、亀裂もみられた。そのための軟膏を準備しておくと良かったと反省する。

A SPO2値について

高度が変わる度にパルスオキシメーターで血中酸素飽和度を測っていただいた。

C1(5200m)初日では70%代、C2(6000m)では50〜60%と低い数値だが、下山の際のC1では殆んどの人が80%代と、初日より高く、高度順応されていた事がうかがえた。脈拍数はSPO2値が下がる程に増え、安静時でも100回/m以上となる人が多かったが、酸欠のための反応として現れた結果といえる。

SPO2値は個人差があり、一番若い篠原隊員は常に皆より10〜20%低い値であった。頭痛はあるものの、比較的お元気で、腹式深呼吸により数値の上昇もみられ、合併症の症状もなく経過された。

今回、隊員の皆さんが各々上手に自己管理されており、医療担当とは名ばかりで、薬を持ち運ぶだけの役割だったように思います。また負傷者もなく、全員無事に登山活動を終える事ができ安堵しています。