【 沢 名 】 檜枝岐川 下ノ沢 左股 左沢
【 山 名 】 会津 駒ケ岳
【 日 時 】 2003年9月6日(土)(9月5日前泊)
【 天 候 】 曇り時々小雨
【 ルート 】 竜門の滝登山口5:55→下ノ沢入渓点6:10→6:25竜ノ門滝下→6:35竜ノ門滝上  
→7:30 15m滝→(7:50第一ゴルジュ終了)→8:20二俣→9:35水流突破滝→9:50 
10m滝(ザイル)→10:05同滝上→11:53奥の二俣→12:55水涸れ→13:15稜線登
山道→13:20駒の小屋→13:55下山開始→15:25登山口着→15:35竜ノ門滝駐車場

【メンバー】 Hさん、園
【 地 図 】 1/25000 (国土地理院HPよりDL)
【 温 泉 】 桧枝岐燧の湯=露天あり+半循環?+500円−シャンプーなし ○

雨で山に行かれない夏休みの間にネットサーフィンしていて知り合ったのは何と会社の同僚のHさん。お互い面識は無かったものの、すぐに行きましょうという事になって会津駒ケ岳から発する檜枝岐川下ノ沢に行ってきました。

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こんな滝の連続 7mトヨナメの流芯突破 上部で行き詰った核心の8mくの字滝 こんな滝が最後まで続いた

5日

HさんはHPを立ち上げる前は会社の山岳部のデータベースに沢の記録を載せていたので名前だけは知っていたが面識は無く、金曜の退社後会社の近所の公園で互いの車を目印に落ち合った。

HPを立ち上げたお陰で出会い系サイトとの冗談もでるほど新しいネット仲間との山行計画が増えてきたというHさん、新しい出会いはいいもんだ。

Hさんは沢だけでなく、スキー1級、バトミントン部、最近夢中になっているゴルフは70目前、市民楽団所属のちゃんとしたトランペッターと多彩。何でおんなじ会社でこんなに優雅なの?

龍門の滝の遊歩道の入り口を確認した後、国道脇の駒ケ岳登山者用の駐車場に戻り車中泊。少しだけ飲んで寝る。

6日

心配していた天気は幸い高曇りである。準備をして竜門の滝遊歩入り口まで車で移動する。(路肩に3台可能、満車の時は駒ヶ岳登山口に数台分)

ガイドブックには竜門の滝をどうせ巻くのだからそこまでは登山道で行った方が良いとあったが、折角だから遊歩道が下ノ沢を横切る橋で入渓。

ゴーロを少しで立ちはだかる2段40mの竜門の滝は踏み跡が明瞭な左岸を高巻く。沢はここから滑りやすい大岩まじりのゴーロ・小滝が続く。バランスよくヒョイヒョイと遡行するHさんのペースは私の3割方速い。第一ゴルジュの手前の大岩でついバランスを崩して尻餅をつき、危うく頭から落ちそうになったところをHさんに支えてもらって事なきを得た。う〜ん、情けない。

第1ゴルジュ帯は5m以下の滝の連続であるが、水量も多く難しくはないがお気楽というほどでもない。釜を持つ10mトヨナメは右壁から取り付いて巻き気味に落ち口へ下りた。

小滝をいくつか越えて谷が開けてくると第1ゴルジュは終了である。

大岩ゴーロをしばらく行くとガイドブックにキャンプ適地とあった二俣へ出た。しかしテントが張れそうな河原はなく、泊まるなら左岸の背丈より高い草をなぎ倒すしかなさそうである。

左股に入ってしばらくはゴーロ歩きであるが、第2ゴルジュへ入ると連瀑帯である。Hさんは左から入る7mトヨナメを流芯のシャワークライミングを敢行。斜度は低いが取り付きの釜は胸まであるし流れもかなりのものなので私は左のスラブから登った。

いくつかの滝の後の8mくの字滝が一つ目のハイライト。落ち口直下までヌルヌルの右壁を登るとオーバーハングにはばまれ、それを回りこむためにもろに流芯に下半身を突っ込まねばならない。岩で二分され50センチほどに狭められた流芯の水圧に耐え切れずあえなく敗退。Hさんに代わってもらう。見事に乗り切ったHさんの差し出すお助け紐ですがって何とか這い上がることができた。

10m3条のすだれ滝を左から巻いて少し行くと右手から7m滝が現れる。右壁に残置ピトンのある3mほどのフェイスがありこれにトライしたが、敗退。続いたHさんは残置からやや右のフェイスに手がかりを見つけクリア。私は簡単な左壁を登った。

第2ゴルジュのどの滝だったか記憶に無いが、4mほどの比較的簡単なナメ滝の最後の一歩で足を滑らせ滑落。見事に深い釜にザックまで水没した。滑落中は一瞬のことなので考える間もなかったが水中で滑落を悟り、我ながら驚くほど冷静に泳いで岸に上がることができた。

それまでのシャワークライミングやおりからの小雨で寒くて堪らず、水中のステップに足を入れるのを嫌っての結果である。

幸い両膝、尻の軽い打撲で済み遡行には支障なかったが、不精は命取りと深く反省。

第3ゴルジュの入り口の8m滝は直登するならば左壁のガリーと思われたが、すだれとなって落ちる水流の裏をくぐらなければ左壁へは行かれない。右手に高巻きルート(残置あり)もあるが、直登にこだわるHさんが全身びしょぬれになって左壁取り付きまで行ってみたが登れそうもないと言う。(これを書いている本日、登った記録を発見)

そこで高巻きルートに取り付いてみるが、残置ハーケンからの2歩が登れない。

Hさんに代わってもらうと、残置ハーケンの左上の藪に隠れていた残置シュリンゲを発見。これを使ってトリッキーな登りで何とかクリア。私は確保されていても自分の技術では登れそうも無いのでロープを固定してもらってユマールを使ってで強引に登った。ここが第2の核心部だった。

その後も、これでもかと言うくらいの滝の連続だった。相変わらず速いHさんのペースに少々疲労気味になるが、あまり寒さは感じなくなっていた。

奥の二俣には右沢から10mの滝がそそいでいる。垂直なので登行意欲を誘われるのだろう、ちょっと登りたそうなHさん。

左沢に入ってすぐに2条の美しい滝が出てくる。「どこが簡単なんだよ」とガイドブックに文句を言ったのは覚えているが、どう登ったかは記憶に無いので多分簡単だったのだろう。

その後2度二俣が出てきてちょっと迷ったが、地形図をにらみながら水流の多い方を選んで登ると水枯れから先は意外にもジャングルのように背が高い草が両側から覆いかぶさる枯れ沢となった。本流らしき跡を詰めると最後は記録通りのさわやかなお花畑となり、水枯れからわずか20分ほどで登山道へ出た。わずかとは言えお花畑を踏んで山腹を登るのは気がひけた。

登山道を5分も登ると駒の小屋。営業小屋とシャッターで仕切られた立派な避難小屋で身支度を整え山頂へ向かおうかともと思ったが、外は強風。ただでさえ雨具を忘れてきて寒くて仕方なかったので登山道を下山した。