南アルプス塩見岳 正月山行
2003年12月28日〜12月31日
リーダー熊谷
記録 坂上
気象 宮脇
12月27日 22:00勤労会館集合
夜10時集合。直前に風邪の為に不参加となった石川氏より食糧を受け取る。
この場で個人、共同両装備のチエック後出発。
12月28日 6:00起床 8:25塩川小屋手前2km地点出発 9:15〜9:30塩川小屋16:25三伏峠BC
20:00就寝
6時に起きるが、3時間程しか眠っていないので体が重い感じがする。食糧を分配し、ザックを背負おうとするが、
重くて一回で背負えずよろめいてしまう。30Kちょっとといったところか。
途中、塩川小屋に寄るが無人だった。計画書を出して出発。塩川を何度か渡り直しながらカラマツ林の中を進む。
登山道には、塩川小屋から三伏峠まで10等分し、1/10、2/10という具合に小さな看板が出ていて、
どれ位進んだか分るようになっている。
やがて塩川から離れ、尾根の急登になる。ここからが本当に苦しい登りになる。
急登なだけに、すぐに高度は稼げるのだが、苦しくて息があがる。いくらか登ってから振り返ると、
快晴の空に中央アルプスが一望に見渡せた。真っ白な雪を頂いた連山の美しさに思わず足を止めた。
重荷に苦しみ、あえぎながら登り続けるが、体調が悪いのか熊谷さんが遅れ始める。
ピッチを落としてだましだまし登り続け、うんざりする程長い登りの末、午後4時25分に三伏峠に辿り着く。
午後4時放送の「気象通報」に間に合わず天気図は描けなかったが、昨日描いた天気図から、
明日の天気はなんとか大丈夫だろうと思った。熊谷さんは、食欲もなく辛そうで、「明日はテントに残る」と言い出した。
うつむき気味で本当に体調が悪いらしい。
12月29日 4:00起床 6:30出発 11:00〜11:20塩見小屋 13:10〜13:20塩見岳14;15塩見小屋
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いよいよ塩見岳目指して | 塩見小屋と塩見岳の岩峰 | 悪沢岳と荒川岳の展望 |
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山頂に到着 | 山頂にて。後方は東峰 | 展望良いが天候悪化の雲 |
4時に起床。朝食が、起きぬけの体には喉を通りにくく、今ひとつ食欲がわかない。
熊谷さんは体調が戻ったとのことで、やはり一緒に塩見岳アタックに向かうことになった。
ここからピストンの予定だが、行程が長いだけに、ビバークも有り得るので、ツエルト×2張り、
バーナー、コヘル代わりの食器、シュラフカバー、エアーマット、等を準備していくことにする。
(この時、象足をどうするか迷ったが、持っていかず後で後悔することになる)
6時半に全員雪崩ビーコンのスイッチを入れたことを確認し合い出発した。ルート上には
トレースがあり、2年前のようにラッセルに苦しめられることもなく進めた。三伏山に登ると、
目前の塩見岳はもとより、間ノ岳、仙丈、甲斐駒が見え、遠くは北アルプスの銀嶺までも望見でき、
素晴らしい景色を満喫する。坂上さんは、山座同定に忙しい。
ルートは一旦鞍部に下った後、登り返して本谷山に登りつく。ここからの塩見岳の眺めは最高だ。
秀麗で、塩見岳が最も素晴らしく写るアングルだろう。快晴ではあるが、レンズ雲がいくつも浮かんでいて、
上空では強風が吹き始めているらしい。
2570mまで高度を下げ、夏道通りに樹林帯の中を進む。昨日の疲れが残っている為、ピッチは早くない。
主稜線に登り返した先の塩見小屋に着いたのは11時。ここから見上げる塩見岳は目前に見え、
一投足の距離に感じた。(もう完全に射程距離に入った)と思った。
11時20分に塩見小屋を出発する。ここから先は、これまでと様相を一変し、急傾斜の岩稜地帯を
登ることになる。右側から慎重に登高するが、もし落ちたら、この急斜面では止めるのは難しいだろうと思った。
塩見沢は深く、下を見ると良い気持ちはしない。
ルートは1本しかない為、下山してくるパーティーに道を譲ったり、ザイルを使ってるパーティーを待ったりで捗らず、
気は焦るがどうしようもない。思いの他時間がかかり頂上に到着したのは午後1時10分。
長い登りだったが、ついに塩見岳山頂に登頂できた。
記念の写真を撮って早々に下山にかかる。この頃から強風が吹き荒れ、小雪さえ舞い始めてきた。
強風にバランスを崩されそうになりながらも慎重に下り、午後2時15分に塩見小屋に戻る。
ここからは悪場は無いのだから、時間がかかっても三伏峠のBCに戻ろうとしたが、皆疲労が激しいことから、
小屋に泊まることにした。(冬季用に開放はしていないが緊急時には泊まれる3畳位の部屋)
バーナーを点けてお湯を沸かして飲み落ち着く。午後4時からは気象通報を聞いて天気図を描く。
サハリンの付近にある低気圧の寒冷前線が日本列島に南下しつつある。外の風雪は、その寒冷前線の仕業だと思う。
小屋の中にツエルトを2張り吊るし、エアーマットを敷きシュラフカバーの中に潜り込み
眠ろうとするが、足が冷たくなかなか眠れない。仕方なくフリースを足に巻き眠るが、寒さの為に何度も目が覚めた。
12月30日 5:00起床 7:20出発 12:15三伏峠BC 19:20就寝
小屋の外に出てみると快晴。ゆうべの降雪は大したことはかったようだ。やはり寒冷前線の通過による一過性
の悪天だったのだろう。湯を沸かして朝食を済ませ7時20分に出発。トレースが跡形もなく消えてはしないかと
心配したが大丈夫だった。ラッセルをせずに済みほっとする。
下りといっても、結構登りも多いルートなので楽ではない。ペースを落としてこまめに休みをとりながら歩き続ける。
本谷山、三伏山を越えて12時15分に三伏峠のBCに戻る。
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雪の堂々たる塩見岳 | 三伏山で大展望に恵まれる |
12月31日 4:00起床 6:45三伏峠撤収 9:35〜9:50塩川小屋 10:20塩川下部駐車地
ゆうべは暖かいシュラフの中でたっぷりと眠ることができた。朝食を済ませ、すぐに撤収する。
今回は食糧が多く余ってしまったので、ザックがあまり軽くなっていない。 肩の痛みに耐えながら、
雪の降る中を下る。登りではあんなに苦労して稼いだ高度も嘘のように早く下げていくことができた。
尾根道を下りきり、塩川沿いの道を辿るようになってからも長かったが、10時20分に塩川小屋から更に30分程下った駐車地へ
到着し、四日間の正月山行を終了した。
(宮脇記)