【 山 名 】 物見山、燕巣山(つばくろす山)
【 山 域 】 奥日光
【 日 時 】 2003年11月1日(土)2日(日)
【 天 候 】 快晴
【 ルート 】 1日 女夫淵8:05→11:10鬼怒沼11:20→12:00物見山12:10→
14:20 2091 14:35→15:20 2098.7 15:35→17:20燕巣山直下のコル
2日 燕巣山直下のコル6:55→7:25燕巣山7:50→8:55 2083 
→10:00 2045 →10:40湯沢峠10:55→12:20ヒナタオソロシの滝展望台
12:30→12:40鬼怒沼登山道→13:55夫婦淵

【メンバー】 蔵前さん、園
【 地 図 】 1/25000 川俣温泉、三平峠、男体山

蔵前さんが栃木の2000m峰で登り残している3山の内の1つ燕巣山にお誘い頂き、行って来ました。丸沼から四郎岳経由ならば刈り払われた登山道がありますが、オリジナルルートにこだわる蔵前さんが立てたルートは女夫淵から鬼怒沼経由で物見山に登り、南下する尾根伝いに藪を濃いで燕巣山を踏んで湯沢峠に降りて1泊、翌日は念仏平から根名草山への密藪を突破して女夫淵へ戻るというもの。丸沼側からは別として、栃木側から燕巣山への記録は83年に女夫淵から物見山経由で湯沢峠に降りた記録(http://www.h3.dion.ne.jp/~suji/)と「栃木273山」のKさんが99年に湯沢峠からピストンした記録ぐらいしか見当たりません。(残雪期には私たちと同じコースを上野さんがスキーで歩いたとか)

 念仏平から根名草山は記録すら全く見つからなかったということから更に深い藪が予想され、今回の核心部と思われました。

結局、初日の藪に体力、気力をなくした私が足を引っ張ったため燕巣山到着が翌朝となり、湯沢峠についた時点で時間・水切れとなり一般道で女夫淵へ下山となりました。

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1日)

女夫淵から物見山までは整備された登山道があるので省略。

物見山山頂から意を決して藪に飛びこみ南東に延びる尾根を目指したが、藪に入る地点が少々東に寄っていたようだで30mほど降りてから山腹を西へトラバースして方向修正。この辺りまでは西上州でも経験した程度の藪であったが、尾根形がはっきりし始めてからは沢登りの詰めでも経験したことがない深い笹薮の連続となった。

最近めったに付ける事のなくなっていた熊除けの鈴の音さえかき消される猛烈な藪漕ぎに、いつしか熊への恐怖にすら構っていられなくなっていた。登山靴のひもに藪が絡んでいくら強く結んでも1分もしないうちに解けてしまい、うっとうしい事このうえない。

密藪との格闘で予定の2/3に満たない燕巣山直下コルに着いたのはもう日もとっぷりと暮れた17時20分。疲れきっていたためか吹き溜まっていた雪を見て「塩だ!何でこんな所に?」などど錯乱して蔵前さんの不審を買った。

あと100m登れば山頂だからと蔵前さんは登りたげであったが、もうフラフラになった私は全く動く気がせずここでビバークとさせてもらう。

ツェルト泊は初体験。テントに比べてなんと心もとない事か。ここらは完全に熊のテリトリーだろうと熊除け鈴を風鈴代わりに吊るし、ヘッデンを点けっぱなして熊撃退スプレーとナイフを脇に夜を過ごした。

2日)

昨晩は食欲不振と節水のためスモークチーズ2片と菓子パン半分をウイスキーで流し込んだだけだったが、朝はラーメンを作ったので今日の行動中の水は600ccになった。

燕巣山へは100mをひと登り。開けた山頂には四郎岳からの広く刈り払われた登山道と幾つもの山名板が付けられていた。

山頂付近から南東への尾根が分かりづらいが、磁石で見当をつけて降りていくと赤テープが出始め、コル前後では踏み跡もしっかり付いてテープも過剰なほどになった。藪に慣れたせいか精神的にも大分楽になり、「折角ルーファン楽しみにして来てるのにテープなんか付けるなよ」などと思う余裕が出ていた。

とは言え踏み跡自体はありがたくこりゃ楽勝だと思ったのであるが、それも長くは続かずいつしかテープも稀になって再び背丈の高い笹薮との格闘が始まった。楽はさせてくれないものだ。

ルーファンをもっとも心配していた2045から湯沢峠に向かって南南東に延びる尾根に折れる地点には意外にも立派な標識が付けられていたが、開けた林の平坦部を過ぎコルに向かって急下降を始める部分が非常に分かりづらかった。磁石で何度も確認したにもかかわらず東南に延びる枝尾根に引き込まれかけたが、後に居た蔵前さんが気付いて方向修正してくれた。しかしたった10mほどを登り返すのが大変だった事。それこそ分速2mの世界に入ってしまい消耗した。更に続く藪を掻き分けコルから小ピークを一つ越えると突然目の前が開け見事に湯沢峠に飛び出して、蔵前さんが日頃口にしていた「藪から登山道へ飛び出た瞬間の安堵感」を実感した。

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帰路の温泉でふと気が付いたのですが、倒木などにひどく打付けた記憶もないのに両の脛が大きく真っ赤な痣になっていました。絡みつく笹やシャクナゲをいなすことなく、脛まで使って払いのける我ながらあきれた強引な足運びがボディーブローのようにきいてそうなったのでしょう。片や、蔵前さんの足は全く何ともなし。

藪歩きは足運びさえ奥が深そうで…。