【 山 名 】 皇海山、鋸山、庚申山
【 山 域 】 足尾
【 日 時 】 2003年10月12日(日)13日(月)(10月11日前泊)
【 天 候 】 12日雨のち曇り、13日曇り一時雨のち晴れ
【 ルート 】 12日:三川ダム駐車場10:30→11:15旧車止めゲート
      (大ナギ沢出合)→12:15ウメコバ沢出合→12:35堰堤上13:05→
       14:45ニゴリ沢出合→15:15もみじ尾根取付15:30→16:30国境平
13日:国境平5:45→7:20皇海山7:55→8:20不動沢のコル8:30→
       9:05鋸岳9:20→9:40熊野岳→10:10白山10:15→10:23薬師岳→
10:36地蔵岳→10:40渓雲岳→10:52駒掛岳→11:00最低鞍部→11:15
三岳山→11:30庚申山11:45→(お山廻り)→13:13庚申山荘14:05
→14:50七滝15:00→15:50かじか荘

【メンバー】 蔵前さん、上野さん(以上Nifty薮仲間)、園
【 地 図 】 1/25000 足尾、皇海山
【 温 泉 】 かじか荘 600円、半循環なれど露天風呂の紅葉よし ○

かねてから行ってみたいと思っていた松木渓谷からの皇海山。蔵前さんと上野さんからのお誘いに二つ返事で行ったのですが、思いもかけない素晴らしい紅葉と自然を堪能してきました。
****************************************

11日

のんびり温泉に浸って酒でも酌み交わしましょうということで、銀山平の国民宿舎かじか荘に前日集合。対岸の岩壁で紅葉したもみじが夕日に照らされ真っ赤になるのを見ながら浸る露天風呂はいい気分。湯上りのビールを飲んでいると上野さん、蔵前さんもやって来た。GWの平が岳山スキー山行以来の再会だ。深夜まで飲んで山の話に花が咲いた。

12日

朝起きると本降りの雨。天気予報では午後にはあがるが、明日の昼前後はまた本降りとのこと。出足をくじかれ宿で愚図愚図しているうちに雨脚も弱まり、じゃあ行きますかということになって上野さんの車に乗って松木渓谷の入口へ向かった。

昨年の秋までは林道を大ナギ沢出合いまで車で行けたとの事であるが、現在では三川ダムから先は一般車の通行禁止になっており、以前の車止めゲートまで約50分の未舗装の車道歩きを強いられる。鉱毒で禿山となった両側の尾根では大規模な緑化工事が今も続いていた。

ゲート脇から一旦河原に降り、落石を気にしながら崩壊の激しい林道を歩く。このあたりの右岸には大岩壁が迫る印象的な光景が広がり目を奪われる。栃木のグランドキャニオンだか日本のグランドキャニオンだかと呼ばれているらしいが納得。

ウメコバ沢出合いで林道が終わると河原のゴーロ歩きとなる。何度かの渡渉の後に大きな堰堤を右手から巻き、奥に15mくらいの美しいCS滝を掛ける枝沢(三沢?)の出合いは絶好の休憩ポイントだった。両岸はいつのまにか緑の尾根となり、谷間の前方に姿を現せたもみじ尾根の紅葉に歓声が上がる。ここから先は膝くらいの渡渉が何度も続いた。

上野さんが前回来た時には3mほどあったという滝は、釜の水位が上がったためか50cmくらいのただの段差となっていてがっかり。段差の両岸は厚さ1mほどの超ミニゴルジュになっていてへつりはできないし、コバルト色の水をたたえる深くて大きな釜はとても歩いては渡れない。左岸の明瞭な踏み跡を辿って高巻くが、50センチの滝の高巻きなんかめったにないことだ。

にごり沢に入り後を振り返ると庚申山に連なる尾根で沢山のもみじが燃えるように赤くなっていてまたまた歓声!

その名の通りもみじが群生するもみじ尾根への取りつきは地形図から想像していた尾根の末端でなく、にごり沢が南に屈曲するあたりの山腹の木の赤テープで示されていた。尾根に乗るまではかなりの急登であるがやがて傾斜も緩み、最後はトラロープに誘導されて笹の斜面を右手にトラバース気味に登ると国境平の上の笹原に出た。上野さんとGさんは何年か前に宿坊堂山から縦走してきた時にもここにテントを張ったとの事。

水は群馬側に数分降りたところで得られた。

明日登る皇海山が目前に大きく聳えている。明日は朝からきつそうだ。

13日

早起きの上野さんに起こされてテントから出てみると、夜明け前の空の大部分が厚い雲に覆われ皇海山の上部はガスの中であったが、幸い雨は降っていなかった。東の空の朝焼けが今日の天気の悪化を予感させ、今日の雨中山行を誰もが覚悟した。

しかし僅かな内に天気は回復を始め、歩き始めと同時に迎えた日の出に白樺の林全体が赤く輝き、影絵のように3人の姿を樹上の葉のスクリーンに映し出した。初めて見る不思議な光景だった。

国境平から皇海山へは540mの厳しい登りが続く。樹林の中で視界も得られず、ひたすら登る。ようやく到着した山頂も木々に囲まれ大展望と言うわけにはいかなかったが、樹間からは上州武尊山、至仏山、燧岳、日光連山などが眺める事ができた。出発前は雨中の山頂とばかり思っていたので予想外の眺望に大満足である。いつものように上野さんが開けてくれたフルーツ缶詰が美味。

不動沢コースからの登山客で狭い山頂が込み始めたのを機に次なる鋸山を目指した。

不動沢のコルまで降りると鋸山まで120mの登り返しだ。県境にこだわる上野さん、栃木の山頂にこだわる蔵前さんに誘われ、ルートから僅かに外れている1901峰もついでに最高点を踏んだ。

鋸山山頂の眼下北側にはまさに錦秋と呼ぶにふさわしい紅葉の森が広がり、その中心に松木渓谷がゆるやかに蛇行していた。緑と黄色と真紅のコントラストと、尾根と谷という立体のコントラストが調和して素晴らしい景色だった。あんな素晴らしい渓谷を歩く事ができて満足感いっぱいだ。

さてここから11峰縦走が始まるのだが、薬師岳までの岩場が難路だという。やけにホールドが少ない垂直の鎖場の登りや、適切なステップを見つけられないと身体が外に振られそうになる降り、表妙義の縦走路に出てくるような長いスラブに付けられた鎖の降りなどを楽しんだが、高所恐怖症を自認する上野さんは少々緊張気味だったようだった。難路が終った白山ピークでついに雨が降り始めた。岩場の通過中に降られたら怖かったねと一同。表妙義や八海山のように鎖場が連続するわけではないが、雨の中では楽しいルートではないということは間違えない。

本降りの中、場所によっては胸の高さまでの笹薮を掻き分け庚申山に到着。暑いので雨具の上だけしか付けなかったので皆ズボンがずぶ濡れだ。森の中ですこし休憩して庚申山荘へ降るが、蔵前さんの希望でお山廻りルートを歩く。ここはまだ山歩きを始めて間も無い頃に、落石による吊り橋の崩壊で通行禁止になっているのに強硬突破しドキドキしながら歩いた思い出のルートだ。雨は相変わらず本降りだったが関東ふれあい道になっているルートはしっかり整備されていて問題無かった。

庚申山荘で大休止の後、一の鳥居へのハイキングコースで上野さんが森の中の熊を発見。「あそこ!」「あそこ!」と言っている内に残念ながら岩陰に隠れてしまい私は見る事ができなかった。

一の鳥居まで降りてきて七滝めぐりの案内板を見付けた蔵前さんが寄って行こうと言う。もう大分疲れているのにこの人の好奇心とバイタリティに感心。しかし残念ながら遊歩道の崩落で七滝めぐりはできず、いつのまにか回復したさわやかな秋の日差しを楽しみながら最後の林道をかじか荘へと向かった。