八ヶ岳横岳西壁石尊稜 2004年1月11日
メンバー:高田、熊谷
6:10行者小屋テント発 −7:30石尊稜末端 − 11:55石尊稜終了点
 − 13:05行者小屋テント

朝赤岳主稜組を見送って、6時10分頃行者小屋を出発。
まだ暗い中ヘッドランプを付けて進む。中山乗越を過ぎ急下降。
急な下りが終わったところで右にトレースがあるが、
これはまだ石尊稜への道ではない。さらに赤岳鉱泉に進みやや開けたところで
右のトレースに入る。高田さんを先頭に進む。沢をずっと詰めていく。
後ろから単独行の人が来る。やはり石尊稜に行くとのことだ。
石尊稜の末端近くで先行パーティー5〜6人に追いつく。7:30石尊稜末端着。

下部岩壁まで先行パーティーの後ろを進む。潅木帯のリッジ登りだが傾斜は
やや強く気は抜けない。初心者がいる場合はアンザイレンした方がいい。
下部岩壁で登攀準備。久しぶりに見る下部岩壁は小さくまた傾斜が緩く感じた。
後も見ると後続パーティーも続々やってくる。
さて何処にルートを取るか。高田さんがリードすると言う。内心ほっとする。
なにせスラブで難しそうなので。先行パーティーは2パーティで女性が多い。
先行パーティは、壁の右側から右端へ行くラインを選んだ。時間がかかりそうなのと、
後続パーティーに先を行かれてはたまらないので高田さんが直ぐ取り付く。

一応先行パーティーのトップが1ピッチ目の終了点に着くのを待って登攀開始。
高田さんは、右から取り付き、壁の中央を突破するルートを選んだ。
壁のほぼ中央のレッジでピッチを区切る。さて私の出番である。
まだ今シーズン初のアイゼン登攀で体が慣れてない。
セカンドでも落ちたら恥ずかしいなーと思いつつ、ジリジリと這い上がる。
何とか高田さんの所まで到達。
で「じゃ行きますね」と当然の様に言って今度はトップで登る。
本当は「やっぱ次も高田さんトップお願いしますね。」と言いたかったのだが、
超人高田さんにそんな甘えが通じる筈もなく、内心ヒヤヒヤしながら登る。

見ると左上の潅木帯が一番近そうなので、そこを目指して草付きスラブを登る。
あいにくバイルは昔氷用のセミチューブにしたままなので刺しても効かない。
なんとか潅木に達し、プロテクションを取りホッと一息。
そのまま先行パーティのトップが達した岩壁のピークまでロープを伸ばす。
ビレーすると高田さんが直ぐ到着。ここで先行パーティーより先に行かせてもらい
今日の先頭になる。この下部岩壁の下半分は3級+位で上半分は3級くらいか。

さて稜線上のピッチ、下部岩壁から数えて3ピッチ目は高田さんがリード。
50mいっぱい伸ばす。ここは潅木の中の稜線登りだが結構急だ。
4ピッチ目は私がリード、トレースの残ってない稜線を行く。
ちょっとした岩場の手前まで。5ピッチ目は高田さんリードで進み小ピークに達した。
6ピッチ目は少し下って鞍部を越え、50mいっぱいの所でビレイ。
ここでコンティニアスで来た2人組に先を越された。
6ピッチ目高田さんリード。きれいな雪稜になる。
念のためコンテでなくスタカットでビレイしつつ進む。
7ピッチは私がリード。雪稜途中まで。
ここで後ろも来ないし眺めも良いので、小休止して昼飯にする。
行く手には上部岩壁が堂々と聳えていて大丈夫かちょっと心配。
8ピッチめ高田さんリード。簡単な雪稜を上部岩壁取り付きの手前まで。
9ピッチ目簡単な雪稜。熊谷リード15mで上部岩壁取り付きに達した。

コンテで先行したパーティはまだ岩場の取り付きに居た。
近くで見る岩場は案じていたのと違い簡単に登れそうだ。
10ピッチ目は高田さんリードで凹角を3mほど登り、右に出てリッジの右を登る。
3級マイナス位か。
まだロープには余裕があったが、30m位でピッチを切った。
この時ロープが岩に引っかかった事があったので、いっぱいと勘違いしたのかも知れない。
11ピッチ目熊谷リード。10mスラブを進み、この先は急激に右に折れるのでここまで。
ピナクルがビレイに使える。12ピッチ目高田さんリード。
右へ傾斜の落ちたルンゼを行くと石尊稜の右側に出る。
13ピッチ目熊谷リード。もうビレイの必要も無いほど傾斜の落ちたルンゼ上を行くと
終了点に着いた。私が11:45着。高田さんがセカンドで着いたのが11:55分。
やりましたね!と握手が嬉しい。

帰り仕度をしていると、どこを登ってきました?と聞く人が多い。
石尊稜と答えるとその名は皆知っていた。何となく晴れがましい。
下りは地蔵尾根に取った。高田さんは13:05頃行者小屋に到着。
私は途中で腹が減り休憩したので13:20行者小屋着。

熊谷記

横岳石尊稜概念図