【 月 日 】03年1月26日 (25日前泊)
【 天 候 】快晴・微風
【 山 名 】朝日岳 南稜(通称東南稜)
【 山 域 】那須
【 形 態 】岩稜登攀
【 ルート】大丸温泉8:50→9:45峠の茶屋10:00→「高山植物云々」の看板→11:10
東南稜取付11:25→12:00ピナクル懸垂下降→12:45 1860m前衛峰
12:55→13:20朝日岳13:35→峰の茶屋避難小屋(休憩)→
14:55峠の茶屋→15:30大丸温泉
【 地 図 】1/25000 那須
【 参加者 】Sさん、Kさん、園 (本田山岳部)
【 宿 泊 】大丸温泉 ホテルニュー大高 (温泉:流し切り、日帰り¥700=△)


朝日岳東南稜とは、峰の茶屋〜剣が峰〜朝日岳の稜線と沢ひとつ隔て、地形図で言えば朝日岳からほぼ真南に延びる2本の崖マークに挟まれた岩稜です。(南稜なのに何故か県岳連も東南稜と言っています。)峠の茶屋の駐車場から見上げた朝日岳の左側のスカイラインを形成し、峰の茶屋へ向かう山腹の登山道からは沢を隔てた右手にピナクルを2つ従える登行意欲をそそる尾根です。一昨年初めて一般道を歩いた時にいつかはきっと、とあこがれたこのルートを登るチャンスに恵まれました。
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25日)若い頃は田部井さん(夫)らと会社の山岳部の一時代を築いたOさんのご卒業祝いの会が那須で開かれる事になった。夕刻の集合だったので朝日岳東南稜を登ってから宿に行こうという計画を立てたが、当日は朝からとんでもない強風が吹き荒れ断念。朝から温泉にアルコール、時々昼寝という贅沢な一日を過ごした。昔の仲間も集まった夜の送別会ではプロジェクターで映し出される若かりし頃のOさんの勇姿を肴にしての賑やかな宴会が深夜まで続いた。

26日)幸い今日は風も無く晴天となったので山スキー組、ゲレンデスキー組、茶臼山登頂組、朝日岩稜登攀組と思い思いの行動である。もうあと一週間経つと会社でお会いする事もなくなるOさんに挨拶をして、ささやかな記念品のお返しにと頂いたヌンチャクとカラビナを装備に加え出発する。

大丸温泉のトイレ脇から始まる夏道はここ23日の雪で腿までのラッセルである。2/3ほど登ったKさんがあきらめて駐車場にワカンを取りに戻ったが、一登りで車道に出てしまえば雪は浅く締まっている。ロープウェイ駅を過ぎ峰の茶屋の下の広場から始まる登山道は予想通りの深雪である。ワカンを履いて先行者のトレースを辿るがそれでも膝まで埋まってしまう。先行者はさぞや大変だろうと大感謝である。

森林限界を越え茶臼山の山腹のトラバース路に入ると雪は風で飛ばされ石ころの夏道が露出していた。ここで登攀用具やアイゼンを身に付け、右手の沢への下降ルートを探っていると前からゲレンデスキーに行った筈のKBさんが降りてきた。
「あれ、何してるの?スキーに行ったんじゃなかったの?」
「何言ってるんですか!? ラッセルしておいてくれって朝飯の時に言ってたじゃないですか」
さすが体育会系山岳部、年寄りの言う事には素直である。感謝感激。
我々よりたった20分早く宿を発っただけなのに一人でラッセルをして朝日岳に立ち、もう下山だという。唖然。さすがは朝の新穂高ロープウェイに乗って西穂から奥穂、北穂、槍と縦走してその日の夜には新穂高温泉に戻って来たという伝説の強脚の持ち主である。

「こんな所に何故高山植物が」なんて解説の看板の辺りから沢へ伸びる雪渓を下降し東南稜の取付に立つ。夏ならここまで45分というのに今日は2時間半もかかっている。
昨年は何回かアルパインクライミングを経験したが、冬山の重装備でアイゼンを付けての登攀は初体験だ。確保不要な簡単な岩稜であるが登り始めてみると荷の重さとアイゼンの爪で思ったようには足が置けず最初はかなり戸惑ってしまった。

しばらく登って現れた最初のピナクルの中腹を回り込むと懸垂地点である。懸垂下降と言っても高さは5mくらいであろうか。クライムダウンも不可能ではない。岩に支点を取っての懸垂下降でコルへ降りると、次のピナクルは右から回りこむこともできるが、折角の岩登りなのであえて直登する。この春の県岳連ロブジェイースト遠征隊の隊長だったSさんは確保なしで登ったのに、同登攀隊長だったKさんは何故かパス。アイゼン登攀初体験の私は念の為にSさんに確保してもらって登った。
(今回ロープ使用は懸垂とこの登りの2個所だけ,いずれも無くても可)

二つのピナクルを過ぎるとあとはひたすら急なガレ場登りであるが、狩倉槍へのアプローチで苦闘した石船沢右股左岸に落ち込んでいた涸れ沢よりずっとましである。あれを経験してしまうとどんなガレ場も怖くない?

朝日岳頂上直下の前衛峰(地形図に記載なし)でザックを降ろしての休止とする。目前には白い噴煙を上げる茶臼岳が大きく立派だ。それに比べて先々週苦労して登った鬼面山は眼下に小さく、なんだかパッとしなくて可哀想。剣が峰南東面の雪田をトラバースし、挙句の果てに山頂まで直登して尻セードで遊んでいる二人の登山者が見えるが大丈夫かなぁ。

取付きからここまで全くと言っていいほど付いていなかった雪がここから現れた。雪庇に注意しながら主峰とのコルへ降りると78mの岩壁が現れるが、幸い雪も付いておらずここもロープ不要だった。無事着いた山頂で三人で握手。登路を振り返ると何だかすごいところを登ってきたように見え、なかなかの達成感だ。

帰路は雪崩れを避ける為に剣が峰を稜線伝いに行く予定でいたが、さっきの二人があれだけ遊んでいても雪崩れなかったのだからという安易な判断で夏道でトラバースを敢行。万が一に備えザックのショルダーストラップをルーズにしストックのベルトも手から外して一人ずつ横断したが、いかにも雪崩れそうな急斜面なのでやはり稜線伝いに行くべきだったと反省している。
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あこがれの東南稜はクライミングの要素こそ少なかったものの、アプローチの深雪、岩稜登攀、懸垂下降と変化に富んだ山行が楽しめました。岩好きにはお手軽ルートでお勧めです。ただしこのルートに行く場合、できれば登山届は指導所でなく救助隊長自宅(ホテルニュー大高:大丸温泉Pの10m上)に直接出して欲しいとの事だそうです。