【 目的地 】 黒尾谷岳(1589m 板室)
【 日 時 】 2003年1月11日(土) 晴れ
【 ルート 】 水道施設10:50→14:30山頂14:45→16:45水道施設
【メンバー】 Nさん、園
【 地 図 】 1/25000 那須
【 温 泉 】幸の湯(板室)=> ◎

Nさんから那須北温泉起点に鬼面山を経由して東稜から朝日岳に登り大丸温泉に降りるという山行のお誘いを受け、前夜は板室にあるNさんの別荘に泊めていただいた。しかし新年早々から仕事に忙殺されていたNさんは極度の寝不足、対照的にお気楽な新年会の連荘が祟った私は風邪で発熱、こんな二人が遅くまで飲めば早起きできる訳もなく、翌朝目が覚めた時には既に10時を回ってしまっていた。あーあ・・・。

で、朝日岳は明日のお楽しみにして今日は山荘の北東にある黒尾谷岳に藪山スキーに行こうという事になった。ここら一帯の水源施設の作業道をNさんはウロコ板+シール、私はフリートレック+シールで登り始める。今日も体調は相変わらずで、疎林の中のほとんど傾斜もない歩きやすい道を10分も歩かない内に気分が悪くなり、木に寄りかかりながら苦いものが咽にこみ上げて来る始末。新年早々何たる醜態!今シーズン2回続けて雪山のピークを踏めなかったこともあり、早くも嫌な予感である。

作業道から白笹山と黒尾谷岳を分ける小沢名川へ降り対岸の黒尾谷岳から南西に伸びる尾根に取付く。尾根に登りつくまでの急斜面は潅木にすがりつくようにして身体を引きずり上げるが、こんな時には短いフリートレックは潅木に絡め取られても扱いが楽である。

尾根に出てしまうとしばらくは林の緩斜面が続くが、次第に傾斜がきつくなり潅木を縫うようにしてジグザグに登行していく。更に傾斜がきつくなり潅木も密になると階段登行が必要になるが、フリートレックを斜面と平行に置こうとしてもヒールが完全にフリーになっているためテールが追従せず斜登行しかできない。
フリートレックの最大欠点ではないだろうか。

1250m付近で2度目の休憩をしている時、体調不調でここまで付いて来るのが精一杯だった私の内心を見透かしたNさんが
「園さん、今日が今年の初山?だったら諺担ぎに頂上踏んだほうがいいよ。」
大丈夫ですかなどと気休めにならない言葉を掛けないところがこの人のいいところだ。

頂上直下は密藪とのことでスキーをデポし腿までの坪足ラッセルで山頂へ。ここまでは藪のために展望は一切なかったが山頂には意外にも360度の展望が広がっていた。何度も弱気の虫が顔を出して来る中で、Nさんの一言に何とか引きずられて山頂まで来ただけに嬉しさもひとしおで、氏の差し出してくれた手が本当に嬉しかった。

風も強く時間も時間なので早々に山頂を引き上げ、問題のスキー滑降である。もとよりスキーは上手いほうではないし、ましてや慣れぬミニスキーである。斜滑降あるいは横滑りにキックターンを織り交ぜて恐る恐る潅木の間を滑り降りる。年末のゲレンデでの練習の成果もあってか滑りで転ぶ事は少なかったが、もう十何年もやっていないキックターンのやり方が思い出せずキックターンの度にコケしてしまう。これを見ていたNさんは新式のキックターンかと思ったとか…。

決して快適とは言えない藪斜面であるが、それでも前回の四阿山に比べてずっとまともに滑れる雪面に調子に乗ってターンを試みるが、やはり圧雪された広いゲレンデのような訳にはいかないものだ。
往きに腕ずくで登った急斜面は雪面が柔らかいのを幸いにシールをつけて斜滑降ならぬ斜下降で切り抜け、ほとんど暗くなりかけた中、山荘に戻りついた頃には体調も少し回復し始めたような気がしてきた。 さぁ、今夜も宴会だ… バカ