【 山 名 】鬼面山(那須)(朝日岳は強風と体力気力切れで敗退)
【 日 時 】2003年1月12日(日)曇り後晴れ 強風
【 ルート 】北温泉駐車場9:00→中の大倉尾根への登山道→林道分岐→毘沙門沢→
飯盛山と1438Pのコル→鬼面山の東尾根取付き→13:00鬼面山15:30→
18:00北温泉駐車場
【 メンバー】Nさん、園
【 地 図 】1/25000 那須
【 温 泉 】板室 幸の湯(◎)¥500+ロッカー¥100

北温泉(那須)から鬼面岳を登って朝日岳前衛の1816小ピークへ東尾根から登り、キレットを越えて朝日岳を登頂して剣が峰、峰の茶屋経由で大丸温泉へ下山するというお誘いを栃木の藪雪山エキスパートのNさんから受けた。前半の朝日岳までは歩く人もルートも無く、地形図とコンパスだけが頼りの雪山歩きである。

前夜は宴会もそこそこに切上げた為寝坊する事もなく、定刻の8時に山荘を出発し大丸温泉駐車場にNさんの車をデポし私の車で北温泉駐車場へ向かう。最悪だった体調は回復したようだ。北温泉の旅館の脇ですでに膝までの雪となりスノーシューを装着。中の大倉尾根への登山道はのっけからの急登でNさんのハイペースに全く着いて行けない。尾根上の林道終点からちょっと怖い崖上をトラバースした後、毘沙門沢へ適当に急下降する。対岸の斜面を登り1438Pの斜面をトラバースして尾根の取付きを目指すが、深雪と所々に出てくる急登とに消耗する。東尾根は地形図上では緩やかに見えるが、新雪をまとったこの季節は尾根上に出るまでが中々の難所だった。何度もスノーシューを蹴り込んでしっかり足場を築かないとの足元が崩れ落ちてしまう。キックステップの繰り返しで腿が攣りそうになった。我々に驚いたのか左の小さな沢の深雪をカモシカ2頭が駆け上がって行った。

尾根に乗ってしまってからも木立に掴まって這い上がるような難所はあったが、すぐに緩傾斜帯になる。左手の沢の源頭部をトラバースして鬼面山山頂へダラダラした広い尾根を歩くが、雪面の下に隠れた笹とハイマツのため一歩進む毎に腿まで埋もれてしまいまたまた消耗。山頂は凄い強風である。これでは普段でさえ強風の剣が峰はとても越えられそうにない。その場合は隠居倉から三斗小屋温泉をまわって峰の茶屋へ登り返すことになるが、ここまでの疲労と迂回路でのラッセルを考えると到底今日中に帰れるとは思えず、リタイヤを申し出るとNさんは一人で1816Pまで行ってくるとの事。少しは風が防げる沢の斜面にツェルトを張ってNさんを待つ。

1時間半経った3時を過ぎてもNさんが戻らず、不安になって探しに行こうとツェルトから出ると、強風の中にかすかに笛の音が。大声で叫んで手を振ってNさんを呼ぶ。1816から下山してからツェルトが見つからず30分も笛を吹きながら彷徨していたとの事。空身だったのでたいそう不安だったそうだ。比較的見通しが利く場所だったので二人ともまさかそんな事になるとは思いもしなかった。

帰路は行きに苦労した斜面をシリセードで降って楽チンかと思ったが強風で往路の深いトレースがすっかり消えてしまい、気が付いたら位置不詳になってしまった。どうやら1438Pに登ってしまったようだが、幸い山頂から飯盛山が見えたので復帰できた。

中の大倉尾根への登り返しで最後の体力を使い果たし、気力だけで北温泉に降り立ち、駐車場までの登りは精根尽き果て、車に着いた時には口も利けなくなっていた。