生家はいよいよ遠くなりたり 父母も既にこの世に在まさねば    逝かしめしを悔ゆ嫁ぎて吾は しみじみと母と語らう事もなく    嫁ぎし故の悲哀は尽きず 善し悪しも筒抜けにして生家近く    身には切なく遠く思ほゆ 土手一つ隔てし生家も嫁ぎ来し    生家につづく畑中の道 用持ちて或は密かに行き来せし    形見の如く受くるさみしさ 手すさびに母が編みたる小銭入れ

   着けしコ |
トに手を触れてみつ

希いつつ未だ買えざるマネキンの

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