病むいのち 病む社会 病む自然
癒しの思想

                 丸橋 賢

解説 小峰一雄  

 この本の著者丸橋 賢先生はマスコミ等でご高名な方で、私も以前から存じ上げていた。今回、友人からお借りする機会があり、読ませていただいたのでここで紹介する。
 今回、最も興味深かったのは筆者と私がひじょうによく似た環境で育ち、同じような思いをいだいていたからである。もちろん、私は何もすることができず、ただ見守ることしかなく過ごしてしまい恥ずかしい限りである。また、私も同様に食事に関する研究をし、学会で発表したり臨床に実践していたのであった。もう少し早くこの本に出会っていれば、さらに予防の普及がもっと早い時期に成し得たと思われる。

 あらすじ

 第1章では著者の生まれた環境について書かれており、故郷の温川における生態系に環境破壊が及ぶ様を本人の眼を通 して表現されている。実は私も同様の体験をしていたのであった。それこそ、イワナは生息していなかったが、かじかに関しても全く同じ体験をしていた。ただ、かじかの卵を私のところでは「あーこ」と言っていたり、くき取りでは川石で作るのを「つきでよせ」と呼んだり、水面 を「ガラス箱」と呼んで多少言い方は異なるが、幼い頃が蘇ったようであった。

 第2章では日頃、私たちが直面する臨床上の疑問について、常識を越えて広い角度から分析していたのである。ここでは現在の 歯科医学教育の欠点をものの見事に指摘しているのであった。我々歯科医にとって必見の章であると思われる。

 第3章においては、その博学さだけでなく環境問題についてひじょうに深く研究されているので一般 の消費者においてもとても参考になると思う。環境破壊のなかで生きている現代人において、それが見えなくなっていることの恐ろしさを感じさせられた。ぜひご一読願いたい。

 その他、文学においてもひじょうに興味深いものがあった。