私は薬に殺される

                 福田 実

解説 小峰一雄  

 この本は私の患者さんからお借りしたものである。実は、この患者さんは私の診療室で歯周病のメンテナンス中に高脂血症であることがわかり、病院での検査を奨めた。その後、この患者さんは病院から投薬され服用を始めたが、この本を読み不安になり私に相談してきたのであった。
 私は日頃、日常診療において薬剤を使用しない診療を心がけ体の自然治癒能力に働きかける治療に重きをおいていた。それは薬剤の怖さを十分に熟知して いるからである。(身内に薬害被害者がいるのと、投薬により治癒が遅延することを知っていた)ほとんどの患者さんに他科からの投薬薬剤を確認させていただき、薬剤交差がないよう配慮はもちろん、薬の説明等のアドバイスをさせてもらっている。現実に不必要と思われる投薬を頻繁に確認するのである。 そんな折りに、お借りしたこの本は誠に興味深く、また歯切れのよいタッチで我々の日頃のウップンを代弁をしていただいているような文章であった。
 しかも、著者は近隣の方で登場する病院や医科大学もよく知っているシチュエーションなので、特に理解し易かったのが印象的であった。

 あらすじ

 スーパービジネスマンである著者福田実氏は将来を嘱望されて前途洋々の存在であった。ところがある日、会社の健康診断で高脂血症が見つかり、マジメに市内の病院で高脂血症の治療薬を処方され、飲み始めた。ところが、ますます体調が崩れる一方であったのである。しかし、これらの症状の悪化を主治医に訴えても全く取り合ってもらえず再起不能なまでになり、自ら薬害を突き止め国を相手に戦う手記である。われわれ一般 人にはとても想像できないほどのバイタリティーがあり、ほんとうに人間的な強さに感動させられた。
 また、国や製薬会社そして医師に対して、日頃不安感を抱いていたがこれ程までひどいものとは思わなかった。このままでは日本国が滅びてしまうという危機感さえ印象づけられるものであった。誰しも何となく感じていたと思うが、これ程ダイレクトに書かれるとショックを感じさせられる文章であった。