免 疫 革 命

                 安保 徹

解説 小峰一雄  
序 章 現代医学はなぜ病気を治せないのか
 著者は25年にわたって免疫学を研究してきた。免疫学をもっと統合的な視点から病気の根本的な謎を解き、その真の治癒に役立たせたいという思い研究を続けた。そして、1990年代に白血球の自律神経支配の法則を発見したのである。そして、人間の病というものがどうして起こるのかという全体的な仕組みが見えはじめ、同時になぜ現代医療が病を治癒させないのか、という問題点も明らかになってきた。特に患者数が増加の一途をたどっているガンやアレルギー疾患や膠原病などでは、現代医学と現代医療が病を治すどころか、むしろ重くする悪循環をもたらしていることもわかった。
 ガンという病気が免疫抑制で起こっていると言うことをとらえると、現在行われているガン治療に対して疑問が生じる。いわゆる三大療法(手術・抗ガン剤治療・放射線治療)への疑問である。現在の一般 的な考え方では、ガンは早期発見で外科的に除去が一番で、あとは抗ガン剤でさらにガンをたたく治療を行う。進行したガンでは手術が不可能な場合は抗ガン剤や放射線でガンを小さくすることを目指す。しかし同時に身体にとっては全身的な免疫抑制を起こし、免疫の戦う力がない状態で治療が終わる。そこで、逆に免疫力を高めればかなりの高率で治癒が得られるのである。
第1章  病気のほんとうの原因
 通常、実際のところ感染症の指標として血液検査で二つの白血球、リンパ球と顆粒球を調べる。この好中球(顆粒球)上昇が見られると感染症だと診断されて、細菌を抑えるためにたいていの場合、抗生物質を処方される。さらに炎症が強すぎて痛みがきついようだ、つらそうだということになると、消炎鎮痛剤が処方される。また、感染症の場合は熱が出ますから解熱剤も処方される。実のところ、解熱剤と消炎鎮痛剤というのは成分的には同じもので、このような対症療法ばかりやって、顆粒球自体の働きには全く目を向けていない。単に指標にのみ使っているのである。
 ストレスで増える顆粒球が病を招く
 顆粒球は交感神経が優位になると増え、増え過ぎると常在菌と戦って化膿性の炎症を自ら起こすという性質がある。また、細菌の存在しないところにおしかけた場合は組織を活性酸素で破壊してしまう。つまり、細菌があって初めて顆粒球は化膿を起こすのであって、細菌がない状態では組織破壊の炎症を起こすのである。この顆粒球の仕組みがわかると、いろいろな病気の謎が見えてくる。
 すなわち、ストレスが交感神経の過度の緊張状態を起こし、顆粒球が増えて組織を破壊して様々な病気が発症させているのである。
 逆のリンパ球過多の病気
 リンパ球は副交感神経支配下にある。従って、副交感神経を優位にすればリンパ球体質になる。その副交感神経優位 がいき過ぎるとリンパ球が増え過ぎてアレルギーが発症するのである。では、なぜ副交感神経が過剰に優位 になってしまっているのか。簡単にいうとリラックスのし過ぎなのだ。リラックスとは何かといえば子供の場合は過保護である。大人の場合は運動不足と食べ過ぎになる。ストレスがあると食べまくってストレスを発散するという経験は誰でもあると思う。それは食べることが一番手っ取り早く副交感神経を優位 にする方法だからだ。このような背景があってリンパ球が過剰になり、外来抗原に対する免疫の方が過剰な状態で発症する病気がアレルギー疾患なのである。
 消炎剤、解熱剤が治癒を阻んでいた
 副交感神経はひじょうに不思議なものである。快適さをつくる筈の神経なのに、過剰に働いたときは不快になってしまうからである。しかし病気を治す過程では、それは組織を修復するための反応として血流は増やさざるを得ないので、辛くてもほどほどまでは受け入れないと病気は治らない。
 ところが、現代医療では副交感神経が起こす治癒反応は止める対症にされているのである。これでは病気が治せなくなっている。すなわち、腫れがでたら消炎剤、熱がでたら解熱剤、と安易に薬が出される。そうすると不快な症状は止まるが組織を修復するための治癒反応も止められてしまうので、病気そのものも治さないままになってしまい、本末転倒な治療なのである。
第2章 もうガンも怖くない
 現在、ガンは日本人の死亡原因のトップで1981年以来ずっと続き、死亡原因の30%を占めている。また、ガンと言えば治らない病気、怖い病気ということになっているのである。
 ガンは免疫抑制の極限状態で起こる病気で、免疫が徹底的に抑えつけられるようなストレスが背景にあり、交感神経緊張状態が持続すると顆粒球が増えて、リンパ球が減るというパターンに陥ることが原因。従って、交感神経緊張をもたらすストレスを取り除き、副交感神経を活性化していけば必ず治る病気なのである。
 発癌のメカニズム
 交感神経はほどよく刺激されれば脈拍が早くなり、血流が増えて血行がよくなる。しかし、さらに交感神経緊張が進むと血流障害が起こって顆粒球が増え、細胞がどんどん破壊されてしまう状態になってしまう。だからガン患者の人はだいたい顔色が悪くて、やつれがきている場合が多い。
 ガンの起こるのは常に組織が再生している場所なのである。そういう再生が頻繁に起こっている細胞というのは細胞分裂が盛んであるがために、増殖の失敗も起こるし老廃物も出る。それらを片づけるために顆粒球がおしかける。そこで顆粒球の出す活性酸素にさらされる機会も多い。すると活性酸素が増殖遺伝子にダメージを与えて発ガンを促してしまう。
 このような発ガンでガン細胞ができても免疫力が旺盛であれば、リンパ球がガン化した細胞を殺してしまう。ところが免疫不全状態が長く続くとリンパ球が減少し、ガン細胞を殺すことができずガンが発症してしまうのである。このように免疫力を上昇させればガンは退縮させることができる。
 ガンを治す究極の4カ条
1.生活パターンを見直す      
2.ガンへの恐怖から逃れる      
3.免疫を抑制するような治療を受けない。あるいは受けている場合はやめる    
4.積極的に副交感神経を刺激する
 この4カ条を実行すればリンパ球の数や比率は上がる。そうすればガンは自然退縮を始める。4.の副交感神経の刺激は何かものを食べることで腸管を刺激してやると活性化される。例えば、玄米や野菜やきのこなどを中心に食べて副交感神経を刺激するのが最も簡単な方法である。
 ガンの三大療法の是非
 前述の3.「免疫を抑制するような治療を受けない。あるいは受けている場合はやめる」はガンの三大療法と呼ばれてもの、すなわち手術、抗ガン剤治療、放射線治療のどれもが残念ながら、免疫を抑制する治療なのである。
 手術
 手術は組織にメスを入れて傷をつけることになるので、大手術になる程交感神経が激しく刺激されて顆粒球が激増する。実際、大きな手術をきっかけにしてガンが全身に広がることは頻繁にあるのである。
 抗ガン剤
 抗ガン剤は現在たいへん広く行われている。ところが、抗ガン剤治療を行うと患者さんはみんなげっそりやつれ、免疫力が抑制されてしまうのである。結果 としてガンは小さくなったけれど、その後の戦う力がないということになってしまう。
 放射線治療
 放射線治療も免疫抑制を引き起こす。最近は大変な精度でガン組織にだけ照射できるという。しかし、限られた場所だけの照射なのに身体全体に免疫抑制が起こることがわかった。
 熱や痛みのあとでガンの自然退縮が起こる
 4カ条を実践するとガンの退縮が起こる。ところが、同時に副交感神経が優位 になるため、もともと副交感神経というのはリラックスの神経だが、急激に活性化されるとプロスタグランジン、アセチルコリン、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエンなどの物質をだす。これらはどれも発熱や痛みをだす物質なので不快な症状が現れる。ところが、患者さんも免疫のことをわかっていない医師達も、こういう症状が治癒過程で自然に起こることがわかっていないので、つい症状を止めたくなる。そのため鎮痛剤、消炎剤、解熱剤とくにステロイド剤を服用させてしまう。しかし、これは治癒反応を止めているわけでガンを根本から治していくという意味で、全く逆効果 なことをやっているのである。
第3章 薬に頼らずアトピーを治す
 国立成育医療センター研究所の調査によれば1970年代生まれのわかものの9割がダニやスギ花粉のアレルギーを起こしやすい体質をもっているという。いかにアレルギー体質が増えてきているかがわかる。 しかし、これ程アレルギー疾患が激増しているのに、未だにアレルギーの根本的な原因は不明だと言われている。アレルギー疾患になる謎、治す方法がいまだにはっきりとしていない。これだけ現代医学が発達してきたのにおかしなことではないだろうか。
 免疫学の基本である交感神経優位=顆粒球増多と副交感神経優位=リンパ球増多の理論からみれば、アトピーを含めたアレルギー疾患が副交感神経過剰優位 によって引き起こされていることがわかる。前述したガンは免疫抑制の極限で起こっている病気であることを述べたが、アトピーはちょうど正反対の状態、つまり免疫亢進の極限で起こっているのである。
 前述のとおり、副交感神経優位にする環境は、まず過保護が上げられる。それから意外に思われるかも知れないが、炭酸飲料を副交感神経優位 にする。炭酸ガスは体をリラックスさせるのである。もちろん、排気ガス、喚起の悪い部屋などでの高濃度の炭酸ガスが副交感神経を優位 にする。近年、子供達は外で遊ぶことも少なく炭酸ガスの濃い室内での生活が増えたのも要因であろう。
 それではどうしたらよいのだろうか。それは副交感神経の過剰優位を直すことで、つまり交感神経を刺激するような生き方に子供達の生活を戻すことである。単純にいえば子供らしい生き方を取り戻す事だと思う。一般 的に行われているステロイド剤の対症療法は治癒には導かないである。
第4章 慢性病の治し方
 治療が長引くこと、難病指定されていることもあって膠原病は難治の病気として一般 の人にもよく知られている。膠原病は自己抗体ができるので自己免疫疾患とも呼ばれ、症状も様々で病名も五十ほどもある。全身性の膠原病もあれば、局所のある特定の臓器や組織が攻撃の対象になる膠原病もある。慢性関節リューマチ、SLE、橋本氏病、皮膚硬化症、皮膚筋炎、ベーチェット、シェーグレン、甲状腺機能亢進症、自己免疫性肝炎など、膠原病の中にはさまざまな病気が含まれる。
 実は膠原病に関して今までの病体把握が完全に間違っていたのである。免疫が強すぎて自己を攻撃しているのだ、と把握していた。だから、免疫抑制剤、ステロイドなど徹底して免疫を抑制する薬を治療に使ってきた。ところが、自己免疫疾患の一つとして膠原病を研究していくと、実際には免疫の抑制状態で病気が起こっていたことがはっきりしてきた。病気を把握する考え方が全く逆だったのである。従って、膠原病の治療も全くの逆の治療(ステロイド療法)行ってきたので不治の病にしてきたのである。
 さらに、ここから膠原病の患者さんには薬漬けの道が開かれてしまう。交感神経緊張状態だから、必ず血圧が上昇し始めると高血圧の治療が始められる。それから交感神経緊張のせいで脈が速いから、いつも不安になり抗不安剤を投与、すると糖代謝が促進されるので糖尿病になり、糖尿病の薬が投与される。さらに血流が悪いので身体中の関節が破壊されて、腰痛、膝痛が必ず起こってくる。そして、鎮痛剤が処方されるのである。こうやってステロイドの維持療法を受ける患者たちは対症療法の玉 突きの結果、たくさんの病気をかかえこんでいくことになってしまう。それでも全ての根本原因はステロイドにあると気付いていない医師がまだまだたくさんいるのが現実なのである。
 消炎鎮痛剤が全身病を誘発している
 消炎鎮痛剤は全身の血流が抑制され、血管を閉じるので血圧が上がる。この状態が1ヶ月、半年と続くと強い交感神経緊症状が出てきて、高血圧症や不眠症状がでるのはこのためである。また、肥満の人は糖代謝が上がって糖尿病の発症のリスクが高まる。交感神経緊張状態というのは、副交感神経緊張とメリハリのあるリズムで交替している限りは、元気がでる状態であるが、ずっと交感神経緊張状態のまま固定してしまうと、いつも疲れているという状態になる。すると、様々な不定愁訴が現れ、症状ごとに薬が追加されて、薬漬け医療が始まってしまう。高血圧には降圧剤、不眠には睡眠薬、疲れていつも不安になる人は抗不安薬、糖尿には経口糖尿薬と次々に薬を増やし、薬袋にはち切れんばかりに薬をもらうようになってしまう。これらの出発点が消炎鎮痛剤の服用なのである。
 自律神経失調症や更年期障害の治し方
 女性はストレスや寒冷刺激に敏感でストレスや冷えがあると、血管は収縮し血流障害が起こる。そして、このストレスや冷えから解放されたときに、一気に血流が回復する。血流回復は血管拡張の組織ホルモンであるプロスタグランジンや副交感神経刺激物質のアセチルコリンによって行われる。プロスタグランジンは痛み物質でもあるので、頭痛や腹痛を伴うことがある。血流回復はめまい、耳鳴り、のぼせなどを起こす。そして同時に副交感神経優位 の極限状態になるから、身体はだるくなるのである。これらが若い女性に起これば「自律神経失調症」、閉経前に起これば「更年期障害」と診断されるのである。
第5章  病気と体調の謎が解ける免疫学
 私達の人生には、時にはやたら無理をしたり、やたら悩んだり、あるいは逆にごちそうはたくさん食べるのにさっぱり運動しなかったりすることがある。すると交感神経が過度の緊張状態におちいったり、副交感神経が過剰に優位 になったりする。そういう自律神経がアンバランスになることが長い人生の間には誰でも必ずある。そんな時に自律神経の失調状態となり、体調や防衛系に不利に働く。つまり、交感神経の過剰では顆粒球が増えすぎ、副交感神経優位 が続きすぎてリンパ球が増えすぎるというパターンで体調不良や本当の病気が起こるのである。
第6章  健康も病気も、すべては生き方にかかっている。
 楽をし過ぎても病気になる
 ストレスが身体に良くないのであれば、ひたすら楽に生きたら良いのだろうか。そうではない。リラックスし過ぎても健康への害になる。その代表的なのが運動不足と肥満である。
 身体は冷やしてはいけない
 今まで多くの病気が血行障害から起こっていることを説明してきた。血行、つまり血液の循環はリラックスの神経である副交感神経の支配を受けている。従って循環をよくするには身体を冷やさないこと、こまめに身体を動かすことが大切である。

 この本はひじょうに興味深い内容なのでぜひご一読されるとよいだろう。もちろん、読者の健康維持増進のために!たまたま免疫治療法の研究中なのか、わかりやすい内容で基本的な免疫に関するテキストに成り得ると思われた。
 また、同時に次に掲載した石原 結実先生の文献を参考にしていただくと霧が晴れたような気がするので、ぜひ愛読していただきたい。