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顔の痛みの中で、その強烈な痛さのために自殺する人さえいるのが三叉神経痛です。的確な診断と熟練した脳外科医による手術で安全、確実に全治できるようになりました。
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1.三叉神経痛とは
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顔に痛みを感じる病気は意外にも多いものです。しかも痛みは他人には見えずレントゲンにも写りません。いろいろな原因による顔の痛みのなかでも、古くローマ時代から知られている強烈な痛みは三叉神経痛とよばれるものです。1756年にパリの内科医ニコロ・アンドレーが疼痛性チック(tic douloureux)と名付けて初めて一つの病気として認識されるようになりました。
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2.痛みには、特徴がある!
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三叉神経痛の痛みは、とても特徴的なものです。三叉神経痛の患者さんは”必ず”次のように訴えます。痛みは顔の右か左かどちらか一方におこり、鋭く、短い電気の走るような激しい痛みが、発作的(2〜10秒)に、繰り返し起こります。痛む場所は、上顎部や下顎部が多く鼻やくちびるの周りなどを触ることにより激痛が誘発されます。しかし後頭部や耳、のどが痛むことはありません。洗顔、歯磨き、髭剃り、化粧、食事、会話などにより痛みが誘発されるので、これらの動作を避けるようになります。時には歯科医に抜歯までして貰ったが全く痛みがひかないという事もあります。また、痛みが繰り返し起こる期間が過ぎ去ると、全く痛くない時期が数週間から数ヶ月間あります。さらに痛み止めでは効かないがてんかんの薬のテグレトールがとてもよく効く、こんないくつもの特徴を”例外なく”兼ね揃えているのが三叉神経痛です。
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3.原因は脳から出たところで神経を血管が圧迫!
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1934年ボストンの天才脳外科医ウォルター・ダンディーがはじめて三叉神経痛の約半数の例では血管が三叉神経を圧迫していたと指摘しました。これをヒントに1968年 ロサンジェルスのピーター・ジャネッタが手術用顕微鏡で三叉神経を圧迫している脳血管を動かす”微小血管減圧手術”を開発したのです。この結果三叉神経痛は魔法のように治るようになり、逆に三叉神経痛の原因は脳から出たところで血管が神経を圧迫している”神経血管圧迫”が証明されました。 また、手術治療が多くなってくるに従い10%以内に脳腫瘍や脳動静脈奇形が存在することも解ってきました。
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4.MRIで神経や血管がよくみえる!
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10%という頻度で脳腫瘍などありますから脳MRIは必ず受けておくべきです。また、最近までは神経に血管がどのように当たっているのか手術前の検査では詳しくわかりませんでしたが、特殊なMRI撮影をすることにより1〜2mmの細い血管が3〜4mmの三叉神経に当たっている様子がはっきりとよく解るようになりました。
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5.顔のしびれなどの後遺症を残さない治療!
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現在、一般的に行われる治療として
@テグレトールによる薬物治療
A神経ブロック
Bジャッネッタ手術
Dガンマーナイフ又はサイバーナイフ等
があります。三叉神経痛と解りましたら、まず特効薬のテグレトールの内服を試みます。これでうまくコントロールできればそのままで良いのですが、三叉神経痛が強くなりテグレトールが効かなくなったり、めまいや発疹などの副作用がある時は神経ブロックやジャネッタ手術を考えるというのが一般的でしょう。ジャネッタ手術は神経をこわさずに圧迫している血管を移動させるので、特別なことのない限り術後に顔のしびれなどの後遺症を残しません。従ってこれが最善の方法だろうと思います。しかし全身麻酔を行い開頭するため、手術のリスクをある程度考慮しなければなりません。また高齢であったり手術が困難な人はガンマーナイフやサイバーナイフ等が薦められることになるでしょう。脳腫瘍などが原因の場合は主治医とよく相談して治療法を決めて下さい。尚、理学療法や漢方、鍼、灸などはまったく効きません。
俗に、三大激痛のなかで一番強い痛みといわれている三叉神経痛はジャネッタの根治手術が登場してから35年が過ぎ、的確な診断と熟練した脳外科医による顕微鏡手術で安全・確実に全治できるようになりました。今後とも、激痛に苦しむ患者さんの全てが痛みから開放されることを願うものです。
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