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本装置は直線加速器(Linac)、ロボットアーム、病変追尾装置および治療用コンピュータより構成されています。直線加速器(Linac)はエネルギー6MVのX線を300cGy/min発生します。Collimatorは5mm〜60mmの12種類により、X線をnarrow beamにしてピンポイント照射を行います。ロボットアームはその先端のLinac装置を、自由に素早く動かします。
その精度は先端誤差±0.3mm以下とされています。照射野の中心から半径80cmの球面上に104の照射点(Node)を設定し、各点よりそれぞれ12方向へ照射可能です。目標点をレーザービームで狙ったときの誤差が実測で平均0.2mm程度となっており、正確な治療が出来るシステムです。



非侵襲的定位技術:
従来のRadiosurgery System(ガンマーナイフ等)は、定位の手段として疼痛を伴う強固な固定用フレームが必要ですが、サイバーナイフは頭部固定用プラスチックマスクを使用するだけです。

時間的自由度:
1回照射、分割照射どちらにも容易に対応できます。侵襲が少ないので外来での治療も可能です。直径が3cmを越す病変、脳幹部近傍や視神経近傍などの病変等に対して分割照射が行えます。

空間的自由度:
従来のガンマーナイフ等では治療対象が頭蓋内に限られていましたが、サイバーナイフでは耳鼻咽喉科、口腔外科領域、頚椎・頚髄病変に対しても治療可能になりました。

病巣の形状・数に応じた照射:
サイバーナイフは104ヵ所の点により各々12方向へ放射線を照射できますので複雑な形状の病変に対しても均一な照射分布を得られます。



治療室天井から45度の角度で2方向より診断用のX線を照射し、病巣の位置を確認するための画像を撮影します。この画像とCT撮影時に作成された3D imageを比較し、病巣位置を認識し病巣の働きを追尾し治療します。
病変追尾装置により、強固な固定用フレームが不要となり、簡易な固定にて正確な定位的放射線治療が可能となりました。また頭部が動いた場合にはより瞬時に移動方向や移動距離が分かるようになっています。1cm以上動いた場合には、治療を中止するようにセットされています。




コンピュータを使用して治療計画を作成します。まず、コンピュータ画面上で病巣の大きさや形態により最適なコリメーターを選択します。次いで、辺緑や中心部へ照射する線量、視神経などへの許容線量など入力し、線量分布、治療計画を作成します。この計画に基づき、コンピュータがロボットアームやLinacを制御し、治療します。



治療計画:
熱可塑性のプラスチックで出来たユニフレームを使用して簡易な頭部固定用マスクを作成します。ついで、ユニフレーム着用下でCTの検査をします。必要な人にはMRI検査を追加します。これらの画像検査を基に治療計画を作成します。

治療当日:
CT撮影の時と同様に治療台の上に寝てユニフレームを着けます。Linacは約80cmの距離をおいて半円状に移動します。病変追尾装置により病変の位置を確認、動きを検出すればターゲットを動きの分だけ修正して照射します。これを順次50〜200回程度繰り返します。治療時間は45〜90分程度必要です。痛みも熱感もありません。



サイバーナイフは基本的にはStereotactic Radiosurgery装置であることから、従来のガンマーナイフ等の適応となる頭蓋内疾患は全て治療可能です。また、分割照射を行うことで、比較的安全に直径3cm以上の脳腫瘍をも治療することができます。
適用となる疾患
頭蓋内疾患
 脳腫瘍
 脳動静脈奇形
 機能的脳外科疾患(三叉神経痛)
頚椎疾患 第7頚椎まで治療可能
 頚椎腫瘍
 頚髄動静脈奇形
 耳鼻咽喉科、口腔外科領域の腫瘍



治療当日〜数日経過:
時に吐き気、嘔吐がみられます。まれにケイレンが起きたり、熱が出ることもあります。この場合には症状に応じた薬で治療します。頚部・口腔・鼻腔を治療する場合には皮膚・粘膜の炎症により、皮膚が赤くなったり、少し痛みや唾液腺が腫れる等の副作用が出ることもあります。この場合には、局所を冷やしたり消炎鎮痛剤にて対処しています。 

数週間経過:
脱毛(照射部位が皮膚に近い場合、大きな円形脱毛の様に脱毛しますが、数ヶ月後には再生してきます。)や照射した病巣周囲に放射線誘発性の脳浮腫が出ることもあります。この場合には脳圧降下・浮腫改善剤の点滴や副腎皮質ホルモンの長期間内服が必要になることもあります。

数ヶ月〜数年経過:
遅発性放射線壊死、放射線誘発血管閉塞、放射線誘発腫瘍などおきる可能性があります。これらの発症の可能性は病変の部位・性質により異なりますので予想される経過・副作用の可能性は、個々に説明を良く聞いて下さい。



サイバーナイフ治療は健康保険診療の適応で約63万円になっています。
支払いになられる金額は健康保険の負担割合により異なりますが、例として2割負担の方ですと63万円×0.2=約13万円+入院費+食事代となります。
しかし、高額医療費の適応になりますので払い戻し請求をされますとそれぞれ自己負担の差額で払い戻しを受けることができます。特別室の場合には部屋代は払い戻しの対象になりません。当院の場合、特別室はトイレ・風呂付きの個室が1日2万円です。老人医療の場合にはそれぞれ異なります。


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