早い!安い!効果大?
「自分流」ちょっとチューン!!
− マフラー交換 −
交換ドキュメント編 〜今日あたりの180SXより〜
エンジン不調は根本的な解決になったのかどうか知らないが、今のところ何事もなかったかのように復活している。
ところが今度は、マフラーから異音がし始めた。走行中、マフラーをヒットしたのである。大した段差でもなく、とてもマフラーがあたるとは思えないほどの段差だったのだが、かなりの音と衝撃が室内にまで伝わってきた。排気漏れの音も明らかで、ボボボというか、ブブブというか、非常に情けない音をあたりに撒き散らしている。
しかしまぁ、こうして原因が明らかな方が、ラクはラクである。今回は結構マフラーをいたわってきたつもりではあったが、ま、シャコタン車の宿命だよな。
今まではここまで来るとすぐに修理に出してしまっていたが、今回は初めて耐熱パテで埋めてみることにした。何事も、やらずして良し悪しを決めるのはよくない。車検まであと2ヶ月。ここで交換して、車検までにまたイッたらバカらしい。延命措置でつなぎ、あわよくばこのまま車検に通ってしまえばなおラッキーである。ダメならその時換えても遅くない。なんで、もっと早くこの方法にしなかったのだろう。
ヒットの直後、すぐに安全なところに駐車して大体の穴の位置は把握している。今回利用したのはソフト99のチューブ入りの耐熱パテ。700円くらいだった。出してみると粘度は意外と低い。このくらいの粘度では厚盛りがしにくいのだが、仕方ない。結構速乾性なのでこのくらいの粘度に振ってあるのかもしれない。
マフラーが十分に冷えてから作業を始める。場所はサブタイコとエンジン側パイプの接続部分。ヒットのせいか、サブタイコ本体ごと傾くようにして曲がっている。最低地上高9cmが確保できているのかも微妙だ。車体の脇から手を突っ込んでパテを盛って行く。
マフラーをこうしてしげしげと見る機会はなかなか無い。触ってみるとどこもサビでガビガビになっており、手触りでは一体どこが穴なのか、さっぱり分からない。車体を持ち上げてよく見ながら作業をすればよいのだろうが、それをせずに横から見ながらでは、もうとにかく塗りたくるしかない、といった状況だ。
30分ほど放置したあと、アイドリング30分で乾燥させてもよい、とある。ということは30分たったらエンジンをかけてもよいということ。で、かけてみる。
ブブブ……
変化なし。やはり塞がってはいないか。問題の場所に手をかざしてみる。いや。風は感じない。予想外にきちんとできている。じゃ、どこだ?サブタイコの後ろ側に手をかざしてみると、おお。まさにここではないか。先程作業した場所なんかよりはるかに大量の排気漏れが、どう見ても複数箇所から発生している。こっちの方がはるかにヘビーだ。
マフラーが温まらないうちにすぐさまエンジンを切り、今度は車体の後ろ側からもぐりこむ。ここまで入れるのは体の小さな僕だからこそ成せる業かもしれない。今、僕は数少ないチビの恩恵にあずかっている。それでもサブタイコの後部に手がやっと届くくらい。でも、ジャッキアップなしでここまで入れるんだな。
で、見てみるとうーん、サビて穴だらけ。あの時のヒット以前から空いていたと思われる穴も多数。鉄マフラーは結局こうなっちゃうんだなぁ。一つ一つ埋めていく。サブタイコの周辺もある程度は埋めたが、まだまだ作業漏れがあるはず。この状態でピパ子氏にエンジンをかけてもらい、風の位置を確認しながら確実に埋めよう。
「ピパ子氏、ちょっとエンジンかけて」
Kのおもりを中断してもらい、エンジンをかけてもらうことに。が、そのとき!
ごきゅ!
「ぐはぁぁぁ……」ピパ子氏が、エンジンをかけようとして180SXの運転席に乗ったのである。その時の勢いも結構なものだったので、燃料タンクが僕の胸部を強く圧迫したのだった。逃げ場を失った肺の空気が、パスカルの原理に従って、肺胞一つ一つに均等に圧をかける。痛みが、肺の形を認識させた。そして最も弱かった胸の弁が強制的に押し広げられ、口から排出された。別段にピパ子氏がデブというわけではないが、硬いサスとショックでも、人が乗るとこんなに車体が下がるものなのかと、身をもって体験した。
「乗らずにかけてくれぃ……。ゲホ、ゲホ、オホ……」
エンジンがかかると、まだまだ排気漏れは多数ある。しかし、エンジンをかけたままパテを盛っても、排圧に負けてしまう。やはり位置を覚えて盛るしかない。漏れがないか確認できるのは、乾燥した30分後。何度か繰り返したが、やはり、完全に車体を持ち上げて確実に目視で確認できる状態で作業しないと埋めきれないと思った。
マフラーの穴埋めを週末の度にしていたが、結局いつまでやっても埋まりきらなかった。やはりもっと高く車を持ち上げて真下から穴を目視で確認しつつ、しっかりと埋めないとイカン……。そう思って、僕は高さ10cm以上の材木を入手した。かなり頑丈そうで、180SXが乗
ったくらいではビクともしないはずである。
これに載せれば、確実に真下に入れるだろう……。そう思って意気揚々バックする。しかし、高まる期待は即座に絶望のドン底へと急降下することになる。感覚を掴めず、材木を乗り越えて自宅建物にマフラーをスーパー強打してしまったのである。 正しい位置に持ってきて、恐る恐るもぐりこんでみるとそこにはとんでもない光景が広がっていた。今まで苦労して盛って来たパテのほとんどは砕けて地面に散らばっていた。そして、はっきり分かるほどのクラックがサブタイコに走り、なおかつサブタイコとパイプともわずか数cmで繋がっているだけでほとんどは分離した状態であった。
パテを盛りまくってみたが、わずか数日でサブタイコとパイプは分離し、1本モノのマフラーは2本になった。車検まであと1ヵ月を切っていた。
僕は、S13系に強力なネットワークを持つ、かつて教員だった頃の生徒、優等生マツ君に協力を要請、180SX用のマフラーの調達を依頼した。その結果、彼はわずか2日で極めて程度の良いマフラーを5000円で調達してくれ、交換作業の手伝いまで買って出てくれたのである。
ま・さ・に、優等生である。
さて、交換当日。まずはガスケットの調達である。マフラー自体を店舗に持ちこみ、現物合わせで適正サイズを探す。これが最も確実。僕も知らなかったが、ガスケットは規格モノではないようなのだ。当然、運良くぴったりのサイズが見つかるかもしれないが、パイプ径よりちょっと穴が大きいか、逆にちょっと小さいものを選ばなければならないこともあるのだ。また、パイプ径はあっているのに、ボルト穴の位置が合っておらず、別のものにしなければならないということもある。
だからなおさら、現物合わせで探すのが良い。パイプ径だけでガスケットを買ってしまうと、ボルト穴の位置が合わないというトラブルにみまわれる可能性がある。ま、工具さえあれば、後から別の位置にボルト穴をあけるとか対応策がないでもないが。
作業場所も彼が準備してくれた。屋根付きで工具も一通り揃った夢のような場所だ。広さも十分あって作業を妨げることもない。これなら作業もはかどりそうである。
先ずはジャッキアップ。最初は後ろのみジャッキアップして作業を開始したが、効率が悪いのですぐに前もジャッキアップ。しかし、後ろが上がっているため、前からフロアジャッキが入らない。結局あまりお勧めできないが、運転席側を車載ジャッキでわずかに上げて、フロアジャッキを挿入した。
ジャッキをメンバーに掛けて上げる。ジャッキが入るギリギリの高さだったため、ほとんどストロークができず、わずかずつしか上がらなかったが、車体が上がるにつれ、ストロークが稼げるようになった。ウマは前後ともジャッキアップポイントに掛けた。ジャッキアップポイントにウマを掛ける場合は、リブを折らないようにゴム製のアダプターのついたものを使用しよう。僕はこれを既に自作していた。
早速下にもぐり込んで確認。カー用品量販店でメカニックのバイトをする優等生マツ君の第一声。
「うわ先生、ヤバイっすよ、これ。
見たことないですね、ここまでのは」ナットの腐り具合である。
なるほど、確かにナットとボルトがサビで固着し、境目がほとんど分からない状態になっている。遮熱板のボルトに至っては路面ヒットのせいか、頭が変形してレンチが掛かりそうにもない。
しかし、やるしかない。これでは車検を通せないのだから。
まずは分離したサブタイコ以降を外す。この部分は3本の吊り下げゴムで車体にぶら下がっているだけに過ぎない。分離してグラグラなので可動範囲も広く、556を吹いたら吊り下げゴムはヌルッと外れた。
しかしながら触媒とメインパイプの連結部のボルトはビクともしなかった。先ずはパワーで勝負する。手がダメなら足である。それがダメならパイプを継いでビッグトルクをかける……のだが、今回はこの方法が使えなかった。車体の下という限られたスペースではレンチにパイプを継ぎ足せないのだ。横方向に柄が来るようにしても良い角度になってくれない。様々な工具を使用してみたが、良い角度は出なかった。
こんなときに便利なのが車載ジャッキである。ナットにレンチをかけ、その柄をジャッキで持ち上げるようにしてまわすのだ。この方法はナットの装着している位置によって外す方しか回せないものと、締める方しかまわせないものが出てしまうが、とりあえず1本でも外れれば、という目前のことしか考えていないやり方である。
やってみると、最初はマフラー自体が持ちあがってしまってダメかと思われたが、それが限界まで行くと一応レンチがまわっているような動きを見せた。
柄が車体に当たるまでジャッキアップしたので、レンチを外してみるが、何の変化もない。しかし、確かにレンチ自体は5〜10度程度回転した。
嫌な予感がよぎる。
「ボルトの方がねじれちまってるのかな?」
「だとしたら、ヤバイっすよ」今回の場合、ボルトは触媒と一体になっていた。ボルトを折ると言うことは触媒自体を壊すということである。ま、最悪そうなったら、ボルトを切断して、その部分にボルト穴をあけてしまい、ボルト・ナットで留めるようにしてしまえば良いだけのことだが、その加工をするには結構な時間を要する。できれば壊さずに行きたい。
「ナットを破壊しよう」
ナットの替えを準備する方がはるかに容易である。実は僕はこうなることまで予測して、ディスクサンダーを準備していた。これでナットを削る。しかし、削って良いのはナットだけで、ボルトに達してはならない。この微妙な削り具合を、暗い車体の下で成し遂げるのは至難の業だった。
しかも、ナットを破壊して外すにはナットの両側を削る必要があるが、マフラーが車体にぶら下がった状態では下側からしか削ることができない。最終的にナットクラッカーまで動員させたが、ワッシャーの機能を兼ね備えたような、皿型のナットだったせいか、ナットクラッカーがうまく噛んでくれず、破壊することはできなかった。
「壊すことさえ、できないの……か?」
作業は暗礁に乗り上げた。
「先生、触媒から外しましょう。」
なるほど、触媒とフロントパイプをつなげているボルトの方が17mmとサイズも大きく、ボルトの山もずっとしっかりしていた。遮熱板、排気温センサー、アースを外さなければならない手順の多さはあるが、こうなってしまった以上、打開策はそれしかなさそうだ。
この予定変更により、更にもう1枚ガスケットが必要になったため、買いに走る。朝9時から始めた作業は、この時点ですでに2時過ぎになっていた。
作業とは関係ないが、このような事態に必要になるのは作業対象車とは別のもう一台の車である。これがなかったら、その場その場に応じて工具や部材を買いに走ることはできなかった。
失敗したのは着替えである。実は着替えに関してはこうなることを予見して既に準備していた。しかしながら持つのを忘れると言うスーパーおマヌケながら僕は良くやるミスを演じてしまった。地面に寝そべっての作業は衣服を信じられないくらいに汚す。こんなに汚れたのは体育祭前の組体操の練習くらいのものだ。着替えさえあれば店に行かなければならないときはそれに替えれば良いが、そのようなアホなミスのおかげで、このまま店内に行かなければならなくなってしまった。これはかなり恥ずかしかったが、もう割りきって諦めた。
割りきって諦めてこの格好でコンビニに行って昼も購入した。腹が減っては戦もできぬ。休憩して、状況を整理して取り組むと意外と良いことがあるかも知れぬ。
さて、気を取り直して触媒外しである。遮熱版を外して作業効率をアップさせる。触媒とメインパイプの連結部はナットであったが、こっちはボルト。最悪、折れてもまだ助かる道はある。
17mmのレンチを掛け、まわす。が、もちろん簡単には回ってくれない。しかし、叩いたり、556を吹いたりと、色々やりながら力を掛けているうちに、ボルトがわずかに回転したのである。
今度は戻してみる。そしてまた回す。これを繰り返しつつ、潤滑剤の浸透を促す。こんなことを繰り返しながら30分ほどかけてようやく1本のボルトを無事に外した。
もう片方のボルトはかなり強敵そうだったので後回しにし、廃棄温センサーに取り掛かる。排気温センサーの難しいところは、センサーのコードが伸びていて、メガネレンチを使えないことだ。確かブレーキホースを外すための工具に、メガネレンチの一部が切り取られているものがあったと思ったが、そんな物は持っていない。
結局スパナになる訳だが、ご存じのとおりこれはナットに2点で力をかけてしまうため、非常にナメ易い。この部分もこれまでと同様かなりのヘビーさが予想される。外すときに掛かるトルクは本締めのナットを外すときのそれに匹敵するか、それ以上かもしれない。このナットは排気温センサーの一部であり、誤ってこれを破壊すれば大変面倒なことになる。作業は慎重に行われた。
使用工具は「ガタつかない」モンキースパナ。これは買って大変良かった愛用の工具。安物のスパナよりよほど性能が良い。今まで何度となく持ち合わせのサイズがない場面で活躍して来た。ぴったり合わせれば、面でトルクを掛けられる。
寸法を微調整してこれ以上ないくらいにシビアに合わせる。がっちりと掛かったところで徐々に力を掛ける。数回のトライでナットを回転させることに成功。だんだん力の掛け方も分かって来た。
さて、いよいよ残るはもう1本残ったフロントパイプとの接合部のボルトである。
1本目と同じように叩いたり、足蹴り人力インパクトなどの方法でトライ。そして、また手で回したときである。
「んっ!」
渾身の力を込める。これで回らなかったらもうだめだ、と言う僕の持ち得るMAXパワーだ。すると、わずかではあるが、ボルトが回転した。ここまで来れば大丈夫。僕は逆回転をさせようとした。しかし、先程と違ってこちらは逆には回ってくれない。再度外す方向に回してみる。また少し、回った。ここで反対側から飛び出しているボルトの足を触っていた優等生マツ君から、衝撃の言葉が。
「先生、こっち回ってないですよ」
何と。
1本のつがなったボルトにもかかわらず、頭は回っているのに足は回っていないというのだ。これはつまり、ボルト本体がねじれていることを意味する。このまま行けばやがてねじ切れる。
相変わらず、逆回転はしてくれない。
しかし、もう後には引けない。残りはこの1本だけなのだ。ねじ切れてもマフラーは外れる。車体からはずれさえすれば、使用出来る工具の選択肢は一気に広がる。
「ねじ切れても良い。このまま行こう」
この割り切りが良かったのか、容赦なく力を掛けられるようになった。するとボルトもねじ切れ寸前のところで足も一緒に回り出したのだ。
556を吹きまくり、レンチを回し続ける。ボルトも金属疲労と限界ギリギリの戦いをしているのか、かなりの熱を持っている。ボルトが壊れるのが早いか、抜けるのが早いか。その勝負である。ボルトの足はねじ山が判別できないほどに腐食していたが、その部分が触媒のネジ穴に吸い込まれていく様子を、優等生マツ君は指先で感じていた。
「いよいよ、ヤバイ部分に来たみたいですよ」
しかし、僕はレンチを回す速度を緩めなかった。このリズムで行ってしまいたかった。手応えは相変わらず最悪だった。新しいねじ山を作りながら無理やりボルトをねじ込んでいるような感触だった。
カチャーン!
甲高い金属音とともにレンチが地面に落下した。ボルトの頭が地面に転がったのが見えた。
「あっ!」
「ねじ切れたか?」しかし、よく見るとボルトは完全体を成した状態で地面にあった。ボルトは、無事、外れてくれたのである。
「やったじゃないスかぁ!」
優等生マツ君の叫びとほぼ同時に、触媒とサブタイコを支えていたジャッキを外した。同時に、問題の触媒が落下する。このとき僕は、廃棄温センサーのアースを外すのをすっかり忘れ、断線させていた。
だが、これで終わったわけではない。まだ触媒はメインパイプを介してサイレンサーと繋がったままである。マフラーは捨てるが、触媒は使用する。したがって、この2つの分離は必須だ。マフラーはどうなっても良いが、触媒は再利用できる状態で外さなければならない。
もう分離方法は一つしかない。ナットを破壊するのある。
ボルトは触媒のものだから、できるだけ傷つけずにナットだけを破壊して触媒を取り出す。
外れないナットを破壊して外すのに、真っ先に思いつく工具は専用工具、ナットクラッカーである。しかしながらここで使用されているナットはワッシャーの機能を兼ねたような、裾野が広がったような形状をしており、ナットクラッカーが真っ直ぐに掛からず、失敗に終わった。
次の方法は、ディスクサンダーであった。
既に記したように、実はすでに触媒が車体にぶら下がった状態でもディスクサンダーでの破壊を試みている。しかし、スペースの狭さ、作業が精密な割には明るさがないこと、サンダーを片方がからしか入れられないことなどから断念していた。しかし、車体から触媒が外れた今、触媒をひっくり返すだけで、反対側も削ることができる。ナットの両側を削り取り、上下しか残っていない状態にする。残った部分を上下に引っ張れば、当然真っ二つに割れて外れる、こういう計算だ。
単純明快、なんとも直接的な方法である。
で、削り始める。ボルトが見えてくるまでどんどん削る。ボルトが見えたらそこでそれ以上削るのをやめる。この微妙な加減をディスクサンダーで調節するのは難しい。ナットの根元から先端まで、綺麗に削り取った。今度は、触媒を裏返してナットの反対側も同様に削り取る。
数分で、ナットは上下だけになり、ペンチでも回せそうな形状になった。もはやナットの上下は、ボルトの溝にわずかに残った、糸状の残骸で繋がっているに過ぎない。
この状態で、残ったナットをマイナスドライバーを介してハンマーで叩くと、パカッと割れてくれた。ま・さ・に、計算どおりの結果である。もう片方のボルトはコツを掴んだのか、もっと上手に削ることができ、同様に破壊した。ここに触媒は切り離された。
このまま外れなかったら、スポーツキャタライザー購入かと思ったが、とりあえずそうはならなかった。作業中、「外れなかったら、それもイイかな」みたいな自分がいたことは否定しない。
無事、触媒を分離させることができたので、いよいよマフラーの装着である。予定は押しに押していた。
「先生、エンジンかけてみません?」
「エンジン?」
「この状態でエンジンかけるなんて、まずできない経験ですよ」なるほど。言われてみれば確かにその通り。どんな爆音がするのか、ちょっと怖い気もするが、恐る恐るかけてみる。
キーをまわすと、ボボボとバババの混ざったような、かなり大きな音はしたものの、今外した、割れたマフラーの状態での音が少し大きくなったと言う感じだった。もっととんでもない音がするのかと思っていたのでどちらかと言えば拍子抜けした感じに近かった。
さて、ここまでくれば、後は装着だけである。この時点ですでに作業時間は7時間近くかかっており、すでに4時頃になっていたが、装着は位置さえ合ってしまえばほとんど問題ない作業、今日中に終わるはずだと見積もっていた。ボルトも新品を使用するわけだし、吊り下げゴムも外すときの逆の作業にすぎない。今回装着するマフラーは2本モノだったので取り回しも良いはず。
まずは触媒を装着。更に触媒とメインパイプをつなぐ。接合部に触媒のボルトを通して、ナットを緩めに締める。かなり遊んだ状態のまま、余ったウマを台にしてマフラーを置き、サブタイコから出ているアームに吊り下げゴムを通してボルト留めする。このボルト留めは若干苦労したが、外すときの作業に比べれば通常の域に入る程度のものだ。
ここもかなり遊んだ状態でサイレンサー側とボルトで留める。ここだけは新品のステンレス製のボルトとナットを使用。ボルト・ナット共にステンレスを使用できるのはここだけだからだ。触媒に関わる部分は触媒自体が鉄でできているため、ナットも鉄製にしておいた。ナットだけステンレスにしたらねじ山をなめるかもしれない。片方だけ鉄ではやはりさびも出る。万一今回のように破壊することになったとしたら、ステンレス製のナットを破壊するのは並みのことではない。
サイレンサー側は本体の重量もかなりのものである上に位置決めもかなり微妙なものを要求されたため、より柔軟な位置決めのできる車載ジャッキを土台に使用する。後は556の力を借りて吊り下げゴムにステーを通す。
後は各ナットを締めていくだけ。触媒とメインパイプの接合部のうち、1本のナットはかなり回りがシブく、感触もネジ山を潰しながら入っている感じ。かなり厚めのワッシャーを噛ませてあまり奥までナットを締めないようにしたが、次回は触媒ごと交換かもしれない。
新品に交換したサブタイコ側とサイレンサー側の接合部に使用したステンレス製のボルト・ナットは指ではじけばその勢いでくるくると締まって行ってしまう快適さ。やはり新品は違う。
最後に触媒の遮熱板を装着。4本のボルトのうち2本をねじ切ってしまった。失敗した1本は残されたボルトの足にドリルで穴をあけて破壊して取ろうとしたら、何とドリルの回転で回って普通に外れてくれた。もう1本はそのような幸運にも恵まれず、ドリルで穴は復元させたが、ねじ山もドリルで潰してしまった。
従って、3本のボルトで装着し、残りは若干太めの木ネジで強引に留めた。触媒の遮熱板はしっかりと留めないと走行中に不快な金属音を発するのでしっかり留めたい。カン高い金属音で「いかにもボロです」という音がする。
全て装着が完了したら、廃棄漏れがないか確認する。再びのエンジン始動。先ほどの触媒レスとは全く異なるジェントルなサウンド。そういやぁ、今回壊れたマフラーも僕のところに来た時はこんな素晴らしい音を奏でていたっけなぁ。すっかり忘れていたけれど。で、接合部分に手をかざしてみるが、排気漏れは全くない。
ということで、予想通り、装着は実に簡単に、わずか1時間で終了してしまった。
装着直後、マフラー出口がバンパーに接触しており、バンパーが一部溶けるのではないかと心配したが、暫く走行すると吊り下げゴムが伸びて適正なクリアランスを確保していた。これで問題点は全くなくなった。
正直言って、壊れたマフラーの状態では180SX自体廃車にしようかと思うほど調子が悪く、「そうさ、この車壊れてるさ。分かってるけど、車検直前まで騙し騙し乗ってンだよ」と言った、悲壮感と開き直りが共存したような感じさえあった。一つ深刻なトラブルを抱えると、「この車ももう20万km乗ってるしな……」「車検通すより、買っちゃった方が安いかもしれないな……」などと、廃車にすることを正当化しようとする考えが浮かんでは消えるものである。
が、マフラー交換後は「あと10万km行ける」と思うほど良くなった。マフラー1本壊れただけで、車全部が壊れてしまったかのようなフィーリングになってしまうのだから(前述のような陰鬱な気持ちがそれを助長したのもあったにせよ)、マフラーが如何に重要パーツであるかを今回再認識した。
しかしながら、マフラー交換によって、この状況から自力で脱出し、「あと10万km行ける」にしてしまったのだから、この満足度はひとしおである。