第六課 労働組合の性格と任務
1 労働組合とはなにか
2 労働組合の任務と活動
3 労働組合民主主義
第六課 労働組合の性格と任務
1 労働組合とはなにか
労働組合の性格と目的
労働組合の定義として、最もよく知られているのは、「労働組合運動の歴史」
一八九四年、イギリス)の著者として有名な、シドニー・ウエッブの次の定
義である。「労働組合とは、賃金労働者が労働生活の諸条件を維持し、また
は改善する目的でつくった永続的な団体である」
すなわち、労働組合とは第一に、その組合員が共通の目的を実現するために、協同一致し
て行動することに同意して作られる団体である。
第二に、それが永続的である、というのは、特定の事情に対応するために作られたほんの
一時的な結合体ではないということである。例えば、ある特定の要求を実現するために作ら
れた争議団は、しばしば労働組合に発展するとはいえ、それが水統的な組織の形態をそなえ
るまでは労働組合とはいえない。
第三に労働組合は賃金労働者で組織されている団体である。すなわち労働組合は、その職
種のいかんを問わず、他人を搾取することなく、他人に雇われて自分の労働で生計をたてて
いる着で組織されている団体である。他人を搾取する資本家やその利益を代表する者の参加
する団体は労働組合とはいえない。
第四に、労働組合は一定の明白な目的をもっている。賃金労働者の永続的な団体だからと
いって、ことごとく労働組合とはいえない。たとえば労働者の共済組合、労働金庫、労働者
のスポーツクラブなどは、労働者の永続的な団体であるが、労働組合ではない。その団体が
主として、賃金や労働時間などの労働諸条件や労働者の生活諸条件の維持改善を目的とする
のでなければ労働組合ではない。だから、初めは共済組合として作られた団体が「労働生活
の維持改善」という目的をそなえるにいたって労働組合に発展した例もあるし、逆に労働組
合がその目的を見失って、単なる共済組合になってしまう例もある。
労働組合の目的と任務の発展
以上の四点は、労働組合が労働組合であるために欠くことのできない基
礎的な条件であるが、今日の発展した労働組合運動の性格・目的や任務
を十分にいい表わしているとはいえない。
資本主義の発展にともなって、労働者階級の努力が増大し、労働組合が強力になってくる
と、また、資本家の搾取や支配の方法が一層複雑で巧妙なものになってくると、労働組合の
要求と闘いの領域も大幅に拡大し発展する。
かつてはもっばら、賃金と労働時間を中心に闘っていた労働組合は、今日では労働の強度
や安全衛生など、働かされ方にかんする諸問題についても、「合理化」反対、労災・職業病
絶滅などの闘いを進めている。職業訓練や雇用保障など労働力の形成と販売についても、働
く権利の拡大を中心に闘っている。なんらかの理由で通常の賃金収入で生活できなくなった
際の社会保障、国家独占資本主義の攻撃から労働者の生活条件を守るため、物価、税金、公
害などの問題で」闘っている。
さらには公教育(学校教育など)の民主化、革新自治体の実現などの広範な民主主義的任務、
平和と独立の課題についても大きな努力を払っている。特徴的なことは、最低賃金制や社会
保障闘争のように、経済要求の闘いを国家から制度を勝ちとる闘いとして、独占資本とその
政府に対する闘いとして、日常的に闘うようになっていることである。
現代の労働組合運動は、社会の民主的変革をめざし、国の進路にかかわる政治的諮問題で
の闘いを、みずからの闘争領域として位置づけ、広範な勤労国民の中心部隊として、ますま
す大きな役割を果すようになってきているのである。
大衆的階級組織
これまで述べてきた労働組合という組織の性格を一言で要約すれば、次のよう
にいうことができる。労働組合とは、労働者が、自分たちの生活と労働の条件
を守り、社会的地位の向上をはかるために、また終局的には資本家の搾取と抑
圧から労働者を解放するという目的をめざして、資本家に対抗し、団結して闘う大衆的階級
組織である。
労働組合は労働者にとってもっとも身近な組織である。なぜなら労働組合は、団結してた
たかう必要を自覚した労働者なら、思想、信条、性別、身分、国籍のいかんにかかわらず、
だれでも自由に参加できる組織だからである。また、労働者であればだれでも関心をもたざ
るをえない、もっとも切実な要求をかちとるために、できるかぎり多数の労働者を結集する
組織だからである。労働組合は、一定のかぎられた範囲の労働者に共通する目的や思想や資
格などで組織される団体とは違って、もっとも広範な労働者を結集することのできる大衆組
織なのである。
わが国の企業別組合は、組合員の範囲を企業の従業員、それも本工だけにかぎり、臨時工、
パート・タイマー、季節工、養成工や解雇された労働者を組合員から除いていることが多い
が、これは、職場で肩をならべて働いている仲間にたいする差別であり、それだけ労働組合
の力を弱めている。
労働組合は労働者の闘う組織である。サークルで音楽や演劇を楽しんだり、学習したりす
るのとはちがって、組合員は執行部のもとに団結し、その指導にしたがって整然とした行動
を展開しなければならない。労働組合が組織するのは資本によって搾取されている労働者で
あり、統一し団結して闘う必要を自覚している労働者である。労働組合が「大衆組織」であ
り、どんな思想・信条の人でも参加できる組織だとはいっても、それは少なくとも共通の要
求で闘う必要を自覚した労働者の自主的な組織なのであり、資本家(あるいは使用者)の利益
とは対立する階級的な組織なのである。
労働組合の自主性 労働組合が自主的な大衆組織である以上、それは資本家・政府・政党か
ら独立した自治組織でなければならない。
労働組合は、資本や政府から完全に独立して、一切の決定や活動を行う。もし、労働組合
が資本や政府の介入を許し、独立した自治組織としての性格を失うならば、そのような組織
をもはや労働組合と呼ぶことはできない。
また労働組合は政治的なイデオロギーや綱領の一致する人々によって組織される政党とは、
明らかに違った性格をもつ組織である。従って労働組合は、たとえ同じ階級的基盤にたつ革
新政党からも、完全に独立した組織として、自主的に方針をきめ活動する。
もちろん、労働組合の掲げる要求と革新政党の掲げる要求とは、多くの点で一致しており、
そこで労働組合と革新政党は相互にその独立性と自主性を認め合いつつ、協力・共同して行
動するのである。
2 労働組合の任務と活動
労働組合は何をするか 労働組合は、その組合員から組合費を徴収し、これを組織、調査、教宣、福
利・共済およびその他、組合員の利益になる事業に費している。労働組合は、
こうした活動のうえにたって、労働者に関係がある職場や企業、地域と産業
および国の一般政策にかかわる問題を討議し、労働組合の要求綱領をまとめあげ、方針を作
成する。
労働組合は組合員の利益を守るために、決定された方針と要求にもとづいて、資本家また
は資本家の団体に要求を提出し、交渉し、協定を結ぶ。交渉がまとまらないときには、大衆
的な抗議行動やストライキを断行して要求の実現をせまる。資本家がロックアウトや分裂な
どの攻撃をしかけてくれば、その攻撃から組合員と組織を防衛するために闘う。
また労働組合は、自治体や政府の各省・各機関や議会などに、労働者に有利な法律を制定
し、あるいは労働者に不利な法律を撤廃させるため運動を起こす。
そして労働組合は、こうした目的・任務を実現するために、末組織の労働者に呼びかけて
組織化し、他の労働組合や民主的な団体と連合し、革新政党と協力して闘いを進める。
こうした労働組合の目的と活動の主要点を、方針の決定・調査・教宣・組織などの日常の
活動、相互援助、団体交渉、ストライキ、政治活動の五つにわけて簡単に説明しておこう。
組織・教宣・調査 労働組合はさまざまな活動を行うが、その基本は正しく方針を決定し、表し
て実践することである。そしてそのためには、組織・教宣・調査の三つの活動
が、相互に結びあわされ、生き生きと行われなくてはならない。
方針を誤りなく決定し、実践するためには、まず第一に、労働者の生活や労働の実態、経
営における資本の労務管理、国の諸制度、独占と政府の政策、労働組合の組織状況などを正
確につかむ調査活動が必要である。そのなかから、組合員のもつ要求や問題、それを実現し
解決するための行動の方向を明らかにした方針が、大衆討議を通じて決定されるのである。
第二に、すべての労働組合の活動は自然成長的に進むものではなく、目的・意識的な指導=
教宣・組織活動を必要としている。指導は、ただ決定を通知し、組合員を動員することでは
ない。方針が一人一人の組合員の自覚した方針となるように、労働者の状態、経常と産業、
国の政治・経済の動向などを分析し、組合員に周知徹底させる教宣・組織の活動が行われな
ければならない。このような教宣・組織の活動が、日々行われることが、労働組合に対する
組合員の自覚と結集を強め、運動の大衆性を保証することになる。そして第三に、従業員と
して企業に採用されると自動的に組合員となることが多い日本の労働組合では、ややもする
と、地道な教宣・組織活動なしにことが運ぶようにみえるが、実は、それだけに一層、労働
者を教宣し、組織する活動が重要なのである。
相互援助 ほとんどすべての労働組合は、どんな種類にせよ、争議資金の制度を設けてい
て、ストライキやロックアウトの場合にそなえている。ストライキやロックア
ウトによって賃金収入がカットされたときだけでなく、一般に闘争時には予定できない出費
があるものであるから、あらかじめ資金を積み立て、あるいは必要に応じて賦課金や資金力
ンパを行うことが必要である。また、共済制度を設け、組合員や家族の慶弔や火災や交通災
害などの事故にあたって、相互に助け合う活動を行っている組合も多い。これらの活動は、
組合員の間の連帯と結束を強めるうえで効果がある。
労働組合運動の初期には、共済活動は大きな比重を占める要素であったが、労働組合運動
の発展の過程で、企業や国の責任において、労働者が不時の事故にあった場合の生活保障を
行わせる闘いが前進し、労働者の相互扶助の比重は低下した。例えば、失業の場合の手当な
ども、初期の組合ではもうけられていたが、今日では失業保障の闘いとしてとりくまれてい
る。また一方では、個々の組合の枠を越えた労働者福祉の運動が、労働金庫、労済連、労福
協などの形で進められている。
団体交渉 経営者は、当初は労働組合の役員にあったり、交渉することを拒んだが、労働
組合が勢力を増大するようになると、やむをえず交渉に応じ、協定を結んだり
するようになった。こうして労働組合はねばり強い闘いを通じて、しだいに経営者が交渉に
応ずることを強制し、今日ではどんな資本主義国でも、労働基本権の一つである団体交渉権
が承認されている。団体交歩権が認められるということは、経営者が組合を通さず個々の労
働者と交渉したり、労働条件などを一方的に変更したりしてはならない、ということを含ん
でいる。
団体交渉の方式は、それぞれの歴史的経過から、また、それぞれの国の労資双方の団体の
形態などによって相違がある。西ドイツでは産業別労働組合と産業別・業種別の使用者団体
が、地域的規模で、または全国レベルで交渉を行う形をとっている。またイギリスでは、職
業別あるいは産業別労働組合とそれに対応する使用者団体との全国的規模での交渉が大勢を
しめている。イタリアはイギリスと同様の傾向にあり、フランスは西ドイツに近い。このよ
うに、全国的規模での統一交渉が定着しているところでは、企業での交渉で足なみが乱され
ることなく、産業別の統一行動・ストライキ闘争が大規模に発展しやすい条件がある。しか
し、全国的規模での交渉はいわば卜ップ交渉化する傾向があり、交渉事項も全国、全産業に
共通する一般的事項にかぎられ、経営、職場の切実な要求をくみあげるうえで困難がある。
こうした欠点を補うものとして、すでに十九世紀の終り頃から、経営または職場における
労働者の具体的な要求・不満をとりあげ、経営者と交渉し、労働者の日常の利益を擁護する
ための機関が、労働組合の組織の一部として、現われるようになった(イギリスのショップ・
スチェアードなど)。
今日、労働組合組織が強固な地位をしめている西欧諸国では、すでに定着した全国的規模
での交渉方式をさらに強めると同時に、個々の経営や職場においても、労働組合が活動を行
い、経営者と交渉する権利を要求し、獲得するようになっている。
日本では企業別組合という組織形態が多いことから、企業内交渉が支配的であるが、同じ
時期にいっせいに要求をだし、統一的に交渉を進め、統一行動、統一闘争を強めるなかで、
企業内交渉の弱点を克服する指導がとられている。このような統一交渉、統一闘争方式をさ
らに強めるとともに、労資間の力関係を考慮しつつ、産業別全国交渉、すくなくとも地方的
産業別交渉の権利を確立する闘いを強めなければならない。そのことが労働組合の統一性と
行動の統一をより一層拡大することになるからである。
ストライキ 資本主義のもとで、労働組合の闘争の基本的で有力な武器はストライキであ
る。団体交渉が進展しなかったり、不調に終った場合、ストライキに入る決
意と体制がなければ、労働者の要求は満足した結果をえられない。
一部の労働組合の階級協調的指導者は、労資協議制や政府審議会への組合代表の参加など
の意味を過大に評価して、すでに労資は対等の立場に立っているかのようにいい、ストライ
キという武器は時代おくれだと主張しているが、これは正しくない。なぜなら、生産手段が
資本家によって独占されており、労働者が生きてゆくためには資本家に雇われて働かざるを
えない、という資本主義の生産のしくみのもとでは、労働者と資本家の立場は本来対等では
ない。資本家がどれほどの生産手段を所有していても、労働者が働くことを拒否すれば利潤
を生むわけにはいかないという、資本家の弱みをつくストライキによってこそ、資本家に労
働者の要求にまじめに耳をかたむけることを迫ることができるのである。また、こうした階
級協調の主張が結局のところ、資本の利潤追求欲が許容する枠内での要求の解決にならざる
をえないことは、事実が証明している。現に、資本主義諸国で労働者のストライキが起らな
いような国はひとつもない (許しくは第九課で学ぶ)。
政治活動 労働組合運動は、いずれの国においても、その始まりから、団結禁止法によっ
て弾圧された。したがって、賃金・労働条件の改善を追求するためにも、この
悪法を撤廃させ、労働組合の法的承認を勝ちとるという政治運動にとりくまなければならな
かった。また、それがいったん成功したのちも、労働組合は組合の権利を切りちぢめようと
する政府と資本家の意図とたえずぶつかり、獲得した権利を守り、さらに拡大する闘いに一
貫してとり組んできたのである。また、産業革命以後のイギリスでは紡績業の労働者を中心
に労働時間の短縮(法的規制)などを要求する闘いが、工場法制定の運動として発展し、同様
に法律上の保護の必要を痛感する炭坑労働者も参加する政治運動となった。戦前の日本では、
治安警察法などの弾圧法を撤廃させる闘いが中心であったが、一九二七年の五法律獲得闘争
は失業手当法、最低賃金法、八時間労働法、健康保険法徹底的改正、青少年婦人保護法を掲
げて闘われた。
このように労働者と労働組合にとって必要で有利な法律を制定し、あるいは悪法を撤廃さ
せる政治的な闘いは、労働組合運動の重要な任務のひとつであった。
今日の国家は、補助金、特権的利率による融資、税制上の特典などによって、一握りの独
占体に膨大な利益を保障する一方、インフレーション、重税、所得政策による賃金統制、雇
用政策、社会保障制度の改悪などさまざまな政策によって労働者と勤労国民への搾取を強め
ている。こうした国家独占資本主義の政策に反対し、最低賃金法の獲得、社会保障の抜本的
改善、解雇の制限や失業者の生活保障、物価の引下げなどを要求する闘いはますます重要性
をおびてきており、労働者と勤労国民の生活を守り、その水準の引上げをめざす政治的スト
ライキを背景とする反独占の闘いとして発展しつつある。
またこのように、労働組合が経済闘争と政治闘争を表裏一体のものとして闘う過程で、労
働者は大独占中心の政治の矛盾と限界を感じ始めており、労働者と勤労国民の要求を実現
し保障するためにも、勤労国民の生活を第一義とする政治の変革が必要であること、その
ために、労働者階級と勤労国民の中心勢力として意識的に行動することを、学び始めてい
る。
3 労働組合民主主義
組合民主主義の大切さ 労働組合が、労働者の共通の利益を守るためには、できるかぎり多数の労働
者を結集して、多くの任務をやりとげなければならない。そのためには、労
働組合の組織について、セクト的でない大衆的な考え方をもつことが大切で
ある。この組織についての大衆的な考え方の基礎となるのが組合民主義の尊重である。組
合員は、単に組合費を納め組合員の資格をもっている、というだけの存在ではない。組合員
は組合民主主義によって労働組合組織の運営と活動と発展にかかわる、全ての問題につい
て、提案し、意見をのべ、その解決に参加する権利をもっている。労働組合とは、いつも組
合事務所で仕事をしている役員や活動家のことではない。労働組合とはとりもなおさず、
組合員のことであり、要求とそれを達成するために必要な行動で一致している組合員の集団
のことである。だから組合員は、方針の決定と実行、指導部の選出、組織の運営と活動の実
践に参加することを要請されているのである。
組合員の義務と組織の規律 自主的な組織の一員として、組合員はだれでも、綱領や規約、組合の決議
を尊重し、組合費を確実に納め、各機関の決定に従って行動する義務を負
っている。労働者の闘う組織である労働組合の団結が、規律と統制を必要
とすることは当然である。労働組合は機関をもうけ、綱領、規約、諸決議にもとづいて組合
員に対する指導と統制を行う。労働組合の規律は、自分の利益だけ考えて、他人をだしぬい
たり、仲間を裏切ったりしない、みんなの利益のために、互いに信頼し合い助け合って行動
するという、労働者のモラルを基礎に、一人一人の組合員が進んで自分の義務を果すことに
よって生き生きとしたものになる。組合民主主義によって組合員は、自分の権利を完全に行
使し、従ってまた自分の義務をよりよく理解することができるのである。
以上のべたことから、次のことが重要になる。
組合民主主義を貫くには 大会への積極的参加 まず第一に、中央、地本、支部の大会や地協などの総
会に、組合員が積極的に参加することである。大会または総会は、組織の
最高機関であり、労働組合の運営や活動にどうしても欠かせない、きわめ
て重要なものである。したがって大会を成功させるためには、職場や組織のあらゆる部門、
段階で集会を開き、あらかじめ準備することによって、大会の場で、全ての組合員が、活動
の総括と方針、指導機関の選出、組合の財政、その他議題とされる全ての問題について、積
極的に意見を述べ、決定することができるようにすることが大切である。
日常活動での組合民主主義 第二に日常活動で組合民主主義を貫くには、その組織の運営や
活動の諸条件に応じて、組合員が、たえず提起される問題について意見をのべ、解決に参加
するための、適切な形態や方法をみつけるようにする必要がある。といっても、この場合、
なにか特別な方法を考えだす、ということではない。休憩時間や終業後に集会を開くとか、
アンケートをとるとかの方法を通じて、組合員が、自分の組織の運営に参加できるようにす
ることである。職場討議はそのためのもっとも身近な基礎的な形であり、これを形式的なも
のにせず、議題や討議の方法に工夫をこらし、質量ともに充実したものにすることが重要で
ある。
闘争時の問題 第三に、闘争にあたっては、ただ要求を決めるときだけでなく、闘争の基
本方針から妥結にいたるまで、大衆討議によって決めることが大切である。また闘争に入る
ときの方針の決定だけでなく、総括も大衆的に行って、今後、協力して克服する必要のある
問題を明らかにし、次の闘争に備えることである。これがないと、闘争は幹部請負いになり、
組織の官僚化をまねくことにもなる。また、闘争時には、ふだんのとき以上に機関の指導性
と組織の統制が必要になる。
組織を労働者の身近かな所に 組合民主主義を尊重し、組合員を組織の運営と活動に効果的に参加させ、
組織が労働者の希望、意見、感情を的確に反映し、組合員と密着したも
のとなるためには、工場などの部門、職場や班に組合活動の権限と機能
をもった活動組織をつくることがきわめて重要である。このように、労働者の身近なところ
に組合の権限と活動をおろすことによって、職場の労働者の要求を解決し、団結を強めるこ
とができる。この点はとくに、大規模、中規模の経営で労働組合の大衆活動を発展させるう
えで、有利である。職場や班の段階で、労働組合の活動組織に結集した組合員は、はるかに
容易に自分の役割を果し、自分の要求を具体化し、組織外の労働者とも統一して要求を勝ち
とるための行動形態を決めることができるし、組織、教宣、調査などの日常の活動も生き生
きとしたものとすることができる。
また、青年や婦人は組織のなかでも、個有の矛盾や悩みをかかえており、とくに成長期に
ある青年は大きな行動力と創意性をもっている。これらの労働者を青年部や婦人部に組織し、
組合全体と団結しつつ、自主的な活動を発展させることが大切である。
このようにして組合民主主義を具体的に実践することは、そのあらゆる段階で、労働組合
を生き生きと活動的にする手段である。
労働組合の力の源泉 組合民主主義は、組合員の意識をたかめ、組織のいろいろな任務の達成に組
合員が参加するのを容易にする。しかも、労働組合の力は組織している組合
員の数と同時に、自覚をもって大衆活動に参加する組合員の数にかかってい
るのであって、組合民主主義を貰くことは、力強い労働組合運動を発展させることになるの
である。「労働運動の強さの唯一の−だがそのかわりまた不敗の−源泉は、労働者の自覚と
彼らの闘争の幅、すなわち多数の賃金労働者がこの闘争に参加することである」(レーニン)
【設 問】
1 労働組合は労働者の大衆的階級組織である−というのはどういう意味か。
2 労働組合の活動にはどんなものがあるか。それはなぜ重要か。
3 「労働組合は経済闘争だけやっていればよい」という考えはどこが間違っているか。
4 組合民主主義とはなにか。それを貰くには、どんな配慮が必要か。
5 組織の規律とはなにか。それはなぜ大切か。
目次 学習のはじめに
第一課
第二課
第三課
第四課
第五課
第六課
第七課
第八課
第九課
むすび
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