超軽量国産ミッドシップ2シーターの巻

 先日、国産ミッドシップ2シーターに乗る機会がありましたので、報告します。量産型なのですが、案外、気づいている方は少ないかもしれません、そう、あの軽No1のスズキが誇るキャリーです。なぁんだと馬鹿にしちゃいけません。(さあ、古谷徹調で読んでみましょう)サディスティックなまでのシートはリクライニングもしなければ前後にも動かない薄っぺらな座布団、ヘッドレストは後ろの窓の「さん」に作り付け、室内はむき出しの鉄板と安さ丸だしのプラスチック、かろうじて救いはマニュアルエアコン付き。機能はすべて仕事のために徹しており、頑丈なアオリを備え、リアサスはもちろん板ばね。ほら、スポーティーでしょ?

 まじめな話、なぜ、こんなありふれた軽トラ(私たちの地方では「けっとら」と発音します)を取り上げたかというと、この軽トラは3ATの2WDだったのです。普通の農耕用は5MTの4WDがよく使われるようですが、このキャリーは普通の荷物を運ぶため、なおかつオートマ免許しか持ってないお姉ちゃんでも運転できるようにという事情から、注文がされたようです。生産者はあまりこのような設定を考えてないせいか、ATは笑っちゃうほどのワイドレシオで、シフトショックは強烈、2速ホールドのときにアクセルを放すと強烈なGのエンジンブレーキがかかります。ついでにペダルの位置もちょっと変です。たまにはフルスロットルをあげようと、シグナルグランプリを試みると、ぶっちぎりの速さを感じられます(ただし、隣りにクルマのいないときに限る)。50km/hでアドレナリンの大放出。体感速度は約2倍です。街を走る軽トラックが遅いのはこうした事情もあるのではないかと思われます。また、2WDを考慮してあまりダートは走りませんでしたが、能力的に普通の軽と同等程度のようです。

速い車ばかりに乗っていて、体感速度が麻痺し始めた方にお薦めの1台です。