コップ座の神話

魔女メーデア(神話)
この鉢は、お酒とブドウの神ディオニューソスが、酒をつくった鉢だとされて、この神は
たびたびこれを持った姿で描かれています。そこでギリシャ人達は「ディオニューソスの
鉢」とも呼んでいました。その後、酒をつくる方法を、アテネの王イカリウスに教えたと
きに、この鉢も譲ったのだとれています。

また、別の神話では、こんな風にも伝えられています。
これは、魔女メーデアの鉢だと言うのです。 メーデアは黒海の岸にあったコルキスの王
女で、恐ろしい魔法使いとして知られていました。
ギリシャの勇者ヤーソンがアルゴー船にのって、50人の若者達と、この国で宝物にして
いる、金毛の羊の皮を取り戻そうと来たときに、メーデアは勇士ヤーソンを助け、宝物を
守っていた火竜を眠らせて、首尾良く宝物を手に入れさせました。そしてヤーソンは、メ
ーデアを妻に迎えギリシャに連れて帰ったのです。
 ヤーソンの父の王は、もう老年ですっかり弱り切っていました。するとメーデアは、王
を若返らせてあげるといって、どこか遠い国へ飛んでいき、薬草を集めて戻ってきました。
それを海辺に砂や、月の夜に取った霜や、フクロウの首のはねや、大神の腸や、鳥のくち
ばしなどと、大な鉢に入れて、ごとごとと似煮立てました。そして老王を眠らせて、のど
を切り裂いて、その汁を流し込むと、老王は不思議なことにみるみる髪の毛が真っ黒な、
若者になって起きあがりました。
 これを見ていた、王位をねらうヤーソンの叔父が「私も若返りたい」と言いました。
メーデアは、その娘達をだまして、父を斬り殺させ、大がまの中に入れてゆでてしまいま
した。
 このほかにも恐ろしい魔法を使ったので、さすがのヤーソンも恐ろしくなり、メーデア
を追い出したと言うことです。 そしてメーデアが薬草の汁を混ぜた鉢が、この星座にな
ったと伝えられています。

前項